八乙女くんは剛力さんに意地悪したい

ゆきんこ

エピソード1(脚本)

八乙女くんは剛力さんに意地悪したい

ゆきんこ

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〇ビジネス街

〇研究施設の玄関前
OL「きゃ〜! コールセンターの八乙女くん、今日もイケメンね❤️」
OL「イケメンな上に、高身長・高学歴で上司の信頼もアツいなんて、」
OL「大学院卒業したら、ヘッドハンティングの嵐よね!」
八乙女(やおとめ)「おはようございます!」
「おっ、おはようございます〜!」
  今日も
  五月の蠅と書いて
  うるせー!!

〇異世界のオフィスフロア
課長「八乙女く〜ん 待っていたよ!」
  朝からウゼえなハゲ
課長「昨日のヤカンのクレームなんだけどさ〜」
八乙女(やおとめ)「ああ・・・2.0Lの記載表示があるのに、実際は1.2Lしか入らない件ですね?」
課長「それ、それぇ」
八乙女(やおとめ)「『満水容量』と『適正容量』が違うので 相違が出ますが、表示は満水容量と決まっているので、しょうがないですよね」
八乙女(やおとめ)「JIS規格に基づいた表示なので、メーカーの責任でもないし、お客様の責任でもない」
八乙女(やおとめ)「騙した、騙されたではなく、そういう世の中なんですよ」
課長「それをさ〜代わりにお願いしたいのよ。 こちとら、昭和生まれの口ベタなもんで、ウマいこと言えなくてさ」
課長「頼むよ〜」
  昭和生まれ乙。
  何年この会社で働いていたら
  そんな言葉言えるようになるんだよ?
八乙女(やおとめ)「おまかせください、課長! その代わり、今度廻らない寿司お願いしますね!」
課長「あれ!逆に高くついちゃったかな!? まったく、八乙女くんには敵わないな。 ハハハ!」
  ありがとうございます八乙女くんだろ!
  年中ハゲ散らかしやがって!

〇オフィスのフロア
  毎日毎日演技しているとストレスが溜まる。
  そんな時には──
八乙女(やおとめ)「ちょ、剛力さん?」
剛力(ごうりき)「アッ、はい?」
八乙女(やおとめ)「あのねえ・・・俺も何回も注意したくないんだけど」
  ほら、怯えている♪
八乙女(やおとめ)「このお店の繁忙期は在庫にかなりの変動あるから、いちいちお店に確認の電話入れてほしいんだ」
八乙女(やおとめ)「画面の数字だけ見ていたら、お客様に迷惑かかるし、信用問題でしょ?」
剛力(ごうりき)「・・・スミマセン! 電話確認はしたんですが、担当が忙しいということで、後から再電するつもりでした」
  お?今日は泣かないつもりかな
八乙女(やおとめ)「言い訳は良いよ」
剛力(ごうりき)「ホントにごめんなさい・・・グスッ」
  コングラッチュレーション♪
OL「また剛力さん、やらかした?」
OL「八乙女くんて、剛力さんには冷たいよね」
OL「逆に、あの八乙女くんを怒らせるなんて、よっぽどのドジっ子だよ」
OL「それもそーだね。アハハ」
  俺のお気に入りのストレス解消法、それは
  ジミ女子、剛力さんに意地悪すること

〇学食
美那子(みなこ)「八乙女くーん」
美那子(みなこ)「昨夜はどうも❤️」
美那子(みなこ)「あ、でも勘違いしないでね。 私そんなに軽い女じゃないからあ」
  何回ヤレば、重い女になるんだよ!?
八乙女(やおとめ)「分かってますよ♪ 美那子さんみたいにイイ女、僕には勿体ないですから」
美那子(みなこ)「八乙女くんが本気なら・・・彼氏と別れるの、考えてみるけど」
  黙れババア。チョウシ乗るな。
八乙女(やおとめ)「あっ、剛力さん!」
剛力(ごうりき)「は、ハイ?」
  助かったぜウサギちゃん!
八乙女(やおとめ)「この前質問してくれた、カーテンの寸法の測り方、AフックとBフックの違い? 自分で調べみた?」
剛力(ごうりき)「スミマセン・・・忘れていました」
八乙女(やおとめ)「人に教えてもらうのも良いけど、ちゃんと自分で調べるクセつけなきゃね!」
美那子(みなこ)「ちょっと剛力さん!」
美那子(みなこ)「八乙女スーパーバイザーは忙しいの。 派遣なんかに構ってる時間ないんだから、しっかり仕事してくださいね」
  ガンバレウサギ!魔女から俺を助けてくれ
剛力(ごうりき)「・・・」
美那子(みなこ)「何よ、その目は〜!」
  おや?
  いつもと様子が違うな。
  たまには助け舟出してやるか
八乙女(やおとめ)「剛力さん、美那子係長も間違ったことは言っていないよ」
八乙女(やおとめ)「何か言いたいことがあるのかな?」
美那子(みなこ)「まさか、八乙女くんのことが好きだから、ワザと失敗してるなんて言わないわよね?」
  ババア、余計なこと言ってるんじゃねえよ
剛力(ごうりき)「・・・ハイ」
剛力(ごうりき)「私は八乙女さんが、好きなんです!」
八乙女(やおとめ)(エエーッ!?ジミ女子が俺を好きだと?)
八乙女(やおとめ)(絶対、嫌われていると思っていた!)
八乙女(やおとめ)(いや、待てよ)
八乙女(やおとめ)(これを利用すれば、粘着美那子と別れられる!)
八乙女(やおとめ)「光栄だよ!」
美那子(みなこ)「えっ?」
八乙女(やおとめ)「ぜひ僕と付き合ってほしいな」
美那子(みなこ)「ウッソー!」
剛力(ごうりき)「ハイ!」
  こうして俺は、美那子から逃れるために、剛力さんと付き合うことになった。

