復讐女と特撮ヒーロー市川君

昼夜睡

母は偉大なるエスパー(脚本)

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〇映画館の座席
  ザクロ厶は闘い続ける──
  愛する人、友人、家族、全ての人々の為に──
  この先に哀しみ、絶望……
  全てを失う未来が待ち受けていようが──
  to be continued…!!

〇映画館の座席
佐藤沙緒理「マスカライダーエックス意外と面白かったよ!」
佐藤沙緒理(思った以上に見入ってしまった気がする…)
  続きが地味に気になるのが悔しぃぃぃぃ!!
市川大和「うぅ…クズん…うっうぅぅ…」
佐藤沙緒理「大和、さっきからずっと大丈夫?」
市川大和「いや、俺は大丈夫、大丈夫だけど…ザッ… ザクロム…なんだよあの終わり方、あんなのよぉザクロムゥウ!!」
  おぉぉお!?
  そうだよね、気になるよね!
市川大和「気になりすぎて夜どころかもう4日は眠れない…どうなっちまうんだよほんとに!!」
  これまたリアルな日数だな!!!!
  もちろん貴様は当たり前に不眠症だよ?!
佐藤沙緒理「じゃあさ、朝まで一緒に過ごしちゃう?」
市川大和「ザァァアクロムゥウううぅぅう!!」
  てめぇ少しは聞けよな?
  乙女が勇気を振り絞って誘ってんだからよ!
  まぁ、勇気を振り絞ってはちょっと盛ったけども!!
市川大和「今日俺の家泊まってくってこと?」
  聞いてるんかぁぁあああぁぁい!!
佐藤沙緒理「さすがに突然過ぎるよね、ごめんごめん!」
  だってほんとに泊まる気なんてさらさらないものわ・た・し♡
佐藤沙緒理「そろそろ帰ろっか!!」
市川大和「…あのさ、沙緒里がいいなら今から少し上がってかない?」
佐藤沙緒理「え…????」
佐藤沙緒理「や、大和がいいならちょこっとだけお邪魔しようかなぁ…」
  嘘でしょぉぉおおおお!!!??

〇玄関内
  30分後…
市川大和「ごめん、狭くて… 靴は好きなところ置いといて」
佐藤沙緒理「お邪魔しまーす!!」
大和の母親「ちょっとだだいまぐらい言いなさ…」
大和の母親「えぇ!もしかして彼女!!!? ちょっとなーに言ってよねー!!」
市川大和「うるせぇよ…… 見りゃわかるだろそれぐらい!!」
佐藤沙緒理「初めまして!! 大和の彼女の佐藤沙緒里です」
大和の母親「こちらこそいつも息子がお世話になってます!! 大和のお母さんこと未来(みく)でーす♡」
大和の母親「ちょっと彼女可愛すぎんか息子よ〜 ういうい!さてと、立ち話はここまでにして上がって上がって!!」
佐藤沙緒理「改めてお邪魔します!!」

