ぼくらの就職活動日記

大杉たま

エピソード10(脚本)

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〇黒
戸川仁「一次選考は、これだ。ドーン!」

〇ディベート会場
真田紅音「ディベート会場?」
  モニターの戸川が続けて語る。
  一次試験は、分かれてもらったチーム対チームで行う、視聴率争奪バラエティディベート対決です!
中園瑚白「視聴率争奪・・・」
  ルールは単純。皆さんには今から出されるお題について、賛成チームと反対チームに分かれてディベートをしていただきます。
  まあ、ディベートって言っても形式は自由。賛成派と反対派の意見がぶつかれば何でもオッケーです。
  急いでメモを取る紅音。
若山柿之介「おら、覚えてるから大丈夫だ」
真田紅音「あ、ああ、頼む」
  みなさんのディベートの勝敗を決めるのは、配信される動画を見ている、500万の視聴者の方々です。
  スマホを取り出し、エリートピアの動画サイトを開く瑚白と一茶。
  紅音もあわててスマホを取り出す。
真田紅音「投票ボタン・・・」
  30分のディベートの後、視聴者の方々に印象に残ったチームへ投票してもらいます。
  もちろん投票数の多い方のチームが選考を通過するわけなんだけど・・・もう一つ、気をつけてもらいたい点があります。
  それが視聴率。
  モニターから戸川が消え、グラフが現れる。
  このグラフで、皆さんのディベートが何番目に多く視聴されているかが分かるようになっています。
  そして見ていただいてわかるように、下位の3分の1はデッドゾーン。ディベート終了時にこのゾーンにいた場合は、投票を待つことなく落選となります。
真田紅音「おい、起きろっ。 何が覚えてるから大丈夫、だよ」
若山柿之介「んが。んー暖かい部屋は眠くなるべ」
  さて、視聴者の方と受験生が退屈しないうちに私は退散しますよ。
  じゃあ、私の声が消えて、画面の下にディベートのお題が出されたら、試験スタートですので。
  皆さん、グッドラック!
  戸川の姿がモニターから消え、代わりに画面にディベートのお題が表示される。
  モニター下部に『30:00』と表示されていたタイマーが減り始める。
真田紅音「猫より犬だ、なんだそのお題。 あまりに感覚的すぎるだろ」
若山柿之介「味の話だべか?」
真田紅音「やめろ、怖い」
中園瑚白「あたしたちは猫派のチーム。 それ以上のことは考えなくていい。 ただ猫を推薦する意見を述べればいい。」
中園瑚白「ホントは犬好きとか、イグアナ好きとか、ウーパールーパー好きとか、そんなことは関係ない」
中園瑚白「将来の夢は猫カフェに住むことですとか、そんなんでいいの」
藤原一茶「・・・・・・」
  モニターのグラフを眺めている一茶。
藤原一茶「おい、そんなどっち派とか言うとる場合ちゃうぞ」
  一茶が、テーブルの向かい側にいるディベート相手のチームを睨む。
  相手チームの4人が動き始め、部屋のカメラマンや照明係に声をかける。

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