サンガクブ!

都麻(とま)

波乱の県大会!(脚本)

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〇山道
石塚ゆら「・・・」
  1日目──AM11:30
  ザッザッザッザッ
石塚ゆら「・・・大会・・・つまんないっすね・・・」
長老「そうか?」
石塚ゆら「なんかどのチームもみんな黙って登ってるし・・・」
石塚ゆら「うちの部長も副部長もずっと難しい顔してるし~」
長老「ああ、それは・・・」
「休憩ーーー!」
石塚ゆら「あ、やった~」
石塚ゆら「みんなでこの限定品食べましょ~!」
石塚ゆら「・・・」
副部長「ブツブツブツ・・・11時15分に橋を通過、11時23分東に曲がってそこから約350歩・・・」
部長「距離およそ・・・とすると・・・現在地は・・・」
石塚ゆら「ど、読図・・・」
石塚ゆら「全然休憩にならなくないですか!!!!?」
長老「まあこんなもんだ」
長老「ちなみに後方斜面の木の陰に審査員がいるから、ザックの扱いには気をつけて」
石塚ゆら「うげっ、気づかなかった・・・」

〇原っぱ
  PM14:00
  テント設営審査・装備審査
「あ~テントの出入口が風上に向かってしまってますね~」
「ヘッドライトが雨に濡れてるね。防水してなかった?」
石塚ゆら「うう・・・他のチームがゴリゴリに指摘されてるう・・・」
部長「石塚さん、笑顔笑顔」
長老「自信満々な雰囲気だけでも出しておくんだ」
石塚ゆら「ひえぇ~」

〇原っぱ
  1日目──PM16:00
  気象テスト
石塚ゆら「天気図のテスト緊張したよお~~~ なんかイマイチだった~~~」
他校の子「ねえねえ」
石塚ゆら「えっ・・・」
石塚ゆら「あ・・・あたしですか?」
他校の子「なんで敬語なの~ 南高校の1年生でしょ? 私も1年だよ!青天高校の若林~」
石塚ゆら「あ、南高の石塚です~・・・」
他校の子「気象テストむずかったねー! てか南高はテントどこ? 夕飯なにー?」
石塚ゆら「あ・・・えと・・・」
石塚ゆら「カレーとサラダだったかな」
他校の子「あーうちもだ~でも鍋めっちゃ汚れるよね~」
石塚ゆら「うん・・・」
他校の子「・・・あ、急いでた?ごめんね~ 明日またがんばろ~ね~」
石塚ゆら「あ・・・」
石塚ゆら(ヤバ・・・ちょっと『あの人』に似てたから変な態度になっちゃった・・・)
石塚ゆら(・・・もう忘れたいのになあ)

〇テントの中
石塚ゆら「あー美味しかったー!」
  PM18:00
  食事
石塚ゆら「やっぱ山はカレーですわ!!」
副部長「え~あたしはね、焼きそば派~ 冬なら手巻き寿司かな!!!!」
石塚ゆら「て、手巻き寿司!!!?山で!?」
副部長「雪山に行く時ね!!雪のなかに埋めておいて、最終日に食べるんだよ~」
石塚ゆら「え~めっちゃ最高じゃないですか」
副部長「そういえばゆらっち、さっき青天の1年と話してなかった?」
石塚ゆら「え?」
副部長「あそこはねー、うちのライバルだけどわりと仲もいいんだよ」
部長「去年は女子チームで合同登山したこともあったわね」
石塚ゆら「へえ~」
石塚ゆら「・・・あんまり話せなかったんですよね~」
副部長「へえ?」
副部長「ゆらっち、意外と人見知りなんだっけ?」
石塚ゆら「うーん・・・」
石塚ゆら「なんかこう・・・同年代の女子にいきなり話しかけられるとちょっと・・・心の準備が必要っていうか」
部長「そうだったの?」
副部長「あー、中学のときハブられてたせい?」
部長「そんなハッキリ言う?」
石塚ゆら「たぶん、そうっすね・・・ なんでか部長たちは大丈夫なんですけど・・・」
副部長「人徳かねー!オホホ」
副部長「ゆらっちは同期もいないし、他校の子とつながっておいたらいいかと思ったんだけど」
副部長「まあそのうちでね!無理せず無理せず」
石塚ゆら「・・・ハイ」
部長「でも、男子の同期なら何人かいるじゃない。ほら、気象担当の黒木くんとか」
石塚ゆら「あいつですか・・・」
副部長「そういえば開会式のとき、黒木に励まされてなかった~?」
石塚ゆら「なんすかその顔は!!あんなの論外ですよ論外!!」

