登りたい!(脚本)
〇山の中
石塚ゆら「げ、下山・・・?」
矢間「顔色が悪い。寝れてないんだろう」
石塚ゆら(副部長・・・先生に言いに行ったんだ)
部長「右足親指も腫れてます」
矢間「とりあえず応急手当して、テントで休憩したあとで下山する」
矢間「いいな」
石塚ゆら(そっか・・・あたし、邪魔なんだ)
石塚ゆら(足手まといになっちゃったんだ・・・)
石塚ゆら「・・・すみません 体調崩したりして・・・」
部長「違うのよ石塚さん」
石塚ゆら「ちょっとトイレ行ってきます!!失敬!!」
部長「あ・・・」
矢間「部長。お前たちは予定通りの行程でいきなさい。峰岸先生がついてくださるから」
部長「はい・・・」
矢間「石塚には、俺がついて下山する」
部長「よろしくお願いします」
〇山道
ザッ・・・ザッ・・・
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら(そうだよね・・・山頂まで行って歩けなくなったりしたら大変だもん)
石塚ゆら(なのに、隠そうとしたりして・・・)
石塚ゆら(先生の笑顔どころか・・・あきれられちゃったよね、きっと)
『あんたなんかどこ行っても変わんないよ』
石塚ゆら(だめだな・・・あたし・・・ またうまくいかないのかな・・・)
矢間「エスケープルートを使うから、往路よりは時間もかからないはずだ」
矢間「ゆっくりでいい。浮き石に注意して歩けよ」
矢間「・・・」
ザッ・・・ザッ・・・
矢間「小休止にしよう」
石塚ゆら「あ・・・ハイ」
矢間「地図ひらけ」
石塚ゆら「へっ?」
矢間「地図。出しなさい」
石塚ゆら「あ、はい・・・えーとえーと」
矢間「地図はすぐ出せるようにサイドポケットやザックの蓋ポケットに入れておくといい」
石塚ゆら「なるほど・・・」
矢間「よし」
矢間「さっき出発したテント場はここだ」
石塚ゆら「はい」
矢間「今どこだと思う」
石塚ゆら「へっ!?迷ったんですか!?」
矢間「違うわ!!練習だ!!」
矢間「地図を読む、読図(どくず)の練習!! ・・・今日、やるはずだったらしいからな」
石塚ゆら「なんだびっくりした~」
矢間「さっき曲がったのがここ。そのあと傾斜がきつくなったのがここだ」
石塚ゆら「あ~じゃあ今はこのへん?ですかね?」
石塚ゆら「え?てか、せんせーが代わりに教えてくれるんですか?」
矢間「・・・俺じゃ不満か」
石塚ゆら「い、いやそうじゃなくて!!」
矢間「はい、小休止おわり。地図のさっき指差してた地点にはバツつけとけよ」
石塚ゆら「あ、待ってー!!」
〇山中の川
ザァァァ・・・
石塚ゆら「・・・きれい」
石塚ゆら「なんかここめっちゃきれいですね」
矢間「だいぶ下りてきたな」
石塚ゆら(・・・てか今さらだけど)
石塚ゆら(2人きりじゃん・・・!?)
石塚ゆら(しかもなんか真剣な顔でみつめられている・・・!?)
