パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第一話 パンツ一枚あればいい(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

今すぐ読む

パンイチ冒険者ケンイチ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
朝日ケンイチ(月曜の朝・・・ 今日もまた孤独な戦いが始まる──)
朝日ケンイチ(──スキル【聞き耳】発動!)
朝日ケンイチ(説明しよう! ぼっちの俺はクラスメイトの会話の盗み聞きしかやることないのだ!)
女子A「シン君もうダンジョン六階層!? プロゲーマー顔負けじゃん!?」
十七夜月シン「ああ、暫定トップになったよ 同率一位が何人もいるけどね」
「すごーい!」
朝日ケンイチ(みんなGFの話ばかり。フルダイブは興味あるけど、コミュ障の俺にオンラインはきつい。やっぱゲームはオフラインに限るぜ)
女子A「最初に攻略したら賞金三億円でしょ!? このまま獲っちゃうんじゃない!?」
十七夜月シン「もちろん やるからには一位になってみせるさ」
「かっこいいー!」
朝日ケンイチ(いいなぁ・・・ 三億あればずっと引きこもれる・・・)
小枝ゆき「おはよー」
「おはよー!」
朝日ケンイチ(ゆきちゃん!今日もかわいいなぁ・・・ ゆきちゃんウォッチングがなきゃ不登校まっしぐらだぜ)
男子A「邪魔だ、ボサっとしてんな」
朝日ケンイチ「ご、ごめん・・・」
男子A「ちっ」
朝日ケンイチ(い、いま久しぶりにクラスメイトと会話した・・・!)
女子A「聞いてよゆき! シン君もう六階層! 三億ゲット寸前だって!」
十七夜月シン「いや、攻略にはキーアイテムがあと一つ欲しい ラスボスに挑むまで十日はかかるよ」
小枝ゆき「充分すごいよ! 私達なんてまだ一階層なのに」
十七夜月シン「焦りは禁物だよ 無理をしてデスペナルティを受けたら元も子もないからね」
朝日ケンイチ(シンの奴、俺のゆきちゃんとあんなに親しげに・・・!)
朝日ケンイチ(待てよ? もし俺がシンより先にクリアしたら、ゆきちゃんも振り向いてくれるはず!)
朝日ケンイチ(現実では最底辺でもゲームの世界なら!! やっぱゲームはオンラインだぜ!)

〇古いアパートの部屋
母「また新しいゲームぅ?」
朝日ケンイチ「一生のお願い! 今年は誕生日もクリスマスも何にもいらないから!」
母「そこまで言うなら買ってあげてもいいけど・・・ ただしゲームは一日一時間よ!」
朝日ケンイチ「それじゃ追いつけないよ! 最初にクリアしたら三億円だよ!?」
母「そんなのプロが獲るに決まってるでしょ」
朝日ケンイチ「でも・・・シンは一番になれそうだって・・・」
母「シン君? 学級委員の?」
朝日ケンイチ「うん・・・ あとアイテム一つでクリアだって・・・」
母(この子の口から同級生の名前を聞くなんていつぶりかしら)
母「ならこうしましょう 学校のお友達を一度でも家に連れてきたら一時間ルールなくしてあげる」
朝日ケンイチ「一日一時間でトップになってやる!」
母「そっちの決意を固めるのかよォ!?」
  翌日の夜

〇魔法陣2
「よく来たのう、新たな冒険者よ 儂はGoldenFleeceの案内人じゃ おぬしにこの世界のことを教えよう」
「言葉が生まれるよりも昔、 光と闇が分かれるよりも遥か昔・・・」
朝日ケンイチ「説明スキップ! 一時間しかないんだ!」
「武器と防具は装備しないと意味がないぞ?」
朝日ケンイチ「スキップ!」
「そんな装備で大丈夫か?」
朝日ケンイチ「スキップ! スキップ!! スキーーーーーップ!!!」
「では行くがよい、冒険者ケンイチよ!」

