アテナ任務遂行中!

木佐マコ

第29話 パパが帰ってきた!③(脚本)

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〇コンテナヤード
高原みこ「あはは! こんなおっきいブランコ初めてだよ~、ママ!」
  クレーンにぶら下がる巨大ブランコを楽しむみこの下で、彼女の母・真理恵(まりえ)とアテナが対峙していた。
高原真理恵「私たちが決着をつける間、あの子には遊んでてもらいましょ」
アテナ「・・・父親が暗殺を依頼し、母親が暗殺を?」
高原真理恵「そういうことになるわね。 うふふっ、サプラ~イズ!」
アテナ「・・・誰が相手でも、私は御主人(マスター)を守るだけです」
高原真理恵「口だけは立派ね。でも、落ちた時に足を怪我したみたいじゃない?」
アテナ「・・・っ、問題ありません」
高原真理恵「飛べなくなったんでしょ? あんなに高い場所にいるみこを、どうやって救うつもり?」
アテナ「貴方を倒して」
高原真理恵「うふふっ、そうね、でもそれだけじゃ助けられないのよ。・・・点火して!」
  真理恵がパチンと指を弾くと、クレーンの下の導火線から火が上がった。
アテナ「!?」
高原真理恵「クレーン頂上に仕掛けたダイナマイトが爆発するまで、あと3分といったところかしら」
アテナ「くっ! それでも諦めません!」

〇川に架かる橋
  象に乗った丞次が市街地を進む。
象「パオパオ~~ッ!」
男性「象!? 動物園から逃げてきたのか?!」
象「パオパオ~~ッ!」
高原丞次「ああ、そのまままっすぐだ」
高原丞次「そろそろ、あいつの大冒険が始まった頃か」

〇通学路
アテナ「私は未来から御主人(マスター)を守るために来ました」
高原丞次「ふうん、誰かに頼まれてか? それとも自主的に?」
アテナ「・・・命じられた任務です。御主人(マスター)を無事に・・・生きて高校を卒業させるという任務」
高原丞次「高校を? 変な任務だな。 守れなかったらどうなる」
アテナ「未来で・・・人類は滅亡する」
高原丞次「は~はっは! あいつが生きて高校を卒業すれば、人類は滅亡しないって? そりゃ面白い!」
アテナ「未来の研究者が何度も過去を検証してたどり着いた、人類を救う唯一の条件」
アテナ「それが『高原みこが高校を無事に卒業すること』なのです」
高原丞次「何度も過去を検証、ねえ・・・」

〇川に架かる橋
高原丞次「なかなかあいつも楽しい冒険してるみたいだな」
象「パオパオ~~ン!」

〇コンテナヤード
  闇に紛れた黒づくめの男たちが、次々とアテナに襲いかかる。
高原みこ「びゅんびゅ~~~ん! このまま空飛べちゃいそう~」
アテナ「御主人(マスター)・・・!」
高原真理恵「ほらほら、アテナちゃん! 急がないと爆発しちゃうわよ!」
  導火線の火花が、少しずつクレーン上部にあるブランコに近づく。
黒づくめの男「くらえ、はぁっ!」
アテナ「くっ! でも、一人一人の戦闘能力は低い!」
黒づくめの男「痛っ! わあぁ!」
高原真理恵「アテナちゃんの必死な顔、ぞくぞくしちゃう」
アテナ「残るは貴方だけです! はあっ!」
  突き飛ばそうと迫るアテナを、真理恵はかろうじて避ける。
高原真理恵「くっ、なかなかやるわね、アテナちゃん!」
高原真理恵「私からも行くわよ! とりゃ!」
  真理恵の渾身の一撃。しかし──
アテナ「・・・?」
高原真理恵「たぁ! ほわぁっ! ターンして、回し蹴りっ!」
アテナ「っ、弱い」
高原真理恵「たぁ、たぁ、たぁ~~っ!!」
アテナ「・・・? 殺気を感じさせないのではなく・・・最初からない?」
  真理恵の足首を掴んで弾き飛ばす。
高原真理恵「きゃんっ!」
アテナ「・・・まったく手ごたえがない。凄腕の暗殺者とは、本当に貴方なのですか?」
  アテナは眉をひそめて真理恵の顔を掴む。
高原真理恵「・・・っ!」
男の声「あ~、ちょっと止めて! カーーーーーット!!」
アテナ「!?」
高原真理恵「なによ監督、今の最高にシリアスだったのに!」
監督「角度が最悪だったよ~真理恵ちゃんの可愛い顔、カメラの死角入ってんだもん」
アテナ「ま、待ってください。これは一体」
高原真理恵「本気のアクションが撮りたかったけど、やっぱりリハしなくっちゃダメね」
高原みこ「ママ、映画の撮影、終わった~?」
アテナ「映画?」
高原真理恵「まだよ、みこはもう少しブランコで遊んでて!」
高原みこ「は~い!」
アテナ「人騒がせな・・・。御主人(マスター)、そこから早く降りて──」
  ドォーン!
  そのとき、みこのブランコがぶら下がっていたクレーンが大爆発を起こした。
アテナ「!?」
高原真理恵「!? どうして!?」
監督「誰だ、映画の撮影に本物のダイナマイトをセットした奴は!」
高原みこ「ほわ!? お、落ちてる~?!」
高原真理恵「いやぁあ! 誰かみこを助けて!」
アテナ「御主人(マスター)!!」

〇空
  コンテナを飛び移って、落下するみこの元へと走る。
  しかし、コンテナを飛び移るうちにアテナの足に入ったひびは広がっていく。
アテナ「! く・・・っ、あと少し!」
高原みこ「わぁああ~!?」

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