この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

#3. 囚われの魔女(脚本)

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〇養護施設の庭
サラ「ルカさん ニコラさん、 大丈夫ですか!? お怪我はありませんか!?」
ルカ「ええ、 大丈夫です   ニコラさんはお怪我はありませんか?」
ニコラ「まあ、 何ともないが・・・」
ニコラ「礼など言わぬぞ! 一人でも余裕で止めてたところだっ 愛馬ジョセフィーヌを・・・」
ルカ「そうですか それは余計な事を致しました・・・」
サラ「ルカさん、 助けて頂いてありがとうございます!!」
サラ「わたし、 何とかしなきゃって、 助けなきゃって思っていたのに」
サラ「いざとなったら何も出来なくて」
サラ「ニコラさんにまで もし何かあったらと思うと 気が変になりそうでした」
サラ「ルカさんは、 私の心まで助けて下さいました」
サラ「本当に、 ありがとう・・・」
ルカ「いえ、 そのような大した事ではっ・・・」
ルカ(まさか、 彼女に目を見られてないはずは無いのに・・・)
ルカ「サラさんは、 わたくしの事が怖くは無いのですか!?」
サラ「何を怖がる事があるのでしょう?」
サラ「ルカさんは私にとっても大切な恩人です。 とても強く優しい『お人』ですわ・・・」
ルカ(・・・!!)
ルカ(そうやって、 俺は君の笑顔にどれだけ救われただろうか・・・)
サラ「サラと呼んで頂いて結構ですよ 堅苦しい話し方もやめましょう」
ルカ「・・・!!」
ルカ「では、 俺の事も、ルカで・・・」
サラ「分かったわ、ルカ、 あなたへのお礼も改めてしなきゃだわ」
ニコラ(・・・!!)
ニコラ(何だとぉ・・・!! サラとあんなに馴れ馴れしく・・・)
ニコラ(下民の分際で、 ますます気に入らんっ!!)
ニコラ(クソっ・・・ 何とかしてヤツをこの街から追い出してみせるぞっ!!)

〇西洋の城
サラ「さあ、 お手伝いさんも戻って来たようですし」

〇城の会議室
サラ「改めて、 恩人であるルカへのお礼と、二人の歓迎会を致しましょう」
「!!」
アンジェロ「これは一体・・・」
ルカ「これには色々 事情があって・・・」
アンジェロ「まあ事情は後ほど聞くとして こんなご馳走を用意して頂いたんだ、 冷めないうちに頂こう・・・」
ルカ「・・・そうだな・・・」
サラ「遠慮なんていらないわ」
アンジェロ(あれ?二人の距離が近い?)
アンジェロ「さあ、 君も遠慮せずにこっちにおいでよ」
メイド「えっ!? そういうわけには」
ルカ(また油断もスキも無いっ)
ルカ(こんな事、まるで)
ルカ(夢のようだ・・・)

〇空
ルカ(分かっている ここにいるだけでサラ達にどれだけの迷惑がかかるかって事ぐらい・・・)
ルカ(それでも もう少し夢を見ていたいと思ってしまうなんて)
ルカ(何て 愚かな事だろう・・・)

〇城の客室
アンジェロ「何だって!? サラに ヴァンパイアの目を見られただって!?」
ルカ「おそらくは・・・ サラは何事も無かったように 振る舞ってくれているが・・・」
ルカ「これ以上 迷惑をかけるわけには行かない」
アンジェロ「そうだな」
アンジェロ「もう ここを出る時が来たな・・・」

〇空

〇西洋の城
兵士「早くに申し訳ありません」
兵士「こちらの客人に ヴァンパイアの疑いがあるという通報がありましたので」
兵士「念の為ではありますが 調査に参りました」
ハンナ「ヴァンパイア!? そのような者は決して・・・」
サラ「いいわ 開けて差し上げましょう」
サラ「一体誰がそんな事を!?」
兵士「とある高貴な家柄のお方ですが それ以上は申し上げられません」
サラ「そんなっ・・・   この家には断じてヴァンパイアなんておりませんわ」
兵士「そうですか・・・ ですが嫌疑がかけられた以上 連行の上取り調べをする規則になります」
兵士「真偽の程はどうとて 見逃す事は出来ません」
サラ「そんな・・・ 真偽がどちらでもなんて・・・」
サラ「分かりました。 どうせ無実ですので 少しお待ちください」

