〇綺麗な病室
香坂瑠奈「ばあちゃ～ん♪　顔を見に来たよ～」
志津ばあちゃん「瑠奈ちゃん♪　いつでもテレパシーで話せるんだから、わざわざ病院に来なくてもいいのよ～？」
香坂瑠奈「ん～、でもばあちゃん発信じゃなきゃ話せないでしょ？　ばあちゃんの顔、見たかったし♪」
志津ばあちゃん「あらま♪　嬉しいこと言ってくれちゃって！」
香坂瑠奈「えへへ♪」
志津ばあちゃん「間宮さんとのこと、よかったわね！　両想いで♪」
香坂瑠奈「あ・・・あは♪　うん♡」
志津ばあちゃん「瑠奈ちゃんが間宮さんにときめくたびに、ばあちゃん・・・調子がよくなってる気がするのよ」
香坂瑠奈「ほ、ほんと？　ばあちゃん」
志津ばあちゃん「ほんとほんと！　だからね瑠奈ちゃん、もっと積極的に間宮さんと接しなさいな♪」
香坂瑠奈「私から、積極的に？」
志津ばあちゃん「そうよぅ！　瑠奈ちゃんからいかないとふれあうことができないんだから！」
香坂瑠奈「そ、そうだよね！　私からいかなきゃ、だよね！」
志津ばあちゃん「うんうん♪　若い頃を思い出しちゃうわ～ いけいけゴーゴー♪」
香坂瑠奈「このあとデートなんだ♪　貴史さんも理事長のお爺さんに用があって病院に来てるの」
香坂瑠奈「中庭で待っててっていわれてるから、そろそろ行くね♪」
志津ばあちゃん「うん。応援してるからね」

〇中庭
香坂瑠奈（中庭って、ここかなぁ）
香坂瑠奈（あ、花を植えてる人がいる。聞いてみよ）
香坂瑠奈「すみません！」
？？？「はい、なんでしょう？」
香坂瑠奈「中庭って、この場所であってますか？」
？？？「ああ、あってますよ！」
香坂瑠奈「そうですか！　よかった」
香坂瑠奈「お花を植えているんですか？　きれいですね」
？？？「ええ。この中庭、少し殺風景でしょう？　この花で患者さんの気分が少しでもよくなればと思いましてね・・・」
香坂瑠奈「わぁ！　素敵ですね♪」
間宮貴史「瑠奈さん！　お待たせしました！ すみません、祖父が見当たらなくて・・・」
香坂瑠奈「あ！　貴史さん♪」
？？？「おう！　貴史！」
間宮貴史「じいちゃん！　こんなところでなにやってんの!?」
？？？「見りゃわかるだろ。花を植えてるんだよ」
香坂瑠奈「あ、あの。もしかして理事長の・・・」
間宮宗一郎「ええ。間宮宗一郎といいます。お嬢さんは、貴史のお知り合いだったんですねぇ」
香坂瑠奈「は、はい！　はじめまして、香坂瑠奈と申します」
間宮貴史「じいちゃんさ・・・もう見合い写真は送ってこないで欲しいんだ」
間宮貴史「今は、こちらの瑠奈さんとお付き合いしてるから・・・」
間宮貴史「見合い写真は、理事長室に置いてきたから！　じゃあ瑠奈さん、行こう」
香坂瑠奈「あ！　貴史さん!? 待って！」
間宮宗一郎「待ちなさい！　貴史！」
香坂瑠奈「す、すみません！　失礼します！」
間宮宗一郎「・・・まったく」

〇シックなカフェ
間宮貴史「デート前に、まずは腹ごしらえしましょうね、瑠奈さん」
香坂瑠奈「・・・はい」
間宮貴史「瑠奈さん・・・ さっきの見合い写真の話が気になりますか？」
香坂瑠奈「・・・ええ、まぁ」
間宮貴史「見合い写真を送るのは、祖父の趣味みたいなもので！　瑠奈さんと付き合ってるって言ったから、もう送ってこないはずです」
香坂瑠奈「そう、なんですか？」
間宮貴史「も、もし、また送ってきても突き返すし！　僕が瑠奈さんのこと、大好きなの・・・知ってるでしょ？」
間宮貴史「あ、焦りすぎて『僕』・・・って、素の口調になっちゃった」
香坂瑠奈「・・・僕」
間宮貴史「あー！　子どもっぽいですよね？」
香坂瑠奈「ううん！　全然！　素の貴史さんが見られて嬉しい！　いつも素でいて？」
香坂瑠奈「私も敬語やめるね。 素の私を貴史さんに見てもらいたいし」
間宮貴史「瑠奈さん・・・じゃあ僕もそうするよ」
　　貴史さんの指が、テーブルの上の私の指先を撫でるようにふれた
香坂瑠奈「貴史さん、違いますよ～」
間宮貴史「え？」
香坂瑠奈「今日からは、貴史さんからじゃなくて、私から貴史さんにいっぱいふれるから」
香坂瑠奈「貴史さんは、なにもしないで？」
間宮貴史「なにも!?」
香坂瑠奈「だって、貴史さんが私にふれようとすると反撃しちゃうから」
香坂瑠奈「私から貴史さんにふれていけば、そのうち慣れて体が反撃しなくなるかもしれないし♪」
香坂瑠奈「ダメ、かな？」
　　私は貴史さんがしたように、貴史さんの指先にそっとふれた
間宮貴史「い、いや！　ダメじゃないよ！」
間宮貴史「うん。慣れるまで・・・」
間宮貴史（瑠奈さんの手・・・にぎり返したい!!）
間宮貴史「我慢・・・できるかなぁ」
香坂瑠奈「我慢、して♡」
間宮貴史「・・・うん」
間宮貴史「じ、じゃあ・・・とりあえずは、映画の時間があるから急いで食べて移動しよ」
香坂瑠奈「うん、そうだね♪」

