ステータスMAXの恋愛ゲームの主人公は別ゲーに転移してしまいました。

手石 こぶね

エピソード1(脚本)

ステータスMAXの恋愛ゲームの主人公は別ゲーに転移してしまいました。

手石 こぶね

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〇教室
ヒロト「え?!ちょ、ちょっと待って!落ち着いて話し合おうよミカ!!」
ミカ「何も話すことなんてない。どうせヒロくんは私だけのものになってくれないでしょ。・・・だから!!」
  ミカは持っていたナイフをヒロトの首元へと突き立てる。
ミカ「ヒロくんを殺して私も死ぬ!!」
ミカ「大丈夫♡死んでもずっと一緒だよ♡ あ、そうだ! 死んだらさ、2人で旅しようよ!どうせなら見たことも無い世界がいいね!」
ヒロト「何いってんだよ! 死んだら何もかも終わり。死後の世界なんて人間の想像だ!」
ミカ「何言ってるの? 死後の世界はあるに決まってるじゃない」
ミカ「この辺り、学校ができる前は心中スポットとして有名だったんだって。ちょうどこの校舎のあたりでみんな死んだのかな」
ミカ「ロマンチックだよねぇ。結ばれることを許されなかった2人が来世では一緒になれるようにと死を選ぶなんて」
ミカ「なのに、来世が無いなんてありえない!! 無かったらここで死んでった人達が浮かばれないよ!」
ミカ「だから私たちが証明しよう。死後の世界があることを・・・」
  ナイフがヒロトの首にじわじわとめり込む。傷口から出た血が首筋を伝う。
ヒロト「うっ!!や、やめ・・・!!」
ミカ「ばいばい。ヒロくん。すぐ行くからね」
  ―目の前が真っ暗になった。
  ―園田ミカルート BADEND

〇アイボリー
  あーあ、そりゃそうなるわ。ミカルート選択しておきながらいろんな女にちょっかいかけまくったら。
  ま、とりあえずこれでルートコンプリートだな。
  これで俺もお役御免かー。しばらく経ってプレイヤーさんがまたやってくれるのを待つかー。
  大空大翔
  文系 S
  理系 S
  芸術 S
  運動 S
  遊び S
  容姿 S
  いやー、何度見ても惚れ惚れするな〜、この圧倒的ステータス。
  どんな男にも負ける気がしない。
  ―園田美香の願いにより、これより世界の再構築を行います。
  なに?! 何が始まったの?!
  ―世界構築20%完了
  ―この世界のデータを全て保存
  ―データの移行を開始します
  こんなの知らないぞ!! プログラムにはない!!
  ―世界構築60%完了
  ―キャラクター情報を保存
  ―キャラクターの移行を開始します
  ―尚、容姿は世界観に合った修正を実行
  やばい・・・・・・急に意識が・・・・・・
  ―世界構築80%完了
  ―データ移行オールコンプリート
  ―世界構築オールコンプリート
  ―キャラクター移行オールコンプリート

〇森の中
ヒロト「ここは?こんな森、見たことないぞ」
ヒロト「まさか・・・本当に世界が変わったのか?!」
ヒロト「それにプレイヤーが操作してない。自由に動ける」
ヒロト「とにかく状況確認だ。ここじゃこの世界がどんな所なのか分からない。とりあえず森を出ないと」
  ―ガサッ。
  木陰から物音が聞こえる。どんどんと音が近づいてきた。
ヒロト「ッ?! 何かいる!」
  現れたのは綺麗な髪の少女。地面に生えてたツルにつまづき、転んだ。彼女は森の奥を見て怯えていた。
謎の少女「っ! 来ないで!」
  再び木陰から物音が聞こえる。今度はさっきよりも大きい。
魔物「ギィィ!」
ヒロト「!? なんだ、あれ!」
  木の影から現れた魔物は少女に近づいていき、鋭い爪で切りつけた。
  ヒロトの体すぐに彼女の元に向かっていた。そして彼女の前に立ち、攻撃を腕で受けた。
  ヒロトの左腕には傷ができ、血が多く流れていた
ヒロト「っ!!!」
謎の少女「っ?! あなた、腕が!」
ヒロト「大丈夫、気にしないで。それよりもはやくここから離れて」
  ヒロトは強がった。傷はかなり深く、今まで体験したことのない痛みで、本当なら大きな声を上げながら泣きたいくらいだった
謎の少女「わ、わかりました!」
  彼女が動き出した瞬間、四方から魔物たちが次々に現れた。
  魔物たちはジリジリと近づいてくる。
ヒロト(まずい、このままじゃ、やられる。 何か、ないか?)
  ヒロトは自分の持ち物を確認すると、腰に差してあるナイフに気づいた。
ヒロト(っ! これでやるしかないか!)
ヒロト「うぉぉぉ!」
  目の前の魔物にがむしゃらにナイフを振り回した。
魔物「?」
  ヒロトの攻撃は虚しくも全く効いていなかった
ヒロト「傷1つ付かないなんて・・・!」
  再び攻撃するヒロト。何度攻撃しても魔物たちは顔色一つ変えない。
ヒロト「あぁ!どうしたらいいんだよ!」
  少女はヒロトのもとに寄り、手を優しく握った。
謎の少女「ありがとうございます。もう、大丈夫です」
謎の少女「それと、ごめんなさい。あなたを巻き込んでしまいました・・・」
ヒロト「・・・」
ヒロト(あぁ、ここで終わりなのか。早いな)
ヒロト(元の場所に戻れるのかな。 いや、無理か。 ・・・あぁ、怖いな。 ―俺、本当に死ぬのか)
  大空大翔(おおぞらひろと)のデータダウンロードが完了しました。
  データを現在のアバターに適用しますか?
  はい
  いいえ
ヒロト「え?」
  謎のメッセージウィンドウがヒロトの前に現れた。
  大空大翔(おおぞらひろと)のデータダウンロードが完了しました。
  データを現在のアバターに適用しますか?
  はい
  いいえ
ヒロト「よく分からないけど、「はい」?」
  「大空大翔」の全データをキャラクター「ヒロト」に上書きします。
  
