特異地蔵譚

わらやま

スペースデブリ地蔵 対策課(脚本)

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〇大会議室
  特異地蔵対策課
  作戦会議
阿僧祇防衛大臣「・・・早速だが」
阿僧祇防衛大臣「新しい特異地蔵の居場所を特定した」
識者「地蔵文書によると・・・ 次はデブリ地蔵ですか・・・ 一体どこで見つかったんですか!?」
阿僧祇防衛大臣「・・・宇宙だ」
「宇宙!?」
阿僧祇防衛大臣「ああ、そのため呼称を『スペースデブリ地蔵』に改め、特異地蔵対策課による破壊作戦を行う」
不動 明夫(破壊ねぇ・・・)
不動 明夫「てゆーか、宇宙にあるなら日本よりさぁ、アメリカとかロシアとかがやるべきじゃないの!?」
阿僧祇防衛大臣「実は今回の特異地蔵は・・・」
阿僧祇防衛大臣「前政権が秘密裏に研究していた人為的な特異地蔵化実験の産物なのだ」
阿僧祇防衛大臣「実験は失敗し、当時の政府は研究結果や失敗作を、情報漏洩を防ぐために宇宙に飛ばしていたようだ」
不動 明夫「ほんと人間って勝手だね・・・」
識者「時間差で実験は成功してしまったわけか。 ある意味負の遺産・・・ デブリそのものだな・・・」
阿僧祇防衛大臣「・・・申し訳ない。 そのため、他国に気づかれる前に早期に解決を図る必要があるのだ」
識者「しかし宇宙での作戦ですか・・・ 簡単にはいかないのでは・・・!?」
阿僧祇防衛大臣「ああ、今回はことがことだ。 自律型特異地蔵2体、異能型特異地蔵1体の使用許可が出た」
阿僧祇防衛大臣「自律型特異地蔵はメタモルフォーゼ地蔵と不動明王地蔵、異能型特異地蔵はグラビティ地蔵が今回のメンバーだ」
不動 明夫「僕の出番か・・・ 地蔵3体なんて政府も本気だね」
識者「具体的にはどのような作戦なのですか!?」

〇宇宙戦艦の甲板
防衛大臣「メタモルフォーゼ地蔵が宇宙船に変化し、不動明王地蔵とグラビティ地蔵を運搬する」
識者「2体も乗せられますかね? メタモルフォーゼ地蔵の質量限界に達しませんか!?」
防衛大臣「計算ではギリギリおさまる予定だ。 ただ、武装などは積めないがな・・・」
不動 明夫「ってことは・・・」

〇宇宙空間
防衛大臣「・・・ああ。 目標確認後は不動明王地蔵による直接破壊だ」
識者「そのためのグラビティ地蔵ですな・・・」
防衛大臣「そうだ・・・ 重力操作でデブリを回避しながら目標に接近してくれ」
不動 明夫「地蔵念話を使えばある程度離れてても意思疎通出来るからね」
不動 明夫「ま、僕にまかせなよ!」

〇大会議室
不動 明夫「で、作戦決行はいつなの!?」
阿僧祇防衛大臣「2時間後、秘密裏に発射する。 それまでに準備を済ませておいてくれ」
不動 明夫「はーい」
識者「不動・・・ 今回私は同行できないがしっかりやるんだぞ」
不動 明夫「おじさん!!任せてよ!! 地蔵3体もいれば、楽勝だよ!!」
不動 明夫「大船に・・・いや・・・」
不動 明夫「チャレンジャー号に乗ったつもりでどーんと構えててよ!!」
識者(その船は・・・爆発したんだが・・・)

〇近未来の通路
  2時間後
不動 明夫「うぉぉぉ!!宇宙かーー!! 正直楽しみだなぁ!!」
「不動明王地蔵、あまりウカれ過ぎないように。 我々は任務で宇宙に行くのですよ」
不動 明夫「分かってるよ!! 全く真面目だなぁ!!メタモルフォーゼ地蔵は!!」
「私は今回の作戦ではグラビティ地蔵を守りながらの飛行となるので、あなたの働きにかかっているのですよ」
不動 明夫「はいはーい!!任せてよ!!」
  発射30秒前
不動 明夫「うひょー、いよいよだぁ!! 僕たちは地蔵史上初の宇宙旅行経験者になるねぇ!!」
「正確にはスペースデブリ地蔵に続いてですね」
不動 明夫「ま、そうだけどさ・・・」
  3、2、1・・・
  発射!!
不動 明夫「わわわわわわわわわわわわわわわ!!」

〇地球
不動 明夫「ふぅ・・・すごいGだった・・・」
識者「不動!!無事に宇宙空間に出られているか!?」
不動 明夫「おじさん!!問題なし!! 順調そのものだよ!!」
識者「あと5分ほどでスペースデブリ地蔵に最接近する!!頼んだぞ!!」
不動 明夫「了解!!」

〇宇宙戦艦の甲板
不動 明夫「そろそろ出動かなぁ」
「ご武運をお祈りします」
不動 明夫「ああ!!さて・・・」
不動 明夫「作戦開始だ!!」
不動明王地蔵「行くぜ!!」

