姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

第5話 恋愛小説家との出会い(脚本)

姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

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〇貴族の部屋
カレン(期待はしてなかったけど・・・ やっぱり返事なし、か)
  ジークに手紙を渡した翌日。
  ハンナが手ぶらて部屋へ来たことに、
  カレンはため息を溢した。
カレン「読んでくれたかどうか、確かめに行くっていうのは──」
ハンナ「ダメです姫様、ジーク王子に今お会いしようなんて!」
ハンナ「昨日だってウェルナーさんに手紙を渡すだけでビクビクしてたじゃないですか!」
ハンナ「私だって、もう見たくありません・・・姫様に、剣先があんな風に──」
カレン「分かったよ、ハンナ。 あそこにはもう行かない、から・・・」
カレン「・・・」
カレン「あのさ──」
カレン「私が行かなければいいんだよね?」
ハンナ「まさか、姫様・・・」
カレン「ハンナ、──」
カレン「私の代わりに、ジークの部屋に行ってくれない?」
ハンナ「無理です無理です無理です! 一介のメイドがジーク王子と会話など──」
カレン「話さなくていいよ。 私の代わりに、様子を見てきて欲しいの」
カレン「それに、ハンナがいればジークも私を意識してくれるはず!」
ハンナ「何でです?私はただの使用人──」
カレン「ハンナは私付きのメイドだよ!」
カレン「つまり、ハンナを見れば私を思い出すってこと!」
カレン「ほら、あのときも! ハンナに私のこと、任せてたじゃん!」
カレン「だから・・・」
ハンナ「私は、意味はないと・・・」
カレン「やってみなきゃ分からないでしょ!」
カレン「それに、私には今日は城下の孤児院訪問っていう公務があるし──」
カレン「今日一日だけでいいの。ジークがどんな毎日を過ごしてるのかも知りたいし・・・」
ハンナ「・・・視察には付き添わなくても?」
カレン「うん。今日はサヴィーニ侯爵と一緒だから」
ハンナ「サヴィーニ侯は博識でいらっしゃいますもんね・・・」
ハンナ「──分かりました、姫様」
カレン「ありがとう!」
ハンナ「でも、目的はあくまでジーク王子がどんな1日を過ごしているかを知ること」
ハンナ「ジーク王子のストーキングなんて、恐れ多くてできませんから!」
カレン「まあ、やることは同じだから!」
カレン「それに、ウェルナーとも一緒に居られるよ!」
ハンナ「だから、私はウェルナーさんのことは・・・」
カレン「ふふふ」
カレン「頼んだよ、同志!」
ハンナ「ですから、別に私は同志じゃないですって〜」
ハンナ(姫様の気持ち・・・もっとガツンとジーク王子に伝わればいいのに)
ハンナ(ジーク王子は、お部屋かしら?)
ハンナ(・・・おこもりになられたら多分出てこないよね?)
ハンナ(これ、持ってって読んでよ・・・)

〇ヨーロッパの街並み
カレン(子どもたち、可愛かった〜)
カレン(街の人には恐れられちゃうけど、子どもたちは無邪気でいいなぁ・・・ふふ)
サヴィーニ侯「プリンセスは、ドレスよりもそういうお格好の方がお似合いですね」
カレン(確かに動きやすいようにドレスにしなかったけど・・・これって嫌味?)
カレン「そうかしら?」
サヴィーニ侯「ええ。子どもたちと遊んでいるときも、とても活発で──」
サヴィーニ侯「品があるのにお優しい。まるで凍った王国に咲く一輪の美しい花のよう・・・」
カレン「ありがとう・・・」
サヴィーニ侯「あの王子のお相手とは、とても思えないのです」
サヴィーニ侯「てっきり、プリンセスになられた方も冷徹な美女だと思っていたので・・・」
カレン「あはは・・・」
サヴィーニ侯「プリンセスもあの王子とだと退屈でしょう ・・・これから我が家で休憩でも──」
カレン「お誘いありがとう」
カレン「でも、私にはジークっていう旦那がいるし」
カレン「私が帰る場所は、あそこなの」
サヴィーニ侯「チッ」
サヴィーニ侯「そうでしたか。では、私はこれで」
カレン「ごきげんよう」
カレン(・・・サヴィーニ侯)
カレン「聡明な方だと思ってたけど、低俗な人」
カレン「ってか、すんごい失礼・・・」
カレン「あーもう!」
カレン(どっかで気分転換・・・)
カレン「本屋さん、か・・・」
カレン「いいかも!」