  ダウンロード中
  ―30%
「ギィィ!」
  ダウンロード中
  ―70%
「ギィィィ!!!」
魔物「ギィィ!」
ヒロト(くそっ! せめて彼女だけでも!)
ヒロト「っ! うぉぉぉ!」
  ダウンロード完了
  
  「大空大翔」の全データの移行が完了しました。
  ヒロトの攻撃はがむしゃらなのは変わりなかったが、先程のとは比べ物にならないほど力のある鋭い攻撃だった。
魔物「ギィィ・・・」
  魔物たちの体は胸の辺りで半分に切れ、ゆっくりとずり落ちた。
ヒロト「え?!」
ヒロト「なんで?! 何が起こったの?!」
  大空大翔のデータ。つまりこうなる前の恋愛ゲームの世界のヒロトのデータでは、全てのステータスがMAXだった。
  全てMAXと言っても恋愛ゲームのステータス。基本的にはモテるための要素でしかない。
  だが、この世界が構築され、容姿が世界観に合わせられたように、ステータスもこの世界に合ったものに置き変わった。
  運動は力と素早さに、芸術は技術と発想力、といった具合に。
ヒロト「と、とりあえず今のうちに森の外へ出よう」
謎の少女「え?! ちょ、ちょっと!」
  ヒロトは彼女を抱きかかえ、地面を勢いよく蹴った。
ヒロト「うぉ!? 1歩でこんなに進むの?!」
  ヒロト達のいた森は先の見えない森だったが、ほんの数分で抜けることが出来た。

〇草原
  そこに広がっていたのは、広大な草原で、遠くには大きな城と街が見えた。
ヒロト「おぉー!! すげー!! まるでファンタジーの世界だ!!」
謎の少女「ふふっ! 面白い人ですね。こんなただの平原を見て、喜ぶなんて」
ヒロト(・・・綺麗な笑顔だな さっきまで余裕が無くて気付かなかったけどすごい美人だ)
謎の少女「あ!ごめんなさい!お礼がまだでしたね。 先程は助けていただきありがとうございました」
ヒロト(慌ててる姿、可愛い ―攻略したいなぁ)
謎の少女「私はリゼといいます。貴方のお名前は??」
ヒロト「俺は大空大翔」
リゼ「珍しいお名前ですが、とても素敵なお名前ですね」
リゼ「ヒロトさん!」
ヒロト「は、はい!」
リゼ「助けてもらった上で厚かましいお願いなのですが、魔物たちを瞬殺した貴方の力を貸してもらえませんか?」
リゼ「私の国は今、とある国から侵攻を受けています。だから私は強い戦士を捜しに国を出て来たんです」
リゼ「どうか、私の国をお救い下さい!」
ヒロト「え?!いや、無理無理!」
ヒロト(救けてカッコつけたいけど、国相手とか確実に死ぬだろ。いくら相手が美人でもさすがにそこまではできない)
リゼ「お願いします!私ができる事なら何でもしますので」
ヒロト「引き受けましょう」
  ヒロトはチョロかった

〇謁見の間
国王「では、現状を報告せよ」
謎の魔道士「はい。リーガルは第二要塞まで陥落。制圧は時間の問題でしょう」
国王「さすがはあの「死魄の魔導師」だ。 引き続き頼むぞ」
謎の魔道士「はい、お任せ下さい」
  そういうと彼女は王に背を向け、扉に向かって歩き出した。
謎の魔道士(・・・・・・! ようやく、来たんだね。 すぐに会いに行くから)
謎の魔道士「待っててね、ヒロくん♡」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 最後に出てきた女の子って…例の彼女ですよね。
    なんだか大変なことになる予感しかしません!笑
    ステータスをダウンロードして強化出来るのっていいですね。

  • ことの発端である彼女もこちらの世界に来ていることをすっかり忘れていました。すでに彼は新しい恋愛のターゲットを見つけたようですし、三角関係とかなんとか、危険な展開がはじまりそうでハラハラします。

  • 今世でも来世でも、ゲームがすり替わってもヒロト君から離れようとしない美香のキャラクターが見ものです。ヒロトに今後どんな災難がまっているのかゾクゾクします。

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