矢間「石塚」
矢間「山は楽しいか?」
石塚ゆら「え?」
石塚ゆら「うーん・・・」
石塚ゆら「超楽しい~!!」
石塚ゆら「とかではないんですけど」
石塚ゆら「なんか・・・面白いです」
石塚ゆら「あと・・・この景色、先輩たちとも見たかったなって」
石塚ゆら「そんなかんじです」
矢間「・・・そうか」
石塚ゆら(って言っても、もうこれで入部はムリだよね)
石塚ゆら(あー・・・)
石塚ゆら(あたし・・・サンガクブのこと、けっこう好きになってたんだな・・・)
矢間「足は・・・どうだ」
石塚ゆら「あ、意外と痛みは落ち着いてます」
矢間「テーピングし直す。下山したら病院で診てもらおう」
矢間「見たところ、骨ではなさそうだから・・・ 来月の大会には間に合うといいがな」
石塚ゆら「ハイ・・・そっすね・・・」
「・・・」
石塚ゆら「え?」
矢間「だが足に負担のかからないトレーニングは欠かすなよ!!」
矢間「天気図はなかなかだったが・・・装備の知識や読図についてはまだまだ大会レベルにはないからな!!!!」
石塚ゆら「・・・先生って」
矢間「なんだ」
石塚ゆら「ツンデレ・・・って言われません?」
矢間「は?」
石塚ゆら「すごい萌えます!!!!」
矢間「・・・あのなあ!!」
〇田舎駅の待合室
副部長「お、来た来た」
副部長「よかったねー!全治2週間くらいだって?」
矢間「なんだ、まだ残ってたのかお前たち」
副部長「あーちょうど電車乗り損ねちゃって!」
副部長「というわけで次の電車くるまで・・・」
ガシィィッ
副部長「ちょっくらいってきまーす!!」
石塚ゆら「え!?あたしも!?どこへ!?!?」
矢間「はいはい、行ってこい」
峰岸「お疲れ様、矢間先生」
矢間「あ、峰岸先生!今回はありがとうございました」
峰岸「入部はみとめることにしたみたいだね」
峰岸「どういう風の吹きまわしだい?」
矢間「・・・なんだか思い出してしまって」
矢間「登りはじめたときは、あんなかんじだったなと・・・俺も・・・『あいつ』も」
峰岸「あはは、そうだね~君たちはね、特に危なっかしかったね!!」
矢間「・・・」
矢間「彼女も・・・まだまだ危なっかしいですが、そこをちゃんと導いてやるのが俺の仕事なのかなと思ったんです」
峰岸「楽しみだね、これからが」
〇露天風呂
副部長「かーっ!!下山からの風呂からのアイス最高ー!!」
石塚ゆら「しみるー!!」
石塚ゆら「って、よく見つけましたねこんな温泉・・・」
長老「ここには毎年来てるんだ」
長老「行きつけだな」
副部長「ゆらっちを連れてこないわけにはいかないっしょ~」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「ぐうっ・・・」
部長「石塚さん!?そんなに足が痛むの!?」
石塚ゆら「ずびばぜんでじだ・・・だんがびどびでびどびどがんがべばっべ・・・」
部長「そうだったのね」
副部長「え、全然聞き取れなかったんだけど」
長老「私も・・・口下手なせいで1人だけで悩むことが多かった」
副部長(え、聞き取れなかったのあたしだけ?)
長老「でも、それは他のメンバーを危険にさらすことにつながる」
長老「必ず、つらいときや「おかしい」と思ったときは周りに言うんだ」
長老「そのせいで山に登れなくなったとしても、誰もその1人を責めない ──それが山岳部だと、私は思う」
石塚ゆら「長老センパイ・・・」
副部長「まあつまり、」
副部長「これからもよろしくねってこと!!」
副部長「入部おめでとう!!めざせインターハイ!! カンパーイ!!」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「・・・よろしくお願いします!!!!」
〇電車の座席
矢間「すーーー・・・」
石塚ゆら(寝てる・・・)
石塚ゆら(そうだよね、あたしの装備もほとんど運んでくれてたし・・・)
石塚ゆら(ヤバ・・・ほんとにマジでめっちゃ好きになってきちゃったな~)
石塚ゆら(今回は笑ってるところは見られなかったけど・・・県大会で優勝したら笑ってくれるかなあ)
副部長「お、寝込みを襲うのはだめですよ~?」
石塚ゆら「ぎゃっ」
副部長「最初はノリで言ってるのかと思ったけど、けっこう本気なんだ?矢間先生のこと」
石塚ゆら「い、いや~デヘヘ・・・」
副部長「ん~でもなあ」
副部長「矢間先生を淫行で犯罪者にするわけには・・・」
石塚ゆら「ギャー淫行って!!副部長のすけべー!!」
副部長「いやまじで・・・まあそんな心配するレベルじゃなさそうだけどさ」
副部長「ん~・・・あと・・・」
副部長「すぐわかると思うから言っちゃうけど・・・」
副部長「矢間先生、恋人いるよ」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「マジすか」
恋に登山(下山)に大忙しのゆらですね。溢れんばかりのエネルギーで暴走もしつつで、青春しちゃってますね!矢間先生との恋愛(?)模様にも動きが、、そちらの展開も気になります。
みんなの優しさにほっこりしました^^青春ドラマを見てるような感覚で、続きが楽しみです。
回を追うごとに、メンバーのキャラも立ってきて、それぞれにフォーカスした話も見たくなりそうです!