白の都

アシア

城下町編 ミケラノヴァ(脚本)

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〇ファンタジーの教室

〇古生物の研究室

〇ファンタジーの教室

〇ボロい校舎
ダフィー「・・・あ、頭パンクしそう」
  グレイス王立学園。
  噂には聞いていたが、実際は噂以上であった。
  国内の学問の粋が集められており、王族の勉学に匹敵する。
  あまりの難易度に地方の天才が挫折していく。
  何言ってるのかすら分からない。
  ・・・最後の程では無いが、私には基礎課程の今ですらついていくのがやっとであった。
  入学して1ヶ月過ぎて、もう既に挫折してしまいそうである。
ダフィー「・・・これでもタレイアでは一番勉強が出来たんだけどなぁ」
  タレイアの天才もグレイスでは井の中の蛙であったらしい。
  ・・・それに加えて。
ダフィー「今日も居ないかな、ケル・・・」
  あの日から、ケルの姿を見なくなって数週間が経っていた。
キリエ「帰りかな、ダフネ?」
ダフィー「キリエ?」
キリエ「暗い顔してどうしたの?」
キリエ「愛しのあの人がまた見当たらないのかな?」
ダフィー「もう・・・」
ダフィー「何度も言ってるでしょ?」
ダフィー「ケルは女の子だって」
キリエ「とは言っても私まだ見た事無いしなぁ」
ダフィー「んー・・・」
ダフィー「やっぱこの前のが不味かったかなぁ」
キリエ「あぁ、夕食に駆け込んできた時」
ダフィー「・・・ケルの家、厳しいみたいな事言ってたしなぁ」
キリエ「・・・その罰として、とか?」
ダフィー「・・・どうなんだろう」
  考えてみるも私はケルとは数度会っただけである。
  まだまだ何も知らないと言っても過言ではない。
キリエ「まぁ、でもきっと何か連絡があるって」
ダフィー「・・・だといいんだけど」
キリエ「ほらほら、用事も無いなら早く帰ろう?」
キリエ「明日はまたテストだよ・・・」
ダフィー「・・・うっ!?」
  キリエの言葉でまた頭痛がしてきそうになる。
ダフィー「明日って・・・、数学か」
キリエ「うぅ、外国語なら行けたのに・・・」
ダフィー「そっかキリエの家は商家だっけか」
キリエ「お父様の仕事に着いていってたりしてたからね」
キリエ「・・・一応近隣国の標準語の日常会話ならいけるよ?」
ダフィー「じゃあ専門課程は外国語?」
キリエ「・・・」
ダフィー「キリエ?」
キリエ「・・・なんか聞くところによると外国語の専門課程は論文の翻訳とか外交とかやらせられるらしい」
ダフィー「・・・う、うん?」
ダフィー「そうなんだ」
キリエ「・・・さすがに自信無いよ?」
ダフィー「・・・頑張って」
キリエ「はぁ、けど私が一番得意なのも外国語なんだよねぇ」
キリエ「・・・ダフネは専門はどうするつもり?」
ダフィー「・・・私は」

〇西洋の住宅街

〇ボロい校舎
ダフィー「──ケル!?」
キリエ「え?」
キリエ「・・・あの校門前に居るメイドと女の子の二人組?」
ダフィー「女の子の方!!」
ダフィー「ごめん、キリエ!!」
ダフィー「ちょっと行ってくる!!」
キリエ「あ、うん」
キリエ「行ってらっしゃい・・・?」

