ヘンゼルとグレーテル

山崎 藍

迷子(脚本)

ヘンゼルとグレーテル

山崎 藍

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〇外国の田舎町
  自然に囲まれた村。
  『カース』
  自然には恵まれているこの村だが、お金には恵まれていなかった。
  村に暮らすライナー一家は、貧しいながらも毎日楽しく暮らしていた。

〇英国風の部屋
ヘンゼル「お姉ちゃん、外で遊びたい」
グレーテル「私も外で遊びたい」
ミア「わかったから、もうちょっと待ってね」
  5人家族のライナー家は、毎日両親が働きに出ているため、長女のミアが
  弟のヘンゼル
  妹のグレーテル
  の面倒を見ている。
ミア「できた。行こうか」

〇外国の田舎町
  ミアは、2人がお腹を好かせてもいいように、少しの弁当を持って外に出た。

〇森の中
  家から少し離れた場所に開けた草原がある。
  3人のお気に入りの場所。
ミア「遠くまで行かないこと」
「はーい」
  草原の近くにある森の中にはその昔、貴族が暮らしていたと言われている城跡がある。
  老朽化が進んでいるため誰も近づいたりしないが、稀に村の外からやってきた人達が立ち入って行方不明になったとかならないとか。
グレーテル「お姉ちゃん、あげる」
ミア「ありがとう。 2人で見つけたの?」
  妹のグレーテルから4つ葉のクローバーを受け取った。
ヘンゼル「あっちにあったよ、お姉ちゃんも一緒に探そうよ」
ミア「私はいいよ」
グレーテル「えー」
ミア「本読みたいし」
ヘンゼル「お姉ちゃんも遊ぼうよー」
ミア「じゃあ、キリがいいところまで読んだら遊ぶから」
グレーテル「約束だよ」
  ミアはまた読書に戻った。
  今日は雲ひとつない快晴。
  風が気持ちいいくらいにに出てる。
  弟と妹がはしゃぐ声を聞きながら、本を読む。”面倒を見る”という姉としての役目を果たしながら、好きなことができる。
  最高の時間。
  日が少し傾いて、気温が落ち着いてきた。日に照らされた芝生に触れると心地いい温かさだった。
ミア(この上で寝たらぐっすり眠れるだろうな)

〇森の中
ミア「わっ!?」
  途端に体が押されるほどの風が吹いた。
  手に持っていた本が芝生の上に転がった。

〇森の中
ミア「どこまで読んだっけ・・・」
  さっきまで読んでいたページを探していると、
  2人の声が聞こえない。
ミア「ヘンゼル?グレーテル??」
  返事が返ってこない。
ミア「ヘンゼル、グレーテル、どこに行ったの??」
  さっきより声を大きくしてみても、返事は返ってこない。

〇外国の田舎町
  ミアは荷物を持って1度家に戻った。
  もしかしたら、一緒に遊んであげなかったからいじけて帰ったのかもしれない。
  と思った。
  が、家にもいなかった。

〇森の中
  もう一度草原に戻って2人の名前を呼ぶけれど、返事は返ってこないし、姿も見えない。

〇けもの道
  森の方に目をやると、森の奥へと続いている道を見つけた。
  嫌な予感がしたミアは森の中に駆け出した。
ミア「ヘンゼル、グレーテル! 返事しなさい!!」

〇けもの道
ミア(さっきより日が傾いてきた。早く探し出さないと。どこかで怪我してるかもしれない、お腹を空かせて泣いてるかもしれない)
ミア「ヘン、ゼル・・・!!グ・・・」
  何度も声を出しすぎたのか、声がうまく出ない。
  道が無くなった頃、

〇立派な洋館
  お城を見つけた。
  見た目は綺麗だがどこか不気味な雰囲気が漂っている。
ミア「ヘンゼル、グレーテル・・・いるの?」
  小さい声しか出ないが、2人のことを呼んだ。
「あっちだよ」
「ひろーい!」
ミア「どこ!?」
  近くで2人の声が聞こえた気がして辺りを見渡してみても、姿が見えない。

〇立派な洋館
ミア「!?」
  バタン!!
  また風が強く吹いて、城の扉が閉まる音がした。
ミア「待って、だめ」
  2人が城の中に入ってしまった。
  そう思ったミアは重そうな扉を開けて、躊躇うことなく城の中へ入った。

〇要塞の廊下
  電気なんて通っているはずもなくて、僅かな外の光が反射しているだけ。
  あちこちが蜘蛛の巣や埃まみれ。
  鍵がかかっている部屋以外は全て隈無く探した。
  床が抜けて足がはまりそうになったり、古くなって虫に喰われた棚からものが落ちてきたり、雨漏りしすぎた天井の欠片が降ったり。
ミア(早く出ないと)
  ボロボロになりながら、ミアは城中を探し回った。転んで怪我をしても、服が汚れても、2人を探した。
ミア「ヘンゼル、グレーテル・・・ どこなの・・・」
  心が折れそうになった。
ヘンゼル「お姉ちゃん?」
グレーテル「お姉ちゃんだ・・・」
  2人が少し遠くにいた。
  2人とも顔が強ばってるように見えた。
ミア「良かった、帰ろ、遅くなってごめん」
  安心して、2人のことを抱きしめようと2人に駆け寄った。
ヘンゼル「ご・・・ね、お姉ちゃん」
ミア「ん?なに??」
グレーテル「・・・さい」
ミア「え・・・?」
  ドスッ
  背中になにかぶつかった。
  お腹から何か飛び出てた。
  確認するために触れてみたら、ドロっとした液体が手に着いた。
  後ろを向くと、
ミア「!?」

〇森の中
ミア「!?」
  強い風に体を押された。
  手に持っていた本が芝生の上に転がった。
  荒い息を整えて、本を取りに行った。
  2人の声が聞こえない。

次のエピソード:正夢

コメント

  • 自然の中での静かな雰囲気からの急な展開に引き込まれました。急にそんな展開になると本当に焦りますよね、、、ストーリーの展開がうまくされていて楽しく読ませて頂きました。

  • のどかな風景から、一転して恐ろしい状況に。
    ヘンゼルとグレーテルはどうなったんでしょう!?
    ミアさんも大変な状況になってますよね。

  • 冒頭は貧しくも自然豊かな村の穏やかな雰囲気が漂い、兄妹たちが森に入ったあたりから何か神秘的なものを感じました。森の中の古い城というキーワードがより緊張感を漂わせてくれました。

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