〇宇宙空間
不動明王地蔵「さーて!!どこだよ!! スペースデブリ地蔵さんはよぉ」
メタモルフォーゼ地蔵「不動明王地蔵!! あそこです!!」
不動明王地蔵「いやがったぜ!!」
不動明王地蔵「グラビティ地蔵頼むぜ!! 俺の意志通りに重力操作してくれよぉ!!」
メタモルフォーゼ地蔵「あ、危ない!!」

〇宇宙空間
不動明王地蔵「うおっ!!とんでもねぇ数のデブリだ!!」
不動明王地蔵「グラビティ地蔵!!」
不動明王地蔵「いいぜぇ!!ナイスだっ!!」
不動明王地蔵「このデブリも決まったパターンで放出されてるだけだな!!」
不動明王地蔵「コツさえ掴めば楽勝だぜぇ!!」
不動明王地蔵「とっとと破壊するぞ!!」
メタモルフォーゼ地蔵「不動明王地蔵危ないっ!!」
不動明王地蔵「ああん!?」
不動明王地蔵「うおっ」
不動明王地蔵(ガ、ガチのデブリだと・・・ やべぇ、油断した・・・)
不動明王地蔵(体勢が崩れ・・・ くそっ、避けられねぇ!!!!)

〇宇宙空間
不動明王地蔵「メタモルフォーゼ地蔵!!」
メタモルフォーゼ地蔵「一時的に戦闘形態に変態しました!! デブリが一掃されてる今のうちに!!」
不動明王地蔵「ああ!!分かってる!!」
不動明王地蔵「行くぜ」
不動明王地蔵「あばよ!!スペースデブリ地蔵!!」
不動明王地蔵「うぉぉぉぉぉ」
不動明王地蔵(よしっ!!木っ端微塵だ!!)
不動明王地蔵(スペースデブリ地蔵自身がスペースデブリになったな)
不動明王地蔵(こんな形で悪いけどよ、安らかに眠ってくれ)
不動明王地蔵(しっかし)
不動明王地蔵(宇宙ってのは、デブリばっかりなんだな スペースデブリ地蔵が出してた量の比じゃねーな・・・)
不動明王地蔵(一番のデブリは人間の業・・・ってか)
不動明王地蔵(ま、俺が言えた義理じゃねーか・・・)
メタモルフォーゼ地蔵「不動明王地蔵お疲れ様でした」
不動明王地蔵「おう!!さっきは助かったぜ!!」
不動明王地蔵「ところで、ここまで離れるとグラビティ地蔵の能力範囲外みてーだ」
不動明王地蔵「悪いけど、もう少し近づいてもらえねぇか!!」
メタモルフォーゼ地蔵「その事なんですが・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「先程の私の援護射撃は宇宙空間での推進用燃料を転用したものなので・・・」
不動明王地蔵「ま、まさか!?」
メタモルフォーゼ地蔵「そちらまで行けません」
不動明王地蔵「おいおい!! じゃあ俺はどうすれば!?」
不動明王地蔵「もうだいぶ地球に引っ張られてる感じあるんだが・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「自由落下で地上に落ちるしかないですね・・・」
不動明王地蔵「マジかよ!?」
メタモルフォーゼ地蔵「大丈夫です。地蔵状態のあなたなら耐えられる・・・はずです 海にさえ落ちれば・・・」
不動明王地蔵「はず!?」
不動明王地蔵「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

〇小型船の上
おじいさん「いやいや、海の上は気持ちいいのう」
おじいさん「退職金で思い切ってクルーザーを買ったが、いい買い物じゃったわい」
おじいさん「ん!?」
おじいさん「なんぞ空が光ったぞ!! 流れ星かのう」
おじいさん「な、な、な、なんじゃあ!? 隕石が衝突したんか!?」
おじいさん「ワシのクルーザーがぁぁぁぁ」
不動明王地蔵「ふぅ、マジでビビったぜ クルーザーと海がクッションになって助かった」
不動 明夫「危うく僕がデブリになるとこだったよ」
不動 明夫「もう宇宙は懲り懲りだね」
おじいさん「ワシのクルーザーー!!!!」

次のエピソード:番外編 特異地蔵研究まとめ 上巻

コメント

  • おじいさんwwwもう出てくるだけで笑ってしまいますwww
    デブリがわからなくてデブる話かと思ってしまいました。ひとつかしこくなった!

  • タイトルでもうやられましたね笑
    最近はむしろ地蔵に感情移入してしまいます。産み出して、捨てて、都合が悪くなったら壊すとか…人間は勝手ダナー😭
    そしてオチ要員のおじいさん、かわいそう🤣!!

    熱い作戦会議なのに「地蔵」「地蔵」「地蔵」と連呼され笑いが止まりませんでした。最早地蔵に不可能はない!?

  • あぁ、もう最高👍️
    制限付き任務ワクワク感、ここしかないというサウンドやエフェクト、深いテーマでまとめた後のわちゃわちゃ感、ラストのあのキャラ…。
    今回もじっくり拝ませていただきました😆

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