超美人、超能力探偵、超絶体絶命!

刀神凛太郎

エピソード1(脚本)

超美人、超能力探偵、超絶体絶命!

刀神凛太郎

今すぐ読む

超美人、超能力探偵、超絶体絶命!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇電車の中
  ~二号車~
  神稲線《くましろせん》は県北部を走る、第三セクターの鉄道
  二日前の集中豪雨による土砂崩れで、県道が通行止めになったいま
  高天神《たかてんじん》家への唯一の交通手段でもある
天上美月「危険が近づいてる!」
  強い殺意の持ち主が隣りの車両から来る!
  私には、ひとの心が見える。
  意識の表面に浮かんだ考えが見えるのだ
  近づいてくる相手の心には、私の姿が浮かんでいる
  まだ肉眼では見えてないはずの、私の姿が
天上美月(てことは、面識のある誰か? ・・でも人殺しの知り合いはいないけど)
天上美月(とも言えないか いままでに捕まえた連中がいたわ)
天上美月(けど、少なくとも刑務所の外にはいないはず)
  平日の昼間、地方都市の在来線の乗客は多くない
  中年の男女が1名ずつ。
  女性は眠っているようだ
天上美月(逃げることはできる。 最後尾の五両目までは)
天上美月(逃げて通路のドアをロックすれば、目的地の駅まで時間を稼げるかも)
天上美月(けど、そうしたら、このふたりに危害が及ぶかもしれない)
天上美月(・・私が迎え撃つしかないか)
  車両の連結部のドアが開いた!
天上美月「え? ふつうのおばさん?」
  なんの前触れもなく、おばさんは包丁を突き出した!
  右、左、右、右、左!
  おばさんは包丁を、機械のような正確さとスピードで突き出してくる!
  私はそれを、紙一重でかわし続けた
  相手の考えが見える私には容易いことだ
  背後から突き出された包丁が、私の背中から、胸へ貫通した!
  あの寝ていたはずの女性だった!!
  ・・でも、なぜ?

〇電車の中
  ~ 三号車 ~
菊梁善意(いよいよ、県警捜査一課の配属後の初仕事だ!)
菊梁善意(高天神家といえば、県下でも名門中の名門の家柄)
菊梁善意(その名家で発生した殺人事件!)
菊梁善意「ここで手柄を立てれば、一気に名刑事の道を駈け上がれるかも・・・」

〇大広間
女性記者「菊梁善意《きくばり よしおき》警部! 事件解決、おめでとうございます!」
菊梁善意「いやあ、ボクの推理力をもってすれば、たいした事件じゃなかったよ」
菊梁善意「ちなみに僕はまだ巡査長だから、警部じゃないんで」
女性記者「え!? そうなんですか?」
女性記者「難事件をいくつも解決されているから、てっきり・・・ゴメンナサイ!」
菊梁善意「気にするコトはないよ。 あまりにも手柄を連発し過ぎるから 警察上層部も、ボクのことをもてあましてるみたいで・・・」

〇電車の中
菊梁善意「あ、田滝上《たたきあげ》さんからの電話」
田滝上敬司「菊梁! てめえ、いつになったら着くんだ?」
菊梁善意「す、すいません!」
菊梁善意「捜査資料の準備で手間取ってしまって・・でも15時には着くと思います」
田滝上敬司「ちょっと待て その電車なら確か、探偵の女が乗り合わせてるはずだ」
菊梁善意「探偵?」
田滝上敬司「おエラ方が委託した、諮問《しもん》探偵だとさ」
田滝上敬司「部下を信じずに、上司が務まるのかよ! 民間人に頼るとは情けねえ」
菊梁善意「諮問探偵? 乗ってるんですか、この電車に?」
田滝上敬司「ああ。隣りの車両でも覗いてみろよ」
菊梁善意「え! 隣りの車両? なになに?」

〇電車の中
  中年女性に刺されて、私が死ぬ・・・

〇電車の中
  ・・1分後の未来が見えた
  私は背後に飛びすさって、おばさんと距離をおいた
  おばさんは背後に隠した包丁を、まだ見せない
  眠っていた中年女性が立ち上がった
  笑みを浮かべて、ふたりが近づいてくる
  ふいに首にロープがかけられた!
  もうひとりの乗客が、私の首にロープをかけ、力の限り絞り上げてきたのだ!
天上美月「こ、コイツら、みんな結託して?」
天上美月(でも、さっきまで二人には殺意はなかったはず)
  ロープを締め上げる力がさらに強くなった。意識が遠のきかけている
  おばさんと中年女性が、そろって包丁を抜いた
  と、3号車との通路が開いた
菊梁善意「おい! アンタら、何やってるんだ?」
  中年男性が若い男に飛びかかったが、あっさり投げ飛ばされた!
中年の乗客「わあ!」
  首からはずしたロープを鞭代わりに、私はおばさんと中年女性の包丁を叩き落とした!
  武器を失った三人は、憑き物が落ちたように静かになり、呆然としていた
菊梁善意「大丈夫ですか? コイツら、何者だ」
  若い男は、落ちた2本の包丁を拾おうとした・・
天上美月「ダメ! 触らないで」
  手遅れだった!
  包丁を手にとった瞬間、男の心に殺意が生じたのがわかった
菊梁善意「死んでもらうぞ、天上・・」
  男をロープで力いっぱい、ブチのめした!
  包丁にもロープにも、強烈な残留思念が残っていた
  みんな、仕込まれた「邪悪な思念」に操られたのだ
  触れた者は強い殺意を抱いて、私、天上美月を狙う
天上美月(誰かはわからないが、残留思念を仕込んだのは、超能力者であることは間違いない)
天上美月(これから向かう高天神家の事件と関わりがあるの?)