〇古書店
カレン(子供向けの絵本は・・・)
カレン(・・・っと、いけない!)
カレン(もう18歳なのに・・・)
カレン(これも大事、だけど、今は・・・)
カレン(ハンナの持ってたの、これか)
カレン「フレデリック=リーベン・・・?」
カレン(聞いたことない作家)
カレン(・・・そりゃそっか、今まで子供向けの本ばかり読んでたから──)
???「あー!!」
フレデリック(恋愛小説家)「あ、すみません、つい・・・」
カレン「い、いえ・・・」
カレン(プリンセスってバレたかな・・・)
カレン(一人でこんなとこうろついてるって知られたら、私──)
フレデリック(恋愛小説家)「それ、僕の本だから・・・」
カレン「え?あなたの本?」
カレン「売り場にあったからてっきり売り物だと──」
フレデリック(恋愛小説家)「あぁ!そうじゃなくて!」
フレデリック(恋愛小説家)「それ、書いたの僕なんだ」
カレン「ええっ!?」
カレン「あなたの名前って・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「フレディ。フレデリック=リーベン」
カレン(ちょ、ご本人様・・・っ!?)
フレデリック(恋愛小説家)「本屋なんてあんまりこないんだけどね」
フレデリック(恋愛小説家)「たまたま寄ってみたら、僕の本を手に取ってくれてる人がいて、嬉しくって」
カレン(あなたの本、山積みですけど!)
カレン(人気な恋愛小説家じゃなかったの!?)
カレン「まさか、自覚なし・・・?」
カレン「あ、いえ、何でも」
フレデリック(恋愛小説家)「あー・・・その本、買う?」
フレデリック(恋愛小説家)「よかったら、あの・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「サイン、でも・・・」
カレン「え?」
フレデリック(恋愛小説家)「いや、いらないよね!」
フレデリック(恋愛小説家)「ごめん!調子乗った!」
フレデリック(恋愛小説家)「うわぁ、恥ず・・・」
カレン「ふふっ」
カレン「ねえ、この本買うから──」
カレン「是非サイン、してくれる?」
フレデリック(恋愛小説家)「もちろん!」

〇古書店
フレデリック(恋愛小説家)「どこにサインする?」
カレン「本の裏表紙、とか?」
フレデリック(恋愛小説家)「了解!」
カレン(これ、ハンナにあげよう)
カレン(いつも協力してくれる、優しい友達・・・)
フレデリック(恋愛小説家)「はい。君、名前は?」
カレン「私? カレン。カレン=イデアル」
フレデリック(恋愛小説家)「カレン、イデアル・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「カレン=イデアル!?」
フレデリック(恋愛小説家)「大変失礼しました!プリンセス!」
カレン「え?・・・あ!」
  フレディは膝を付き、恭しく頭を下げた。
フレデリック(恋愛小説家)「数々のご無礼お許しください」
フレデリック(恋愛小説家)「貴女様がこの国のプリンセスであることに気付かないだなんて、一生の不覚・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「どうぞ私を捕らえ、牢にでもブチ込んでください!」
カレン「い、いや・・・あの・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「ああ、今すぐ首を跳ねるでも! どうか、妥当な処分を──」
カレン「頭を上げて?フレディ」
フレデリック(恋愛小説家)「ででで、ですが!」
カレン「この本、友人が好きだから・・・プレゼントしようと思っただけだし」
カレン「あなたが話しかけてくれて、気分が晴れたっていうか──」
カレン「気が紛れたっていうか、なんか楽しくなったし」
フレデリック(恋愛小説家)「で、でも・・・」
カレン(そうだ!)
カレン(あのチャラアルノよりも、きっといい作戦を練ってくれるはず!)
カレン「妥当な処分って言ったよね?」
フレデリック(恋愛小説家)「は、はい!」
カレン「じゃあさ・・・」
カレン「恋の相談に、乗って!」
フレデリック(恋愛小説家)「はい、もちろんです!」
カレン「良かった〜、よろしくね!」
フレデリック(恋愛小説家)「恋の相談・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「・・・恋の相談!?!?!?」

次のエピソード:閑話 ジークの見張りと噂のウェルナー

コメント

  • フレデリックいいキャラですね😆しかも恋愛小説家に恋愛の相談っていう展開にワクワクしてきました😙
    (完結してるのに言うのも変かもしれませんがw)続きが楽しみです❗✊✊

  • ザリガニみたいな名前の男、腹立つ~!あの人こそ不敬じゃないですかー!フレディさんがいい人で癒されました。
    ハンナがどうなっちゃうのか楽しみです

  • チャラ絵師より助けになりそう、だけどそれでも突破するのは難しそうですね。

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