〇映画館の入場口

〇映画館の座席
間宮貴史「この映画、今話題みたいで・・・」
香坂瑠奈「へぇ、バトル物ってあんまり見ないから楽しみ♪」

〇映画館の座席
間宮貴史「はじまるよ」
香坂瑠奈「・・・うん。あの、貴史さん」
香坂瑠奈「こうしてても、いい？」
　　私は、ひじ掛けに乗せてある貴史さんの手に、自分の手を重ねた
間宮貴史「あ、ああ！　もちろん」
間宮貴史（あぁ～、映画に集中できないかも）
香坂瑠奈（どんな内容なんだろ？）
香坂瑠奈（わっ！　いきなり銃撃戦！）
間宮貴史（!）
香坂瑠奈（きゃ！　モンスターが出てきた！）
間宮貴史（!!）
香坂瑠奈（あ・・・仲間の車かな？）
香坂瑠奈（あ～！　モンスターが車の前に！）
間宮貴史（!!!）
香坂瑠奈（あー・・・ぶつかっちゃった！）
間宮貴史（!!!!）
香坂瑠奈（えー！　そのまま民家に突っ込んじゃった！）
間宮貴史（!!!!!）
香坂瑠奈（え！　また違うモンスター！）
間宮貴史（!!!!!!）
香坂瑠奈（わわ！　その銃じゃこのモンスターは倒せないよ～！）
間宮貴史（!!!!!!!）
香坂瑠奈（おお！　そうきたか！）
間宮貴史（・・・はぁ）
間宮貴史（瑠奈さんがびっくりするたびに、手を握ってくるから、どぎまぎして全然映画の内容が頭に入ってこない・・・）

〇ゲームセンター
香坂瑠奈「貴史さん、バトル映画って初めて観たけど面白かった！」
間宮貴史「そ、そう？　よかった～」
間宮貴史「あ！　瑠奈さん、ゲームセンター！ 入ってみる？」
香坂瑠奈「あ～、ホントだ♪　クレーンゲームがある♪」
間宮貴史「瑠奈さん、得意なの？」
香坂瑠奈「あ～・・・得意ってわけでは。 だから、貴史さん、お願い！」
間宮貴史「りょーかい♪」
香坂瑠奈「あ！　あ！　貴史さん♪ 取れそう取れそう～！」
間宮貴史「このまま落ちないように・・・」
香坂瑠奈「きゃ～！　やったぁ！ 貴史さん、すごい♪」
間宮貴史「一回で取れるなんて運がよかったんだよ♪」
間宮貴史「瑠奈さん、はい。 どうぞ♪」
香坂瑠奈「え！　いいの？」
間宮貴史「そりゃ、もちろん！」
香坂瑠奈「ありがとう・・・嬉しい♡」
間宮貴史（わぁぁ・・・ぬいぐるみをギュッと抱きしめてる瑠奈さん、可愛いすぎる！）
香坂瑠奈「今度は・・・あ！　プリクラがある！」
香坂瑠奈「貴史さん！　こっちこっち♪」
香坂瑠奈（あ、腕・・・組んでみようかな。 えいっ）
間宮貴史（瑠奈さんの腕・・・）
間宮貴史（くぅぅ・・・やらかいもの、腕にあたってます！）
間宮貴史（煩悩・・・排除・・・）
間宮貴史（心頭滅却！　心頭滅却！）
香坂瑠奈「プリクラ、撮りましょ？」
間宮貴史「あ！　う、うん！」

〇幻想
香坂瑠奈「えっと・・・新しい機種かぁ。 こう、かな？」
間宮貴史（・・・近い）
香坂瑠奈「あ！　こうだ！ ほら！　貴史さん、３・２・１♪」
間宮貴史「え！　もう!?」
間宮貴史「あ！　あ！ 変な顔で撮れちゃった！」
香坂瑠奈「あはは！　ホント！ ビックリ顔♪」
香坂瑠奈「じゃあ次は・・・この背景にする？」

〇幻想2
香坂瑠奈（あ♪　ここなら誰にも見られないから・・・）
香坂瑠奈（ふふ♡）
香坂瑠奈「あ！　貴史さん♪ ほら！　３・２・１♪」
間宮貴史「え！　あ！」
香坂瑠奈「ほっぺにチュ♡」
間宮貴史「る、る・・・瑠奈さん！」
香坂瑠奈「えへ♡」
間宮貴史（んも～！　こんな不意打ち！）
間宮貴史（我慢なんて、できないでしょ～！）
間宮貴史「る、瑠奈さ～ぁん!!」
香坂瑠奈「きゃっ!!」
香坂瑠奈「はっ！」
香坂瑠奈「貴史さん！ ん、もー、いきなり抱きついてくるからぁ！」
間宮貴史「だって、あの状況は、我慢なんてできないでしょ・・・」
香坂瑠奈「あ～ん、も～！」
　　―　To Be Continued　―