〇屋敷の門
  ~ 高天神家・門前 ~
田滝上敬司「で、結局、誰も何もおぼえてないって言うのか?」
菊梁善意「なぜ彼女、天上さんを襲ったのか?」
菊梁善意「誰ひとり、動機も、彼女との接点も ありませんでした」
田滝上敬司「どころか、三人の間にも地元民という以外には接点はない」
天上美月「始発駅で謎の女に、それぞれ包丁とロープの入った紙袋をもらったという話以外は」
天上美月(謎の女・・そいつが「殺意の思念」を凶器に仕込んだ)
田滝上敬司「謎の女に催眠術でもかけられたっていうのか?」
天上美月(じゃなくて「殺人残留思念」・・なんて話、言っても通じないわね)
田滝上敬司「諮問探偵さんよ、アンタ 本当に心当たりがねえのか?」
天上美月「ええ。少なくとも、あの三人は初対面ね」
菊梁善意「で、でもスゴいですよね」
菊梁善意「天上さんは有名な事件をいくつも解決されて、警視総監からも信頼されてるって、聞きましたよ!」
菊梁善意「「脇本陣殺人未遂事件」「学問島殺人事件」「あくまで蹴鞠唄殺人事件」・・全部超有名な難事件ばかりじゃないですか!」
天上美月「ありがと。 お陰様で、総監から直々にご指名をいただいて、諮問探偵を拝命してるわ」
天上美月(ホントは、総監の愛人の秘密を握って「指名させてる」んだけど、これはナイショ!)
天上美月「まあ、その過去に関わった事件の犯人たちはみんな死んだか、ムショの中」
天上美月「だから私の命を狙う人物は、過去じゃなく」
天上美月「現在進行系の事件の関係者・・ の可能性が高い」
田滝上敬司「つまり、この高天神家の殺人事件の関係者か?」

〇暗い廊下
  ~ 高天神家・邸内 ~
天上美月「事件が起こったのは三日前・・」
  その夜、高天神家の嫡男で作曲家の多聞《たもん》氏は、妻の梨香子と夕食後に口論となった
  多聞はサーカス団員だった梨香子と十年前に結婚したが、子はなく、最近はすれ違いの生活が続いていたという

〇荒廃した国会議事堂の広間
  妻と喧嘩別れしたあと、多聞は邸内の音楽堂にこもってピアノの演奏を続けた・・
  その音色は深夜遅くまで流れていたが、ある時刻に途絶えた
  不審に思った執事の桐山が、音楽堂を覗くと
  多聞は背後から剣に刺し貫かれて、ピアノに突っ伏していた!
田滝上敬司「問題は、その音楽堂ってヤツが、複雑怪奇な忍者のカラクリ部屋で」
田滝上敬司「ひとりが入っている間は、「他に誰も入ることができない」仕組みになってる、ってコトだ!」
菊梁善意「無理やり入ろうとすると、インディ・ジョーンズの探検に出てきたような仕掛けで、死ぬか大怪我する危険がある」
天上美月「って、どんな家なのよ?」
田滝上敬司「ところが問題はそれだけじゃなかった」
菊梁善意「同じ音楽堂の中に、もう一体の死体があったんです」
菊梁善意「多聞の腹違いの四弟、広目《ひろめ》が倒れて事切れていたんです」
天上美月「しかも死因は墜落死! 室内でなぜ?」

〇屋敷の大広間
田滝上敬司「まあ、とりあえず事情聴取だ」
田滝上敬司「ご当主がお会いくださるそうだ」
桐山利博「ご当主の高天神鷹王《たかおう》様でございます」
高天神鷹王「・・・」
天上美月(そ、そんな!?)
天上美月(空白だわ! この鷹王というひとの心の中は空白!)
天上美月(何もない! 何一つ、心に思いがない! ・・そんなバカな!)
  ~ 次回へ ~

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 残留思念で人を動かすとは、よっぽどの殺意を感じますね。
    でも、呪いの類ってこんな感じなんだと思います。
    最後の心がないというところが気になりました。
    読めないだけならいいんですが、良心がない…となると厄介です。

  • 心がないとは一体何を意味するんだろう。手強い人物や出来事が次々あらわれるので、先を予想するのが難しく、今後の展開がとても楽しみです。

  • 残留思念…すごく怖いですね。
    それが込められている物は持つと操られる…?
    でもそれは目に見えないのだとすると本人はその気がなくてもそうなってしまう…。怖いです。

コメントをもっと見る(4件)

成分キーワード

ページTOPへ