〇西洋の住宅街
ダフィー「ケル!!」
ケル「ダ、ダフィー!?」
ダフィー「また会えて良かった!!」
ダフィー「この前は」
ローディア「失礼」
ローディア「貴方がダフネで間違いありませんか?」
ダフィー「え?」
ダフィー「は、はい」
ダフィー「そうですが・・・」
ローディア「フルネームをお聞きしても?」
ケル「ちょっとローディ!?」
ダフィー「え、えと?」
ダフィー「ダフネ・ウィーナー、です」
ケル「ローディ!!」
ケル「いきなりそんな」
ローディア「失礼ですがミ、・・・ケル様」
ローディア「貴方の見守りと身辺警護を承っている身としましては見過ごせませんので」
ケル「だからダフィーはそんな人じゃないって!!」
ローディア「・・・そう言われましても」
ローディア「無断外出して身元も分からない人間と仲良くなった、と言われて何もしない訳にはまいりません」
ケル「が、学園の生徒って言ったでしょう?」
ローディア「・・・確かにグレイス王立学園の生徒ならば身元も把握してあるでしょうが」
ローディア「身分を偽っている可能性もありましたので」
ケル「もー、疑り深いなぁ」
ローディア「これが仕事ですので」
ダフィー「え、えと?」
ケル「ごめんね、ダフィー・・・」
ケル「ちょっと面倒な事になっちゃって」
ダフィー「・・・やっぱりこの前の?」
ケル「う、うん・・・」
ダフィー「やっぱり・・・」
ダフィー「・・・よし」
ダフィー「あ、あのローディさん!!」
ローディア「はい」
ダフィー「その節は本当に申し訳ありませんでした!!」
ローディア「・・・はい?」
ダフィー「私がケルにグレイスを案内して欲しいってお願いしたんです!!」
ダフィー「都の色んな場所を教えて欲しい、って・・・」
ダフィー「だからあの日ケルの帰りが遅くなったのは」
ケル「ダ、ダフィー!?」
ケル「いや、あれは私が夕焼けがみたかったから・・・」
ダフィー「ううん、元はと言えば私が」
ローディア「・・・あ、あの?」
ダフィー「だからローディさん!!」
ダフィー「本当に申し訳ありませんでした!!」
ダフィー「だからケルにあまり厳しくしないで下さいませんか?」
ケル「だからそれは違うんだって!?」
ローディア「・・・二人とも落ち着きなさい!!」
「!?」
ローディア「はぁ・・・」
ローディア「まず、二人で出掛けた日の顛末は既にケル様から聞いております」
ローディア「その時の折檻と言うことならこの数週間、婦人にケル様はしごかれています」
ダフィー「え、ケル!?」
ダフィー「だ、大丈夫だったの!?」
ケル「大丈夫だよ」
ケル「そもそもよく怒られてるから・・・」
ローディア「それは反省致してください」
ケル「が、頑張ります」
ローディア「ふぅ・・・」
ローディア「そういう訳ですので、むしろこちらも失礼を働きました」
ローディア「お名前をお聞きしたのは貴方様がどのような人間か調べるためです」
ダフィー「・・・あ、そういうことですか」
ダフィー「えと、じゃあ今後ケルとは会うな、とかには・・・」
ローディア「それは婦人が判断する事ですので」
ローディア「申し訳ありませんがここでお答えする事は出来ません」
ダフィー「そ、そうですか・・・」
ケル「だ、大丈夫大丈夫」
ケル「いざってなったらまた抜け出すから」
ローディア「・・・」
ローディア「・・・ケル様?」
ケル「ローディに何と言われたって無駄だからね」
ケル「お母様に直談判してでも行くからね!!」
ローディア「・・・はぁ」
ローディア「一緒に婦人を説得する身にもなってください・・・」
ケル「ローディ!!」
ダフィー「え、えと・・・?」
ローディア「・・・ふぅ」
ローディア「改めてまして、ダフネ様」
ダフィー「は、はい」
ローディア「私、ケル様に支えております」
ローディア「従者のローディア・シュライクと申します」
ローディア「今後ともお付き合いをさせていただくと思いますので、よしなに」
ダフィー「え、え、ええ?」
ダフィー「よ、よろしくお願いします・・・」
ケル「ありがとう、ローディ!!」
ローディア「・・・抜け出されるより、状況を把握できる方が重要なので」
ケル「うんうん!!」
ケル「今度からはきちんのローディに伝えていくから!!」
ローディア「あまり好き勝手出歩かれるのも困るのですが・・・」
ケル「だって暇なんだもんー・・・」
ローディア「言葉づかい!!」
ケル「はーい」
ローディア「伸ばさない!!」
ケル「はい・・・」
ローディア「まったく、もう・・・」
ダフィー「あのー、そういえばさっきからケル様って言ってますけど、もしかして・・・?」
ケル「ん、何?」
ダフィー「も、もしかしてケル、様って何処か名家のお嬢様だったりします・・・?」
「・・・」
ダフィー「わ、私何かご無礼を働いた、とか・・・」
ケル「・・・んー、いや、まぁ」
ケル「・・・そういうのって比較できる物じゃないからね」
ケル「確かに裕福ではあるけど・・・」
ケル「というか、そのケル様ってのと敬語は止めて・・・」
ダフィー「え、えと・・・」
ローディア「・・・ケル様がそう仰るなら私は構いません」
ローディア「・・・自らの言葉の責任は自らで負ってもらいますので」
ケル「・・・ローディ、怖いって」
ダフィー「・・・うん」
ダフィー「分かった!!」
ダフィー「だったらこれからも宜しくね、ケル」
ケル「うん・・・」
ケル「ありがとう、ダフィー!!」
ローディア「・・・では、目的も果たしましたし、これで一旦帰りましょうか」
ケル「えー・・・」
ローディア「・・・出掛けてそうそう帰りが遅くなるなど、今度は本当に部屋に閉じ込めますよ」
ケル「はい・・・、帰ります」
ローディア「そういう訳ですのでダフネ様、急でしたが失礼致しました」
ローディア「おそらくあと数日後にはケル様も外出出来るようになると思いますので、もうしばらくお待ち下さい」
ダフィー「は、はい」
ダフィー「ありがとうございます、ローディアさん」
ローディア「いえ・・・」
ローディア「・・・可能であれば、ケル様を今後とも宜しくお願い致します」
ローディア「・・・お転婆ですが、優しい方ですので」
ケル「ロ、ローディ!?」
ダフィー「はい!!」
ケル「ダフィーまで!?」
ケル「恥ずかしいなぁ、もぅ・・・」
ローディア「では、私達はこれで」
ローディア「ご学友との歓談時に邪魔をして申し訳ありませんでした」
ダフィー「え、・・・あ!?」

