〇海岸線の道路
怠惰ちゃん「・・・」
怠惰ちゃん「もうすぐ着くね」
暴食くん「うん」
怠惰ちゃん「海行ったら何するの？」
暴食くん「・・・」
怠惰ちゃん「・・・」
暴食くん「美沙はさ、自分が本当に、この世界に存在してると思う？」
怠惰ちゃん「・・・思うけど」
暴食くん「僕は思わない」
怠惰ちゃん「・・・」
暴食くん「だから、それを確かめに行く」
怠惰ちゃん「よく分からないけど・・・そっか」

〇海辺
怠惰ちゃん「わぁ」
暴食くん「静かだね。波の音も聞こえない」
怠惰ちゃん「うん」
暴食くん「こんなところに海なんて存在しないはずなのに」
暴食くん「・・・やっぱり、ここは夢の中だ」
怠惰ちゃん「えっ」
怠惰ちゃん「うっ」
暴食くん「痛い？」
怠惰ちゃん「痛いよ・・・」
暴食くん「それも全部錯覚だよ」
怠惰ちゃん「どうしたの？ いつも変だけど、今日は一段と変・・・」
暴食くん「僕の中に、僕を操るもう一人の僕がいるからね。そりゃ、変だよ」
怠惰ちゃん「何言ってるの？」
憤怒くん「わん」
怠惰ちゃん「あっ、わんちゃん」
暴食くん「ほらね、お迎えが来たようだ」
怠惰ちゃん「・・・え？」

〇シンプルな一人暮らしの部屋
色欲くん「・・・」
色欲くん「・・・来たか」
強欲ちゃん「おはよー！」
強欲ちゃん「お兄ちゃん、メンバー集めご苦労様！」
強欲ちゃん「今から撮影だから！ よろしく！」
色欲くん「・・・はぁ」
色欲くん「仕方ねーな」
色欲くん「もうしばらくはお前の遊びに付き合ってやるか」
強欲ちゃん「集合場所はお兄ちゃんの大好きなサイゼだよ〜！」
色欲くん「おう」

〇ホストクラブ
傲慢ちゃん「ぐぅ・・・」
嫉妬ちゃん「今日もお疲れ様」
ホスト「ぴとち〜」
色欲くん「おい」
嫉妬ちゃん「ちょっ！ なんでここにいるの!?」
ホスト「誰だお前？」
色欲くん「こいつ借りてくぞ」
嫉妬ちゃん「いやっ・・・ちょっと！」
ホスト「なっ」
傲慢ちゃん「ぐぅ」
色欲くん「おい、てめぇもさっさと起きろ」
傲慢ちゃん「・・・んー？ 悠太？」
嫉妬ちゃん「え？ 何？ あんたたち知り合いなの？」
色欲くん「細かいことは後だ」
ホスト「えぇ・・・」

〇ファミリーレストランの店内
強欲ちゃん「やっほー！ お兄ちゃんこっちこっちー！」
怠惰ちゃん「悠太くん？」
色欲くん「おう」
嫉妬ちゃん「誰・・・？」
憤怒くん「くぅ〜ん」
強欲ちゃん「二人は怠惰ちゃんと暴食くんだよー」
怠惰ちゃん「だからその、怠惰って何？」
暴食くん「どうも、暴食くんです」
強欲ちゃん「これからみんなには一万円企画をしてもらいまーす！」
色欲くん「おうあれか！ 丁度腹減ってたんだよな〜」
傲慢ちゃん「何これ、ユーチューブの撮影？」
嫉妬ちゃん「・・・」
傲慢ちゃん「一万円とかしゃばいから十万円で良くない？」
色欲くん「おうおう莉奈様太っ腹〜」
強欲ちゃん「莉奈ちゃんじゃなくて傲慢ちゃん！ ちゃんとニックネームで呼ばないと！」
怠惰ちゃん「あの・・・その子たちは？」
強欲ちゃん「二人は嫉妬ちゃんと傲慢ちゃん！ ついでにお兄ちゃんは色欲くんだよ〜」
憤怒くん「がうぅ・・・」
強欲ちゃん「この子は憤怒くん！ 何故かいっつも不機嫌なんだ〜」
憤怒くん「ばう！ ばう！」
嫉妬ちゃん「店内に犬って・・・大丈夫なの？」
色欲くん「貸切りだから問題ない」
嫉妬ちゃん「いや、衛生的にも・・・」
傲慢ちゃん「貧乏女は神経質だな」
嫉妬ちゃん「は？」
傲慢ちゃん「何？ 犬アレルギー？ 潔癖症？ 別に良いじゃんわんちゃんがいても」
傲慢ちゃん「細かいことにぐちぐちうるさい更年期のババアかよ」
嫉妬ちゃん「・・・はぁ？」
色欲くん「まぁまぁ」
暴食くん「早く食べたい。お腹すいた」
強欲ちゃん「それじゃ〜いきますか〜！」
強欲ちゃん「カメラ用意〜！」

〇ファミリーレストランの店内
強欲ちゃん「どうもー！ 強欲ちゃんねるの強欲ちゃんです！」
強欲ちゃん「みんな業、背負ってるぅ？」
憤怒くん「わん」
強欲ちゃん「今日は新メンバーを紹介します！ はい！」
怠惰ちゃん「え、えと・・・」
怠惰ちゃん「た、怠惰ちゃんです・・・」
暴食くん「暴食くん」
嫉妬ちゃん「何この流れ」
傲慢ちゃん「傲慢ちゃんでーす！ お前らバカァ？」
色欲くん「色欲くんだ。食っちまうぞ、性的な意味で」
嫉妬ちゃん「あ、え？」
嫉妬ちゃん「・・・嫉妬ちゃんです。みんな、私に嫉妬しないでよ？」
憤怒くん「がうぅ・・・」