〇明るいリビング
大和の母親「ねね、さおちゃんアイス食べるー?」
佐藤沙緒理「は、はい!!」
大和の母親「そんな緊張しなくても大丈夫!! バニラとチョコとイチゴとピスタチオどれがいい〜?」
  抹茶と来ると見せかけてのピスタチオ!!
  家寄ってく?からのシュチュエーションって普通二人っきりの流れじゃんさ!!!
  現実は只今居間でピスタチオでございます!
  ※恋愛漫画やドラマの多量摂取は御注意を…
市川大和「俺ピスタチオとバニラのミックスのやつ」
  ミックスなんてあるのぉおおお!?
大和の母親「めんどくさいから自分でやってよ!!」
大和の母親「さおちゃん何味にする〜??」
  いつの間にかさおちゃんになってるし!!
佐藤沙緒理「バニラでお願いします!!」
市川大和「お!じゃあ俺と半分にしてピスタチオバニラにしようよ」
  お前はミックスから離れろ!www
市川大和「ササッと先風呂入って少ししたら沙緒里送ってくわ」
大和の母親「アイス待ってた方がいい?」
市川大和「別に食っていいよ…… 食べたきゃ後で勝手に食うから」
大和の母親「本当は一緒に食べたいくせに〜 もう!恥ずかしがり屋さんなんだから!!」
市川大和「黙れババア… とりあえず入ってくるわ!」
大和の母親「靴下ちゃんと丸めずに伸ばして入れてね! パンツもちゃんと戻してから…って無視??」
大和の母親「昔はあんなにちっちゃくて可愛かったのに…」
大和の母親「沙緒里ちゃん、うちの息子と一緒に居てくれてありがとうね」
大和の母親「実は中学の時のこととか色々聞いててね だから今日あなたに会えてとても嬉しいの…」
佐藤沙緒理「お母さん・・・」
大和の母親「大和のこと、許さなくていいからね!」
大和の母親「同情と恋愛感情は凄く似てるの、その人の側に自分が居ないとその人がダメになっちゃうかもしれない…」
大和の母親「例え自分の隣で誰がダメになろうが自分を犠牲にしてまで誰かの側にいる必要なんてないじゃない?」
大和の母親「だから沙緒里ちゃんには過去に囚われずに幸せになって欲しい…」
  もしかしてお母さんは……
  私の心を見透かしているのかもしれない──
  私が彼を愛していないことを──
大和の母親「沙緒里ちゃん、大和のこと好き…?」
  中学時代の私が脳裏にチラつく。
佐藤沙緒理「…好きになりたいです」
大和の母親「そっか……!!」
大和の母親「あなたをとても傷付けたことは事実だしそれが記憶から消えることはないと思う…」
大和の母親「でも、あれでも私からしたらたった一人の大切な馬鹿息子なの」
大和の母親「だから息子の大好きな沙緒里ちゃんに息子のことを好きになって欲しい… 母親としてはね?」
大和の母親「一人の女としては若さは一瞬、明日になればまた少し老いていく…」
大和の母親「大和があなたの側を離れることはきっとないからあなたが傷付くことはないと思う」
大和の母親「後悔、懺悔に近い感情かもしれないね……」
大和の母親「でも、傷付くことから逃げるのはもう少し大人になってからでもいいと思う、あなたの年頃なんて転んでなんぼ!」
大和の母親「相手を傷付けるってのも中々自分の体力を消費するもんよね、優しい人ほどそうよ」
大和の母親「でも、時にはそんな自分自身を許してあげることも必要だと思うんだ」
佐藤沙緒理「好き…でしたっ…とてもあの頃は大和君のことが……」
大和の母親「ありがとうね、あの頃の息子を好きになってくれて……」
大和の母親「中学時代に沙緒里ちゃんが息子と向き合ってくれたおかげで大和は自分自身と向き合うことが出来た」
大和の母親「何をしてもダメだって人や物に当たる事しか出来ない、途方に暮れていた息子から今の姿は想像つかないもの!!」
大和の母親「ちょっと間違った成長の仕方はしちゃったかもしれないけど…まぁ、昔と比べれば!!」
  サボン系の良い香りがこちらまで漂ってくる──
大和の母親「もうすぐ大和が上がってくるかなー?」
大和の母親「可愛いお顔を台無しにしちゃったお詫びにメイクしてあげる!」
佐藤沙緒理「あ、いや…えっ??」
大和の母親「なに!必要ないぐらい可愛いからいいですって?もう!このやろー!!」
大和の母親「はい!まずこれで顔ササッと流してきて」
佐藤沙緒理「お母さん、ありがとうございます…」
大和の母親「うん……!」
市川大和「あちぃ!冷房弱くね?アイスちょうだ……」
大和の母親「どう?沙緒里ちゃん可愛いでしょー」
市川大和「……おう」
大和の母親「反応が思春期の男の子か!あ、思春期だったかww」
市川大和「うるせぇよババア!!」
佐藤沙緒理「こんなに可愛くしてもらってありがとうございます!」
大和の母親「いえいえ、やっぱり笑顔が一番だね!」
市川大和「てか、沙緒里にいらん事言ってないよな?」
大和の母親「えー?足が臭いとかそういう事とか??」
市川大和「おい!まじやめろってくそババアぁあ!!」
大和の母親「いやん、こわーい!ww」
佐藤沙緒理「…ガ、ガールズトークっ!ですよね?」
大和の母親「ふふっ、そうそう秘密の花園よ♡」
市川大和「ちょ、教えろって!!」
佐藤沙緒理「ヤーダね!!」
市川大和「はぁ?沙緒里ババアの味方すんのかよ!?」
佐藤沙緒理「女の人をババア扱いする人嫌いになりそう…」
市川大和「ちょ、ま…はぁぁああ!? ごめんって……」
大和の母親「じゃあこれからは未来ちゃんって呼んでくれるのかな〜?」
市川大和「……くそぉ!!!!」

〇玄関内
大和の母親「じゃあ二人とも気をつけて! 沙緒里ちゃん、夜遅くまでありがとうね」
佐藤沙緒理「こちらこそ突然お邪魔してこんなにゆっくりしてしまって申し訳ないです!」
大和の母親「また、いつでも来てね」
佐藤沙緒理「はい!お邪魔しました!!」
市川大和「いってきます……」
大和の母親「シャキッとせんかいもっと!!」

〇川に架かる橋
  外はジメジメと蒸し暑く
  セミが耳元で鳴いているかのように五月蝿い──
佐藤沙緒理「可愛いお母さんだったね!」
市川大和「あれのどこが可愛いのか俺にはわかんねぇわ お節介ババアが!」
佐藤沙緒理「うちは大和のお母さん好きだなー」
  明日になればまた少し老いていくか……。
市川大和「俺は沙緒里が大好きだぞ」
佐藤沙緒理「あのさ…いや、やっぱりなんでもないや!!」
市川大和「ん、どうした沙緒里?」
  自分は何を躊躇っているのだろう。
  あとは、もうあなたのことなんて最初から好きじゃなかったっ…てただそう言うだけなのに…。
  もしかして大和が傷付くことを心配しているのか?それとも大和のことを……。
  いや、そんな訳ない…ないと信じたい!!
佐藤沙緒理「明日大和がいいなら大和の家泊まろうかなって思っちゃって……」
市川大和「え、いいの? 全然大丈夫むしろ嬉しい…!!」
佐藤沙緒理「じゃあ決定ね!!」
  明日この茶番劇に、復讐に終止符を打つ──

次のエピソード:ジェラシーは真っ赤なリンゴ飴

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