〇ボロい校舎

〇西洋の住宅街
ダフィー「き、キリエ!!」
ダフィー「だいぶ待たせちゃってる!?」
ローディア「私達はもう行きますね」
ローディア「重ね重ね、失礼を致しました」
ケル「バイバイ、またねダフィー」
ダフィー「う、うん」
ダフィー「またね、ケル!!」
ダフィー「ご、ごめん、キリエ!!」
ダフィー「話ので途中で・・・」
キリエ「いやいやー、いいよいいよ」
キリエ「やっと思い人に会えたんだからしょうがない」
ダフィー「もー、まだ言うの?」
ダフィー「ケルはちゃんと女の子だったでしょう?」
キリエ「確かに可愛い子だったよねぇ」
キリエ「一緒にいたメイドさんも美人だったし・・・」
ダフィー「その人は今日初めてあったけどね」
キリエ「あ、そうなんだ」
キリエ「・・・んー」
ダフィー「キリエ?」
ダフィー「どうしたの?」
キリエ「・・・いや、あの子何処かで見たような」
ダフィー「都の中ですれ違ってるんじゃない?」
キリエ「そうなのかなぁ?」
キリエ「あんまり人の顔は忘れないんだけど・・・」
キリエ「んー・・・?」
キリエ「・・・うん、分かんないや」
ダフィー「そう?」
ダフィー「なら早く帰ろう」
ダフィー「・・・明日のテストのために」
キリエ「・・・そだね」
「はぁ・・・」

〇西洋の城

〇洋館の廊下
ローディア「ミケラノヴァ様」
ローディア「・・・ダフネ様とは本当にただ偶然知り合ったのですよね?」
ケル「そう言ってるでしょー」
ケル「話しかけたのだって私の方からだよ?」
ローディア「そうですか」
ケル「ダフィーの事まだ疑ってるの?」
ローディア「とても誠実な方だとはお見受けしました、が・・・」
ローディア「・・・警戒を解くわけにはいきませんので」
ケル「もー、真面目だなぁ」
ローディア「だからこそ、今の職に着いています」
ローディア「・・・一応念のため」
ローディア「ダフネ様は貴方様の事に気付いていらっしゃらないのですよね?」
ケル「グレイスに来たのも初めてって言ってたから、たぶん・・・」
ローディア「・・・名家のお嬢様、ですか」
ケル「う・・・」
ローディア「裕福ではある、と・・・」
ケル「うぅ・・・」
ローディア「はぁ・・・」
ローディア「私はこのまま今日の事の報告に行ってきます」
ローディア「今日はもう外出したりなどなさらないように」
ケル「はい、分かっております」
ローディア「では、これで失礼致します」
ローディア「また夕食時に」

