エピソード5(脚本)
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「ごめんなさい。ちょっと聞いたことがない病気で・・・・・・」
仕切美弥子「実家にいた時、病院の手伝いもしてたのに、ダメだな・・・・・・私」
美弥子は変に知っているとは言わずに、素直に告白する。
すると、矢口も謝った。
矢口真依「ううん、今のは私の言葉が足りなかった」
〇綺麗なダイニング
矢口真依「闇堕ち病なんて病気は存在しない。でも、これから存在する」
〇古生物の研究室
矢口真依「そして、難病指定医の仕切秀人はその治療法が見つけられず、」
〇屋上の隅
矢口真依「医師としての自信も、美弥さん・・・・・・貴方も失ってしまう」
〇水たまり
〇綺麗なダイニング
矢口真依「美弥さんは新種のきのこを食べて闇堕ち病になる」
矢口真依「と言っても闇堕ち病の罹患者を装って、この家にいてもらうだけだけど」
矢口真依「そして、あとは他にも同じような症状の人を作る」
矢口真依「偽のニュースを作ったり、偽の罹患者のデータを彼に渡す人」
矢口真依「協力してくれそうな人は何人かいる」
〇綺麗な一人部屋
〇高級マンションの一室
〇古いアパートの部屋
〇女の子の部屋
〇綺麗なダイニング
矢口真依「あの人が美弥さんにしたことはお医者さんや旦那さんという立場だけでなく、」
矢口真依「人間として許してはいけないことだと思う」
矢口真依「ううん、美弥さんだけじゃない」
矢口真依「あの人とはある意味、美弥さんより長いつきあいだけど・・・・・・」
矢口真依「あの人のせいで傷つく人もいた」
〇雑踏
〇綺麗なダイニング
矢口真依「私は美弥さんにはもう傷ついて欲しくない・・・・・・」
矢口は美弥子にも協力をして欲しい、と言うと、美弥子は口を開いた。
仕切美弥子「真依・・・・・・ちゃん・・・・・・」
美弥子は涙しながらも、矢口の申し出にうなづいた。
仕切美弥子「分かった・・・・・・でも、あの人はおそろしい人だよ。それこそ、毒きのこみたいな人」
仕切美弥子「もし、見破れてしまったら?」
最悪、矢口や他の人達の今の立場が危うくなるかも知れない。と、美弥子は続ける。
矢口真依「大丈夫。協力者になってくれた人には直接会わず、連絡も極力とらないようにするし、」
矢口真依「電話も誰が聞いていても、直接的なワードを避けて話すとか細心の注意をはらうつもり」
矢口真依「手紙やメッセージも読んだらすぐに処分してもらって、彼にもさりげなく動いてもらう」
〇宇宙船の部屋
矢口真依「(そう、例えば、月夜野君ならお世話になっている人は仕切君)」
矢口真依「(きのこパスタを作ってあげましたなら次の行動を開始しました)」
矢口真依「(喜んでくれましたなら作戦成功か、現段階では問題なし)」
矢口真依「(そして、失敗しましたなら計画失敗・・・・・・)」
矢口真依「(すぐに立て直しが必要、あるいは、全ての作戦の中止)」
〇宇宙船の部屋
〇シックなバー
月夜野健「協力ですか? 良いですよ」
矢口真依「あら、何だか意外。貴方はあの人の味方だと思ってたから」
月夜野健「えぇ、まぁ。(それで、あの人が手に入るなら・・・・・・)」
月夜野健「そうですね・・・・・・」
〇水たまり
そして、闇堕ち病はこの世に生まれた。
まるで、水溜りに雨水が堕ちて、いくつもの輪が広がっていくように。
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「・・・・・・」
静かな部屋の中、美弥子はスマートフォンを見るのを止めて、
矢口が作ってくれた梨のタルトを口に運んでいた。
味は勿論のこと、梨の甘みに、香り。それは矢口を思い出すには十分だった。
可哀想な真依ちゃん・・・・・・
多分、真依ちゃんの思惑はあの人にバレているよ
〇きのこ料理の店
矢口真依「私は矢口真依です。よろしくお願いしますね」
整形を疑うような美しく長い鼻に、CGと見紛うような美しく長い脚。
目が大きく、少しキツめに映るが、それすらも彼女を美人に見せている気がする。
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「(でも、一目見て分かった・・・・・・)」
仕切美弥子「(ああ、彼女は自分に自信がないんだ・・・・・・)」
〇おしゃれな居間
一瞬だけ、仕切に見せた怯えにも似た表情。
落合美弥子「(ああ、この人達、知り合いか・・・・・・しかも、昨日今日、知り合ったんじゃない)」
落合美弥子「(敵意、畏れ・・・・・・彼女は本来、自信も余裕もあるタイプなのに)」
落合美弥子「(それらが彼の前では影も形もない)」
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「(怯えている真依ちゃん、とても可哀想で、とても可愛かった・・・・・・)」
〇水たまり