〇原っぱ
石塚ゆら「まったくもー、勝手なことばっかり・・・」
矢間「何怒ってんだ?」
石塚ゆら「ギャ!!!!」
矢間「ギャって・・・」
石塚ゆら「いや、暗闇から現れるから・・・」
石塚ゆら「見回りですか?」
矢間「ああ」
矢間「あと、様子を見に来た」
矢間「足は問題ないか?」
石塚ゆら「あ・・・はい、大丈夫です!!」
石塚ゆら(気にしてくれてる~うれし~)
矢間「そうか」
石塚ゆら「先生、約束おぼえてますよね? 県大会優勝できたときの・・・ごほうび!!」
矢間「いや、お前はまず無事故で完走できることを目指しなさい」
矢間「明日も道は滑りやすいだろうし、霧が出るかもしれないからな」
石塚ゆら「あいあいさー!」
矢間「・・・明日は俺も役員として山に入るが」
石塚ゆら「え!!じゃあ一緒に登れるんすか!!!?」
矢間「入るが、あくまで役員としてだからな!!絶対に話しかけてこないように!!!!」
石塚ゆら「ええ~手を振るのは?」
矢間「駄目だ」
石塚ゆら「じゃあウインク・・・」
矢間「駄目」
石塚ゆら「ええ~」
矢間「・・・ふ、」
石塚ゆら「ん!!!?」
石塚ゆら「先生、いま笑いました!!!?」
矢間「笑ってない。じゃあな。早く寝ろよ」
石塚ゆら「ええー!!!!!!」
石塚ゆら「・・・えへへ」
石塚ゆら「明日も頑張ろっと」

〇山間の集落
  2日目──AM11:00
副部長「・・・なかなか霧が晴れないね」
部長「イヤなかんじね・・・」
長老「静かに。音が・・・」
  ゴロゴロゴロゴロ・・・
部長「・・・!! 雷・・・!!!?」

〇山間の集落
石塚ゆら「わ、すごい・・・雷がハッキリ見える~」
長老「すぐにこっちにも来るよ!!!!」
石塚ゆら「え!!!?来るって・・・」
長老「こんな稜線にいたら落雷して死ぬ!! すぐに下に降りるよ!!!!!」
石塚ゆら「死・・・!!!!?」
部長「えっと・・・まず身を屈めて!!低い姿勢で移動します!!!!」
石塚ゆら「は、はいぃーー!!」

〇山間の集落
  ゴロゴロゴロ・・・
石塚ゆら「ギャーほんとに近くに落ちてきたーーー!!」
「た、助けてーーーッ」
石塚ゆら「・・・あっ」
他校の子「うっ・・・足がすくんで動けない・・・」
石塚ゆら(あの子──!?他のメンバーと離れちゃったの!?)
他校の子「怖いよお~!!」
副部長「ゆらっち、早く!!!!」
他校の子「うう・・・」
石塚ゆら「・・・!!」
石塚ゆら「この先、右に降りたところがエスケープルートですよね!!!?」
石塚ゆら「後からすぐ行きます!!!!」
副部長「なに言って・・・!!」
石塚ゆら「大丈夫です!!信じてください!!!!」
副部長「・・・」
副部長「わかった」
副部長「その子の装備はあたしが持ってく!!あと先生たちも呼んでくるから、とにかく姿勢を低くして少しでも進んで!!!!」
石塚ゆら「ハイ!!!!」
石塚ゆら「つかまって!!」
他校の子「あっ・・・」
石塚ゆら「雷が落ちたら、4秒くらいは次のは落ちにくいって説があるって・・・長老が言ってた」
石塚ゆら「4秒で進めるだけ進むよ!!!!」
石塚ゆら「よし行こう!!!!」
石塚ゆら「1、2、3・・・しゃがんで!!!!」
石塚ゆら(もう少し・・・もう少しで稜線を外れられる・・・)
石塚ゆら(怖い・・・今にも足を止めちゃいそう・・・!!)
石塚ゆら「あっ」
他校の子「石塚さん!!!!」
石塚ゆら(ウソ・・・足が滑って)
石塚ゆら(滑落する・・・!!!!)
「石塚・・・ッ」
  ガシッ・・・!!
矢間「石塚!!!!」
石塚ゆら「せんせ・・・」
矢間「よく頑張った!!!!!!」
矢間「あと少しだ!!2人とも走れるか!!」
「はい・・・!!!!」
矢間「よし、距離をとりながら走るぞ!!!!」

〇山の中
石塚ゆら「死ぬかと思った・・・」
矢間「よし、全チーム無事に下山できたな」
副部長「ゆらっち~~~」
副部長「まじでほんと何考えてんの!!!!」
副部長「自分の安全確保が最優先なんだからね!!!?」
矢間「怒られておけ」
石塚ゆら「あーっ!!行っちゃった・・・」
部長「矢間先生、あなたがまだ稜線にいると聞いた瞬間に飛び出していったのよ」
長老「矢間先生のあんな顔は初めて見たな・・・」
石塚ゆら(めちゃめちゃ怒ってたってことかな・・・)
石塚ゆら(あ~~今回も笑顔は見られずか~)
他校の子「あの・・・」
石塚ゆら「あ、若林さん・・・だっけ」
他校の子「さっきは本当にありがとう。 石塚さん、めちゃめちゃかっこよかった」
他校の子「石塚さんも、石塚さんの先輩も先生もかっこよかった! あたしもあんな風になりたいな」
石塚ゆら「あ・・・」
  『あんたなんか──』
他校の子「石塚さん?」
石塚ゆら「うん・・・そう」
石塚ゆら「うちの山岳部、超~かっこいいんだ!!」
  県大会2日目──雷のためルート変更
  歩行技術、読図などは1日目の成績を優先して採点された
  採点の結果、優勝校は──

次のエピソード:夕陽のなかで

コメント

  • ゆら、無事で良かったです!
    矢間先生、さすが頼りになる……!

  • ゆらのひたむきさ、真っ直ぐ筋の通ったところが際立つ話ですね。イイ子すぎて感動してます。そして、大会のリアルさも読み応え充分で魅力的です。

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