〇貴族の部屋
ローディア「・・・失礼致します」
ローディア「ただいま戻りました、ローディアです」
ローディア「ミケラノヴァ様が知り合ったという女性に関して報告に参りました」
ローディア「名前はダフネ・ウィーナー」
ローディア「グレイス王立学園の生徒に間違いは無いようです」
ローディア「詳しい身元に着きましては分かりしだい」
ローディア「・・・え?」
ローディア「あ、あの、それはどういう・・・」
ローディア「い、いえ、しかし・・・」
ローディア「・・・はい」
ローディア「ですが、宜しいのですか?」
ローディア「身元の調査も、警戒する必要も無いとは一体どういう・・・」

〇ボロい校舎
「終わったー・・・」
ダフィー「何とか合格したぁ・・・」
キリエ「私もギリギリセーフ・・・」
ダフィー「あの数学のテストなんなのー・・・」
ダフィー「授業で習った公式そのまま使うと解けないとか・・・」
キリエ「・・・応用しろ、って言われてもね」
キリエ「私あの問題まんまと引っ掛かって時間かなり無駄にしちゃった・・・」
キリエ「しばらく数式は見たくなーい・・・」
ダフィー「けど講義自体は明日からもあるからねー」
キリエ「うぅ・・・」
キリエ「心が折れそう・・・」
ダフィー「頑張ろう、キリエ」
ダフィー「ほら、今日は帰りに甘いものでも食べて」
ケル「ダフィー!!」
ダフィー「へ!?」
ダフィー「ケ、ケル!?」
ダフィー「え!?え、え!?」
ダフィー「な、何で!?」
ダフィー「す、数日は会えないんじゃ!?」
ケル「何故かお母様が許可をくれたの!!」
ケル「ダフィーの元に行くなら構わないって!!」
ダフィー「え、でも、ローディアさんは・・・」
ケル「ローディならあそこ」

〇西洋の住宅街

〇ボロい校舎
ケル「ほら、あそこにいるでしょ?」
ダフィー「あ、ほんとだ」
ケル「ローディの護衛付きなら良い、って」
ケル「だから・・・」
ケル「え、えと、確かキリエさん、だよね?」
キリエ「私?」
キリエ「うん、そう」
キリエ「キリエ・マルチネスだよ」
キリエ「そっちはケルだよね?」
キリエ「話はダフネから常々」
ダフィー「ちょっとキリエ!?」
ケル「うん、宜しくね」
ケル「それで、何だけど・・・」
ケル「これから度々私がダフィーに会いに来ることになるんだけど、大丈夫かな?」
キリエ「え?」
ケル「いや、学生でもない私が居ちゃ不味いかな、って・・・」
ケル「年もたぶん下だし・・・」
キリエ「そんなの私気にしない気にしない」
キリエ「むしろダフネの事で協力して欲しいくらい」
キリエ「この子まだクラスで他人行儀なんだよ?」
ダフィー「そ、そんな事・・・!?」
ケル「へぇー、以外」
ケル「私とはそんな事無かったのに」
キリエ「え、ホントに?」
ダフィー「もぅ、二人とも!?」
キリエ「ふふっ」
ケル「ダフィー必死だね」
ダフィー「怒るよ!?」
キリエ「いやー、これからテストだらけの学園生活が楽しくなりそうだ」
ケル「あ、やっぱり学園ってそんなに大変なの?」
キリエ「ダフネと二人で何とかかんとかやってるよー」
キリエ「今日もテストがギリギリ・・・」
ケル「そうなんだ・・・」
ケル「私も来年頑張らなくちゃ」
キリエ「お、来年は後輩なのかな」
ケル「そうなれるように頑張るよ」
ダフィー「・・・何で二人でともそんなに仲良くなるのが速いの?」
キリエ「・・・ダフネ、嫉妬?」
ダフィー「違うよ!?」

〇西洋の住宅街
ローディア「・・・はぁ」
ローディア「一体どういう事なんでしょうか・・・」
ローディア「これ以上彼女の経歴など調べなくて良い、所か・・・」
ローディア「もう警戒の必要も無い?」
ローディア「なるべくミケラノヴァ様と一緒に護衛する?」
ローディア「ダフネ・ウィーナー・・・」
ローディア「彼女は一体・・・」

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