第6章 坂口さんの先祖?(脚本)
〇事務所
坂口「「巫女の呪い」……。」
私は部長の無駄話に
耳を傾けることにした。
部長「こう見えても小さい頃はオカルト好きでよ。 そのときは色々出没してたから 仲間と調べてまとめたりしてたわけよ。」
課長「うわぁ、懐かしいねぇ。 「◯◯子さん」とか「◯◯女」とか 流行ったよねぇ。」
部長「で、そういう奴らが現れた原因の一説に とある村の「巫女の呪い」が関係してる っていう噂があったんだ。」
係長「その噂ってなんですか?」
部長「まあ、落ち着けてって。 これから話すからさ。」
〇寂れた村
部長「昔、とある村に一人の巫女がいた。 その巫女には恋人がいて、 他の人に見つからないように付き合っていた。」
部長「だが、ある日それがバレてしまう。 2人は当然その間を引き裂かれ、 巫女は生け贄にされてしまう。」
課長「そこまでするのかい? 巫女に恋人がいるだけなのに。」
部長「そうだ、理由は分からんが。 隠れて付き合っていたことだから、 相手がやばかったってことじゃないか?」
〇暗い洞窟
部長「巫女は森の奥にある洞窟に閉じ込められた。 生け贄といっても食われるわけじゃない。」
部長「手足を縛られ、 声を出せないよう猿ぐつわをされ、 息絶えるまで、ずっとそのままだ。」
係長「うわぁ、えげつないことするなぁ。 村の人間も。」
部長「だが、巫女は恋人に会いたい一心で 縄を食いちぎろうとした。 当然簡単に切れやしない。」
部長「それでも巫女はやり続けた。 どれだけ時間がかかっても、 どれだけ痛みがあっても……。」
部長「奥歯で噛んだことにより 「頬が裂けていって」もだ……。」
〇けもの道
部長「やがて、巫女は全ての縄を食いちぎる。 頬は裂けているし、そもそも餓死寸前。 それでも、会いたい一心で村へ向かった。」
部長「だが、そこにはかつての恋人も 望んでいた結末もなかった。」
〇寂れた村
部長「恋人にはすでに家族がいた。 しかも、再会すると巫女を 「バケモノ」呼ばわりした。」
部長「そして、他の村人とともに 巫女を追い払おうとした。」
課長「せっかく頑張っただろうに、 かわいそう……。」
部長「あまりの悲しみと絶望に 巫女は息絶える直前、村に呪いをかけた。」
部長「その村の女児は、巫女と同じように 醜い容姿で生まれるように、と。」
〇事務所
部長「……と、まぁこんな噂もあるわけよ。」
係長「そんな恐ろしい伝説が……。 でも、なぜ女の子どもだけなんですかね?」
部長「そんなこと言われても分からねぇよ。 意味の分からん伝説なんていっぱいあるだろ。」
部長「それよりも華ちゃん。 今の話、面白かった?」
華「…………。」
華「坂口さんがいつもマスクしていて 生まれたところが同じだからって、 酷すぎます。」
部長「え、急にどうしたの?!」
華「部長がそういうことする人とは、 思いませんでした。」
部長「おいおい、そんなに真に受けないでくれよ。 本当に申し訳ない、ごめん。」
華「私に謝られても困ります。 坂口さんに謝ってください。」
坂口「え、百合野さん?」
部長「チッ……悪かったな、坂口……。」
部長はそのままオフィスを出た。
課長も係長もオロオロしている。
今までは言われっぱなしだったけど、
彼女のおかげで少しスカッとした。