夏は嵐の色模様

ゆすらうめぞう

エピソード1(脚本)

夏は嵐の色模様

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〇結婚式場のレストラン
  ホテルのパーティー会場に、若い男女が集まってくる。

〇結婚式場の入口
佐藤渚「こんばんは。」
佐藤渚「中井一馬さんと敦子さんの 結婚式二次会パーティー受付は、こちらです。」
吉岡真奈美「あ、えっと… こちらにお名前をお書きください…」
佐藤渚「(小声で) 真奈美、もっとはきはき喋らないと。」
吉岡真奈美「ご、ごめん… こういうの苦手で…」
佐藤渚「ほら、友希のこと見てみなよ。 さすがだよ。」
  受付から少し離れたところに、カメラを持った友希が立っている。
長瀬友希「受付を済まされた方は、こちらで写真を撮って、新郎新婦へのメッセージをお書きくださーい!」
  友希は、その場で現像できるカメラで、パーティー参加者の写真を撮っている。
  参加者たちは撮った写真にメッセージを書き込んでいる。
  新婦・敦子の親友である
  真奈美、友希、渚の3人は、
  二次会パーティーの手伝いをしているのだ。
吉岡真奈美「友希ちゃんすごい。 このあと二次会の司会もやるのに…」
佐藤渚「ほんと、女子の鑑だよね。」
吉岡真奈美「来月は友希ちゃんのウエディング ドレス姿が見れるのも、楽しみ。」
佐藤渚「しかも石垣島だもんね、旦那さん絶対お金持ちでしょ。」
吉岡真奈美「あーあ、私だけいつまでも結婚できないよ…」
佐藤渚「なに言ってんの。今日探さないと!」
吉岡真奈美「え、何を?」
佐藤渚「彼氏に決まってんじゃん! マッチングアプリに良い人いたの?」
吉岡真奈美「いや、全然…おじさんばっかり…」
佐藤渚「趣味に歌舞伎って書くからだよ。」
吉岡真奈美「だって… 他に書けるような趣味ないんだもん…」
吉岡真奈美「なぎちゃんはいいよね、彼氏さんと同じ趣味で。」
佐藤渚「うちの彼氏はスキューバのサークルで出会ったからね。」
吉岡真奈美「一緒に住んで、もう3年? そろそろ結婚するんでしょ?」
佐藤渚「うーん… まだまだかなぁ…」
  渚は一瞬だけ暗い顔になったが、すぐに笑顔をつくる。
佐藤渚「そんなことより、今日誰かの連絡先ゲットしなね。」
吉岡真奈美「え、二次会でってこと?! 無理無理!絶対に無理!」
佐藤渚「そんなこと言ってるから いつまでも恋人できないんだよ。」
佐藤渚「ほら。あの人なんかどう?」
  渚が指差した先では…
  友希が新郎の友人と話している。
佐藤渚「あの人けっこういい感じじゃない?」
吉岡真奈美「えーいきなりそんなこと言われても…」
長瀬友希「あ、あの子たち、私の友達です。 紹介しますね。」
長瀬友希「真奈美!渚!こっちおいでよ!」
  その時、新郎の一馬がやってきた。
中井一馬「よ!」
土屋涼介「ええ!? 新郎がこんなところにいていいのかよ。」
中井一馬「新婦と違って俺はたいして支度もないからさぁ。 暇になっちゃって。」
中井一馬「友希ちゃんたち、受付手伝ってくれてありがとうね。」
長瀬友希「いえいえ!」
佐藤渚「そちらは一馬さんのご友人ですか?」
中井一馬「そうそう。会社の同期の土屋。」
中井一馬「独身なの。 いい奴だから誰かもらってやって。」
土屋涼介「おい、やめろって。」
長瀬友希「あ、それなら!」
佐藤渚「この子フリーです!吉岡真奈美です!」
吉岡真奈美「ちょっと、なぎちゃん!」
長瀬友希「しかも、とってもいい子です! 是非もらってください!」
吉岡真奈美「え、ちょっと、友希ちゃんまで…」
中井一馬「お、真奈美ちゃんフリーなんだ。」
中井一馬「よかったな、土屋。」
土屋涼介「よかったなって…」
中井一馬「あ、やべ。俺もう行かなきゃ。 敦子に怒られる。」
中井一馬「じゃあ後でな!」
  一馬は廊下を歩いて行った。
長瀬友希「私も司会の準備しなくちゃ。」
長瀬友希「先に行って、スタッフさんに挨拶してくるね!」
  友希も一馬の後を追うように、その場を去った。
佐藤渚「ほら、真奈美。 土屋さんに挨拶しなよ。」
吉岡真奈美「う、うん…」
吉岡真奈美「あ…えっと…」
土屋涼介「ああ、吉岡さん…でしたっけ。」
吉岡真奈美「はい。その…よろしくお願いします…」
土屋涼介「土屋です。よろしく。」
土屋涼介「では、また後ほど。」
  土屋はそそくさと会場へ入っていった。
吉岡真奈美「はぁ…」
佐藤渚「土屋さんもシャイだな、ありゃ。」
佐藤渚「まぁもうすぐパーティー始まるし、また後で話しかけなよ。」
吉岡真奈美「もう自信ないよ…」
吉岡真奈美「それより、私たちも会場に入らないと。」
佐藤渚「あ、真奈美まだ写真撮ってないでしょ? 私はさっき撮ったけど。」
吉岡真奈美「そうだった! なぎちゃん撮ってくれる?」
  渚は真奈美に向けてカメラを構えた。
佐藤渚「はい、チーズ。」
  カシャッ
吉岡真奈美「ありがと、なぎちゃん。」
  真奈美はカメラから出てきた写真を持って、パタパタあおぐ。
  現像された写真が浮かび上がると、そこには…
佐藤渚「え?! これって…」
吉岡真奈美「私の後ろに写ってるのって…」
  少しピンボケしているが、廊下の奥に写っていたのは…
  ぴったり寄り添った2人の姿。
「友希と、一馬さん?!」
  真奈美は後ろを振り返ったが、廊下にはもう誰もいない。
「・・・・・・。」
吉岡真奈美「ど、どうしよう…」
佐藤渚「と、とりあえずこの写真は隠して!」
吉岡真奈美「友希ちゃん…なんで…」
  その時、困惑する2人の耳に届いたのは…

〇結婚式場のレストラン
長瀬友希「お集まりの皆さま、間もなくパーティーが始まりますので、お座りください!」
  パーティー会場から、司会の友希の声が響いた。

コメント

  • セリフ回しが自然で実際に居合わせたかのようにゾワゾワしました。
    この期の展開が気になりますね!

  • 敦子さんは気づいているんでしょうか…ハラハラする終わり方です。真奈美さんと土屋さんにご縁があるかどうかも気になりますし、渚さんの表情も心配ですね。3人それぞれに良いキャラ付けがあって面白いです。カメラは怖いですね〜。

  • ストーリ展開がうまく構成されていて内容も楽しいと思いました。登場人物のキャラクターも掴めるようなつかめないような感じがしていいなと思いました。続きが気になります。

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