〇水たまり
〇病院の診察室
仕切美弥子「私の家は心療内科のクリニックで、昔から色んな人が通院していた」
落合美弥子(少女時代)「・・・・・・」
仕切美弥子「中には色々、恵まれていて、悩みなんて縁遠いような人もいたりして、」
仕切美弥子「私はそういう人に心を惹かれるようになった」
〇怪しい部屋
落合美弥子「あーあ、今日は特に退屈な1日だった」
落合美弥子「でも、今日はとっておきの情報と写真が手に入った・・・・・・」
〇怪しげな部屋
落合美弥子「赤松亜希(あかまつあき)さん。27歳。○○女子大学卒業。某大手会社会長秘書」
落合美弥子「毎週金曜日はバーに行くのが生き甲斐って言ってたけど、本当は真っ直ぐ帰りたい」
落合美弥子「嫌なことがあった日は酔って忘れたいけど、飲んだら罪悪感で、無理矢理吐き出しちゃう」
落合美弥子「ああ、なんて可哀想・・・・・・でも、なんて可愛い・・・・・・」
同級生が好きな芸能人を追いかけたり、夢中になるような趣味をしたりするのと同じだ
私はとりわけ幼い頃から優秀で、現在も側から見ると、非の打ち所がない女性を
好きになる傾向が強いようで、中学生くらいから町を歩いて、対象者を探した。
〇雑踏
落合美弥子「(うーん、ちょっと違うかな・・・・・・)」
落合美弥子「(あ、もしかしたら、良いかも・・・・・・でも、見た通りかも)」
対象者は容姿やキャリアだけではない。
笑顔も重要で普段は気丈だったり、余裕ありげに振る舞っている。
そうでなければ、あの笑顔が崩れた時のトキメキがない。
落合美弥子「(笑顔に一瞬だけ潜む疲れ、不安、怒り、闇・・・・・・マイナスな全てのもの)」
それがたまらなく美しい。
落合美弥子「(それか、今は笑えないけど、話しかけられたら、無理に笑顔を見せる人とか?)」
落合美弥子「(例えば、あの人・・・・・・)」
〇ストーカーの部屋
美弥子はこれだと思った人の公的または私的な生活、些細な秘密を調べるようになった。
落合美弥子「津賀萌香(つがもえか)さん。24歳。○○大学卒業後、両親の経営する津賀貿易会社へ」
落合美弥子「次の6月に結婚予定で、結婚後は3年間、渡英することが決定している」
落合美弥子「ふーん、あの日は恋人と別れてたんだね」
彼女はなかなか良いところのお嬢様のようで、先日、親の決めた相手と婚約した為に
密かにつきあっていた男性と別れたらしい。
落合美弥子「(叶わない恋か・・・・・・まぁ、それすらも叶わない人もいるのだろうけど)」
そう、例えば・・・・・・
他人に愛情を向けられない人だ。
落合美弥子「まぁ、彼女は気になるけど、流石に海外までは情報収集できないし、別の人を探そうかな」
美弥子は高校大学、大学院と進むと、院卒後に心理療法士になった。
そして、あの頃のように闇雲に町へ出かけるよりも、
イベント型の合コンや何かのパーティーに出かけることが多くなり、
人間観察をし、対象者を探していた。
落合美弥子「(この人なんかは少し明るく話した方がポロッと話してくれそうかも?)」
落合美弥子「(この人は警戒心が強いから少し天然っぽい服装と言動をして・・・・・・)」
その人に近づきやすい格好や話し方、表情なんかも研究して、
美弥子はその都度、都合の良いように変えた。
そして、美弥子は矢口真依に出会った。
〇雑踏
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「(その気もないのに美弥さんが好き・・・・・・)」
仕切美弥子「(なんて、間違っても言ってはいけなかった)」
仕切美弥子「(真依ちゃんの思惑は可哀想だけど、私にはお見通し。あと、あの人にもバレている)」
勿論、美弥子が仕切に密告した訳ではない。
仕切は頭だけではなく、美弥子同様、勘もとても良く、
美弥子のことを知られるのも時間の問題だった。
仕切美弥子「(バレそうなのもあって、性格に問題アリっぽいのをでっち上げたけど)」
仕切美弥子「(長くはもたないかも・・・・・・)」
仕切美弥子「(あぁ、でも、あの人、人に関心はなさそうだから意外とそうって受け入れるかも)」
仕切と結婚したのは矢口に近づく為だったが、仕切と美弥子は割と似たところもあり、
美弥子としては一時の結婚相手が仕切で良かったと思っていた。
仕切美弥子「同族って訳じゃないけど、少しだけ居心地も良かったのかな?」
仕切美弥子「(まぁ、あとは成り行き次第)」
〇宇宙船の部屋
仕切の仮眠室や
〇綺麗なダイニング
美弥子曰く、可哀想で可愛い矢口にもカメラを仕掛けている。
〇牢獄
逃げることはできない。
〇綺麗なダイニング
仕切美弥子「(少しでも面白い展開になれば良いけど・・・・・・)」
美弥子はそう思うと、梨のタルトを食べ切って、窓の外の月を見上げた。
まさかの美弥子さんのキャラクター!!
そして、闇堕ち病の正体って、、、
いろんな驚きに満ちた今話ですが、次回の最終回でどう物語が着地するのか楽しみです!