〇児童養護施設
  第一話 パンツ一枚あればいい
ケンイチ「おおっ、これがゲームの世界!? 超リアル!」
パンツくん「まずは冒険者ギルドで仲間を募るがいい」
ケンイチ「だが断る! 人見知りの俺にそんなことはできない! 一匹狼さ!」
パンツくん「ならダンジョンはやめておけ 初期レベルで単独探索じゃと一階層で死ぬぞ。地上で地道に能力値を伸ばすのじゃ」
ケンイチ「そんなぁ・・・ 最高効率で攻略したいのに」
「あの・・・」
ケンイチ(かわいい・・・!!)
スノー「始めたばかりの方ですよね? そんな恰好じゃ危ないですよ」
ケンイチ(そんな恰好・・・?)
ケンイチ「って俺よく見たらパンイチじゃん!?」
パンツくん「キャラメイクをスキップするからじゃ」
ケンイチ「しかもブリーフ・・・ 俺トランクス派なのに」
女子A「ちょっとゆき・・・じゃなくてスノー! なに露出狂に話しかけてんの!? 関わっちゃダメ!早く行くよ!」
スノー「え、ちょっ・・・」
ケンイチ(い、今のゆきちゃん!?)
ケンイチ(こんな姿を見られた・・・ 死にたい・・・ この世から消え去りたい・・・)
ケンイチ「って消せるじゃん! ゲームなんだから! キャラメイクやり直そう!」
パンツくん「今のアバターを消して新しくやり直すには現実時間で四十九日の間隔を空けねばならん」
ケンイチ「何そのクソ仕様!?」
パンツくん「アバターも一つの命・・・ 潰えるときは喪に服すのじゃ いわゆるデスペナルティというやつじゃ」
パンツくん「なお戦闘で死んだ場合も蘇生手段はない そのアバターは永遠に失われる レベル・スキル・所持品、すべてパーじゃ」
ケンイチ「鬼畜運営・・・! っていうか何でパンツがしゃべってんの!?」
パンツくん「初心者向けの案内機能じゃ 儂だって剣とか杖とかマシな物に付与されたかったわい」
オータ「グンマァ」
ケンイチ「何だこの三人組!?裸族!?」
パンツくん「冒険者パーティ「グンマァ」じゃ 冒険者ランクは中堅どころじゃな」
オータ「グンマァの戦士、己の肉体、恥じナイ オマエ、見どころアル 俺達のパーティーに加わるカ?」
ケンイチ「どう見てもまともじゃないぞこいつら・・・!」
パンツくん「おまえが言うな」
ケンイチ(でも・・・このチャンスを逃したら二度とパーティーを組めない・・・)
ケンイチ「ケ・・・ケンイチです! よ、よろしくお願いしましゅ!」
ケンイチ(噛んだ・・・)

〇黒背景
ケンイチ「わっ、ダンジョンの中まっ暗!」
オータ「待テ、たいまつ使ウ コレ、火口箱 火、つけてミロ」
ケンイチ「木箱の中に火打石や木屑・・・原始的だな・・・ うぅ・・・着火が難しい・・・」
パンツくん「この世界に火薬は存在しない もちろんマッチもないぞ」
ケンイチ「魔法使いとかいないの? 火の魔法なら一発じゃない?」
オータ「俺達、勇敢ナル戦士のみ」
ケンイチ(脳筋パーティー・・・)
ケンイチ「やった!ついた!」

〇薄暗い谷底
ケンイチ「この洞窟めちゃくちゃ枝分かれ多いなぁ」
パンツくん「一階層は巨大な生き物に張り巡らされた毛細血管のような大迷路じゃ」
ケンイチ「そういえば俺、丸腰なんだけど」
オータ「この斧、持ってミロ」
ケンイチ「重っ!?」
オータ「オマエ、チカラ足りナイ 武器の代わりにたいまつ持テ」
ケンイチ「照明係ってことね」
ケンイチ「!! いま女の子の悲鳴が!」
オータ「聞こえたカ?」
戦士A「イイヤ・・・」
ケンイチ「こっちだ!」
オータ「先走るナ! 危ないゾ!」