〇城の客室
サラ「ルカ、アンジェロ、 逃げて!!」
ルカ「えっ!?」
サラ「あなた達にヴァンパイアの嫌疑がかけられていると兵士達が来ているわ」
サラ「疑いをかけられているだけでも 捕まってしまったらただではおかないのがこの国よ」
サラ「追っ手が増えてしまわないうちに、 逃げ道があるうちに 逃げた方がいいわ」
アンジェロ「ルカ、 もう時間切れだな・・・」
ルカ「サラ・・・」
ルカ「君は、 気づいているんだろう・・・?」

〇幻想空間
ルカ「すまなかったね 今まで ありがとう・・・」
  ルカがサラを
  ふわりと抱き寄せる

〇城の客室
サラ「えっ!?」
ルカ「こんな時に・・・ ごめんっ・・・」
サラ「いいえ・・・ あなた達に会えて良かった」

〇城門沿い
サラ「さあ、 こちらが裏口よ」
ルカ「ありがとうサラ 元気で・・・」
アンジェロ「さあ、 急ごう」
ルカ「ああ・・・」
ルカ(さようなら サラ・・・)
ルカ(ひと時の夢を ありがとう・・・)

〇貴族の部屋
ニコラ(ヴァンパイアの嫌疑・・・ わたくしの言う事に誰も逆らえまい)
ニコラ(根拠の無い大嘘とはいえ、 やつらをこの街から追い出すには充分だろう)
ニコラ(このわたくしに楯突くとどうなるか 知るがいい)
ニコラ「はははは・・・」

〇空
ルカ「アンジェロ、 怪我の具合は大丈夫か?」
アンジェロ「歩ける 大丈夫だ・・・」

〇ヨーロッパの街並み
ルカ(また雪だ・・・ 街中は人目につく 早く抜け出さないと・・・)
町人「何だって!? このヴァンパイア騒ぎで・・・」
町人「そうなんだ、 何でも嫌疑人達を逃したお嬢様が 代わりに捉えられたって話だ」
町人「今度は逃したお嬢様にまで 『魔女』の疑いがかけられているらしいぜ・・・」
町人「そりゃあ恐ろしいなぁ・・・」
町人「競技場に磔(はりつけ)られるらしい まあ普通の人間ならすぐに根を上げるところだろうよ・・・」
ルカ(サラが・・・!?)
ルカ「アンジェロ、 先に行っててくれ。 俺は一人で戻る・・・」
アンジェロ「何言ってるんだ・・・」
アンジェロ「サラは俺にとっても恩人だろ・・・」
ルカ「・・・!!」
ルカ「分かった。 行こう・・・」

〇空
ルカ、アンジェロ「競技場へ・・・!!」

〇古い競技場
ニコラ「おい!? これはどういう事だ!? サラを連行だなんて話が違うぞ!?」
兵士「ニコラ様、 これは国王様からの命令にございます」
兵士「ヴァンパイアを逃した上に逃亡を手伝った疑いのサラ様まで無実では 国民が納得いたしません」
兵士「国民は不安のあまりにすでに暴徒と化しています 『魔女』とまで疑われたサラ様まで自由にしては この暴動は治りません・・・」
ニコラ「何だとっ!?」
ニコラ「もはや 私には止められないという事か!?」
兵士「ヴァンパイアを逃した『魔女』はこいつか」
兵士「ああ、 磔とは趣味が悪いけどな・・・」
サラ「ルカ、アンジェロ、 どうか逃げて・・・」
サラ「あなた達の真実は私が知っている。 出会って間もないけれど、 そんなの関係無い」
サラ「私は決して こんな間違った事には 屈しない・・・!!」

次のエピソード:#4. ヴァンパイアと狂犬病

コメント

  • ぎゃーなんてことに!

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