第27話 パパが帰ってきた!①(脚本)
〇教室
昼下がりの教室。
みこは眠気をおさえつつ英語の授業を受けていた。
佐藤里子「あら~? また嘉成くんお休み?」
柴崎麻衣「光くんは仕事で1週間お休みでーす」
佐藤里子「行事は参加して、授業は休むのね~! マイナス100万点で~す!」
ズシン、ズシン
アテナ「・・・地鳴り?」
???「アイムホーム! 娘よ、帰ったぞ!」
高原みこ「パパの声だ!」
生徒たちが窓を覗くと、そこには校舎に向かって歩く巨大な象が見えた。
象「パオ~~~ン!」
柴崎麻衣「何、あの象!? サーカス!?」
高原みこ「パパ! おかえりなさい!」
みこは勢いよく窓の外に飛び降りる。
〇野球のグラウンド
高原丞次「我が愛しの娘、みこ!」
飛び降りたみこを抱きとめたのは、父・高原丞次(じょうじ)だった。
高原丞次「見ないうちに大きくなったなあ!」
高原みこ「会いたかったよ、パパ!」
〇教室
アテナ「御主人(マスター)の父親!?」
佐藤里子「こ、校庭に象で入ってきてはいけませ~ん!?」
佐藤里子「マイナス100ま・・・一億点!!?」
〇雑多な部屋
高原丞次「今回の冒険のみやげだ! ビッグフットの足跡だぞ」
高原みこ「わ~! ビッグフットさんって、でっかい人なんだね!」
高原丞次「は~はっは! 世界は冒険に溢れている!」
高原みこ「ねえパパ、アテナへのおみやげは?」
高原丞次「アテナって?」
高原みこ「ん? アテナはアテナだよ! ね、アテナ」
アテナ「・・・・・・」
高原みこ「パパがアテナをくれたおかげで、すっごく助かってるよ!」
アテナ「!」
高原丞次「・・・ほーう、俺がね」
アテナ「・・・・・・」
高原丞次「じゃあ、そういうことにしておくか」
アテナ「!?」
高原丞次「で、どう助かってるんだ?」
高原みこ「宿題も手伝ってくれるし、ご飯も作ってくれるし、バイトも手伝ってくれるし、それから~」
高原丞次「なるほど、なかなか有能だ」
高原みこ「暗殺者からも守ってくれるよ!」
高原丞次「へえ! みこは暗殺されそうになってるのか?」
高原みこ「うん、よくわかんないけど」
高原丞次「は~っはっは! そりゃいいや!」
高原丞次「なら、俺もとっておきのをプレゼントしてやる!」
丞次が立ち上がり、部屋の固定電話でどこかに電話をかけ始めた。
高原みこ「パパ、どこに電話してるの?」
高原丞次「いいところだよ」
高原丞次「・・・ああ、俺だ。一人やってくれないかと思ってな・・・ああ、そうだ、みこを」
アテナ「・・・何の電話でしょう?」
高原みこ「わくわくの予感がする!」
〇古いアパート
〇古いアパート
翌朝。
〇雑多な部屋
高原丞次「小太郎、お前にやったみやげはどうした?」
高原小太郎「半魚人のミイラなんて、怖いから押し入れにしまっちゃったよ」
高原丞次「なんだよ、もったいない。それをくれた族長の話じゃ、毎日拝むだけでぐんぐん背が伸びるって話だぞ」
高原小太郎「なにそれ。 絶対効かない健康食品のCMみたい」
高原みこ「ふわあ~、アテナ、おかわり」
アテナ「食べすぎじゃないですか?」
アテナがお茶碗を受け取ったとき、窓から猛スピードで何かが飛んできた。
高原みこ「わ!?」
アテナ「!? 大丈夫ですか!?」
高原丞次「もうヤツが来たか! 昨日電話したばかりだってのに、張り切ってるな!」
高原小太郎「はぁ、パパったらまた変なこと思いついたの?」
高原丞次「アテナ、みこを守れよ。 それがお前の冒険なんだろ?」
アテナ「は? 私の冒険とは」
高原丞次「このダーツは、いつでもみこを仕留められるって警告だろうな」
アテナ「! まさか、御主人(マスター)に危機が迫って──」
高原丞次「ああ、俺が依頼したんだ。相手は凄腕だぞ」
〇大きな木のある校舎
〇教室
柴崎麻衣「も~~ヨッシー! 蒸し風呂じゃん、今日の教室! 勉強なんかできないよ!」
吉永良晴「空調の故障は、世界史の知識では直せない・・・各々服装で調整するように」
吉永良晴「さ、授業を始め──」
高原みこ「・・・・・・」
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