第八話 誓いの花紋(脚本)
〇古い本
様々な苦難を乗り越え、
白檀達は九魔羅を封印し、
宝樹を守る事が出来た。
〇大樹の下
白檀功徳「九魔羅を封印し、宝樹も守ることが出来た。 ──ですが、お兄様。 本当に良いのですか?」
黒檀功徳「良いのだよ。白檀。 私は、もう長くない。 この身を宝樹に捧げられるならば本望だ」
黒檀功徳「私の”魂魄”の内、精神の”魂”が宝樹と同化するだけ・・・。 肉体の”魄”は、来世に引き継がれるだろう・・・」
白檀功徳「・・・では、ここに誓いましょう」
白檀功徳「黒檀お兄様が、宝樹を内から守って下さるのなら・・・ 私も未来永劫・・・外から宝樹を守り続けます!」
黒檀功徳「・・・白檀」
黒檀功徳「それよりも私は、白檀の”普通の幸せ”を願っているよ」
黒檀功徳「──では、私が宝樹と同化したら・・・”経典の実”を皆で分け合うと良い・・・ ”誓いの印”を授けよう・・・」
そう言って、黒檀が宝樹に手をかざすと──
光と共にその姿が吸い込まれていった
〇大樹の下
黒檀が宝樹と同化した直後、風花は止み、”経典の実”が輝きを取り戻す
白檀功徳「・・・お兄様・・・」
空聖「しんみりすんなよ? 黒檀の”魂”は、いつだって”ここ”にあるんだからよ!」
白檀功徳「そうですね・・・。 では、一つ”経典の実”を頂きましょう」
そう言って、白檀は”経典の実”を一つ取り、
それを甘露水の入った竹筒の中に入れる。
すると、その実は甘露水に溶け込んだ
その水を五つに分け、皆に器を手渡す
白檀功徳「願わくば・・・ 輪廻の先でも・・・」
白檀功徳「再び、廻り逢えますように・・・」
白檀功徳「誓いの証が・・・ 呼び合いますように・・・」
白檀功徳「”いただきます”」
空聖「”いただくぜ”!!」
「”いただきます”!」
全員がその水を同時に飲み込むと──
光が全員を包み込み、体に蓮の花の紋様が五人に刻まれた
白檀功徳「”約束”しましょう。 この先、また九魔羅が甦ったら再び集まり・・・共に助け合うと・・・」
白檀功徳「貴方達の姿は変わらないかもしれない・・・。 ですが・・・私の姿は変わってしまう・・・」
白檀功徳「私が使命を忘れていたら・・・ どうか・・・ この”蓮の花紋”で・・・ 私を 見つけてください・・・」
この先、どんなに離れても・・・
この”誓いの花紋”が導いてくれるだろう・・・
私達は・・・
苦楽を共にした・・・
一連托生の仲なんですから・・・
〇雲の上
白栴「”誓いの証”・・・」
白栴「空聖さんは・・・白檀さんが・・・ 好き・・・だったの?」
空聖「・・・好き・・・ ──元々オレは・・・ 黒檀から”白檀を守れ”って念を込められて 顕現したからな・・・」
空聖「オマエを守るためだけに生きてんだ! 好きも嫌いもねーよ!!」
白栴(・・・でも、さっきの言い様じゃ・・・ 空聖さんは白檀さんの事・・・好きって 言ってるようなものだよ・・・)
白栴(あれ? どうして・・・私・・・こんなに二人の事が 気になるんだろ? ・・・モヤモヤする・・・)
空聖「で? オマエは・・・どこまで思い出したんだ?」
白栴「えっ!? えっと・・・」
空聖「オレ様とオマエが恋仲だった事も思い出したのか?」
白栴「えっ!!!? こ、ここここここ!!!! 恋仲だったの!?」
白栴「えっ、あっ! それは・・・失礼しました!!」
空聖「プッ!! 冗談だ!」
白栴「へ?」
空聖「んん? オレ様と恋仲じゃなかったのが・・・ そんなに残念だったか?」
白栴「空聖さんっ!! からかったんですね!!」
空聖「ハハッ! 悪りぃ!悪りぃ!! オマエの百面相が面白くてよ?」
空聖「でもな・・・?」
そう言って、空聖は白栴の頭に手を置く。
空聖「オマエとの”そんな未来”も・・・ 楽しいんじゃねーか? って思ってるのもウソじゃねーよ?」
白栴「へ?」
空聖「ま、オマエ次第だけどよ?」
空聖はグリグリと白栴の頭を撫でて手を離す。
空聖「・・・ところで、九魔羅はどうするよ?」
白栴「・・・」
空聖「もう一度、封印しても・・・またオマエと宝樹を狙って現れるぞ? それは・・・未来永劫・・・続く・・・」
白栴「それね・・・一つ考えたんだけど・・・ ”聖なる宝樹の実”を九魔羅に食べさせたら・・・どうなるの?」
空聖「・・・・・・・・・ 邪悪な力が中和される?・・・かもな?」
空聖「上手く行けば・・・ただの人にさせる事が出来るんじゃねーか!?」
空聖「よしっ! 早速、戻って試してみよーぜ!」
〇大樹の下
空聖と白栴が空から戻ると──
蓬戒「あ、戻ってきた。戻ってきた!」
天玉「遅いぞ!空聖!」
簾浄「白栴さん・・・空聖の説得、上手くいったようですね」
九魔羅「チッ・・・」
白栴の爺様「・・・して、どうするのじゃ?」
白栴「空聖さんと話したんだけど・・・」
空聖「九魔羅! この実、食え!!」
九魔羅「・・・なっ!? んぐっ!?もが・・・もが・・・ごっくん!!!!」
空聖は、宝樹から実を一つもぎ取り・・・
有無を言わさず──
九魔羅の口に突っ込んだ
九魔羅「ぐっ・・・!!がっ・・・!? はっ・・・!!」
九魔羅の中で、聖と邪の力がせめぎ合い・・・明滅する
天玉「空聖? 何を・・・?」
空聖「まぁ、見てろって♪」
九魔羅「ぐあぁぁああああぁ・・・──!!!!!!!!!!!!」
──しばらくして、光と共に九魔羅の翼は消え・・・そこに立つのは・・・
白栴「せ、成功した・・・?・・・かな・・・?」
九魔羅「空聖ぃぃ!!!! 我に何をした!?」
空聖「何って・・・ ”聖の経典の実”を食わせただけだぜ?」
蓬戒「九魔羅から・・・魔王の気配が・・・消えてる!?」
簾浄「これでは・・・九魔羅は・・・」
空聖「まだ僅かに邪の気が残っているようだが・・・ 人間(殭者寄り)になったみてーだな♪」
白栴の爺様「ほっほっほ! これはすごい!!」
天玉「では、これでもう悪巧みは出来ないという事だな!」