〇洞窟の深部
女子A「トロール!? 五階層にしかいないって攻略サイトに載ってたのに、どうして一階層に!?」
ケンイチ「ゆきちゃん達!? 棍棒の一振りで・・・全員・・・死んだ・・・!?」
オータ「グンマァ!」
ケンイチ「斧でトロールの腹肉を斬り裂いた!」
ケンイチ「傷が治った!?」
パンツくん「トロールは再生力が高い 火炎魔法なら再生を防げるが」
ケンイチ(残念でした脳筋でした!)
「グンマァ!」
ケンイチ「剣を砕かれた!?」
パンツくん「トロールは全モンスターの中でも屈指の怪力じゃ」
ケンイチ「無理だ、逃げよう!」
ケンイチ(強い奴に逆らえばひどい目に遭う・・・ 現実でもそうだった)
オータ「コノ娘達、マダ瀕死状態 死亡状態にナル前に地上の施療院へ運べば助カル」
ケンイチ「俺達まで全滅するって!」
パンツくん「うむ・・・ 逃げずに戦う場合、全滅の確率九十九パーセントじゃ」
オータ「俺達、トロール斬ル オマエ、たいまつで傷口、焼ケ 再生、防いでクレ」
ケンイチ「お、俺が・・・!?」
ケンイチ「いや初期レベルの俺じゃ無理だよ! 一撃で即死だって!」
パンツくん「トロールが前傾姿勢に・・・突進が来るぞ!」
スノー「っ・・・【凍結】・・・!」
ケンイチ「ゆきちゃんの氷魔法!? 足元に張った氷にトロールが滑った!」
ケンイチ「ゆきちゃんも倒れた!?」
パンツくん「まずいのう、傷が深すぎる 長くは保たんぞ」
ケンイチ「トロールが起き上がってきた!」
オータ「グンマァの名にかけて トロール、討伐スル」
ケンイチ「でもレベルが違いすぎる・・・!」
オータ「槍、折れル 剣、折れル だがグンマァの心、折れナイ」
オータ「グンマァの戦士、強イ デモ一人でできるコト、多くナイ チカラ、合わせル」
オータ「ケンイチ オマエの中のグンマァ、燃やセ」
ケンイチ(ここで逃げたら現実と同じ・・・ 何も変えられない・・・)
ケンイチ(トロールは予備動作が大きいし攻撃パターンも少ない! オフラインゲームで鍛えた俺ならやれる!)
「グンマァアアアアッ!」
ケンイチ(棍棒をかいくぐって懐に入れ! 死角から死角へ飛び込み続けろ! 半歩でも引けば死ぬ!)
ケンイチ(棍棒の風圧だけでこっちの皮膚が裂ける! せめて防具があれば・・・!)
ケンイチ(いや、どうせ防具ごと砕かれる! なら身軽なほうがまだマシ!)
ケンイチ「パンイチ・ヒップアタック!!」
オータ(巧い!トロールの顔面にブリーフのケツをにかまして戦意をくじいタ! 物理攻撃と精神攻撃の合わせ技!!)
ケンイチ「パンツ一枚あればいい!!」

次のエピソード:第二話 パンツに誓う

コメント

  • それでパンツ一枚になったのか、理由に納得😆😆😆ここからどう突き進んでいくか、気になる展開😊

  • 表紙を見てなぜパンイチ? と疑問に思っていたら、そういうことでしたか! それならパンイチも納得、と笑ってしまいました(笑)

  • こんばんは~!
    お話もパン1の設定もしっかりしていてとても面白いです!なによりギャグセンスが高いですね😂お母さんが、全力で突っ込むところがだいすきでした(笑)
    ゆきちゃん、優しくて可愛いです。
    オータさんのグンマァ!癖になります🤗なんの掛け声なんでしょうか

    とても楽しく読ませて頂きました👍

コメントをもっと見る(18件)

成分キーワード

ページTOPへ