〇オフィスのフロア
剛力(ごうりき)「八乙女さん、あの」
  剛力さんと付き合うことになっちゃった俺は
  やっぱり彼女に意地悪をしている。
剛力(ごうりき)「昨日の待ち合わせって9時だったよね?」
八乙女(やおとめ)「・・・僕は10時から待っていたけど、君は居なかったね」
剛力(ごうりき)「わわ、私が時間間違えたんだ! ごめんなさい!!」
  君は間違えていない。
  だって俺、待ち合わせの場所に行ってないから
八乙女(やおとめ)「言い訳は聞きたくないな」
剛力(ごうりき)「き、今日終わってから、昨日のお店の前で待っているね!」
八乙女(やおとめ)「今日、課長の尻拭いで残業決定だから・・・遅くなっても待っていてくれる?」
剛力(ごうりき)「もちろん!ずーっと、待ってる!」
  バーカ

〇街の宝石店

〇オフィスのフロア
課長「悪いね、八乙女くん! アルバイトなのに残業させちゃって!」
八乙女(やおとめ)「いえ!僕からお願いしたことですから!」
八乙女(やおとめ)(雨降ってきたな・・・)

〇街の宝石店
剛力(ごうりき)「冷た・・・雨が降るなんて、聞いてないよ」
剛力(ごうりき)「八乙女くん、遅いな」

〇研究施設の玄関前
八乙女(やおとめ)「やれやれ。 雨はやんだけど、終電ギリギリか。 さすがに待っていないよな」
八乙女(やおとめ)「一応、ライン・・・」
八乙女(やおとめ)「ヤベ・・・ライン聞いてなかった」

〇街の宝石店
八乙女(やおとめ)「ハア、ハア」
剛力(ごうりき)「や、八乙女くん!」
剛力(ごうりき)「来てくれて、ありがとう」
  アリガトウじゃねーだろ
八乙女(やおとめ)「馬鹿! 馬に鹿と書いてバカって言うんだよ!!」
八乙女(やおとめ)「何時間もずぶ濡れになって・・・」
八乙女(やおとめ)「来ないかもって思わなかったのかよ?」
剛力(ごうりき)「来てくれたじゃない」
八乙女(やおとめ)「ちくしょー! 好きにさせんじゃねえよ・・・」
八乙女(やおとめ)「今まで、ごめん」
  俺は剛力さんを抱きしめ、
  いつまでも変わらぬ愛を誓った。

〇ナイトクラブ
  八乙女>電話出られないくらい、忙しいんだね。
  八乙女>最近会えなくて淋しい
  (´・ω・`)
  剛力>ごめんなさいm(_ _)m
  本業が忙しくなって、なかなかバイト行けないです。
  八乙女>そっか・・・舞台の小道具さんも大変だね!
  息抜きしたいときはいつでも呼んで!
  八乙女>捨てないでね(笑)
剛力(ごうりき)「また、意地悪しちゃった・・・」
剛力(ごうりき)「今までさんざん意地悪されてきたから、これでチャラね」
パシャ「剛力ちゃ〜ん!」
パシャ「クラブに顔出すの、久しぶりじゃね? 最近何やってたの!?」
剛力(ごうりき)「演技の練習とか、そのための人間観察とかかな・・・」
パシャ「相変わらずキレイだな! 今夜は楽しんでくれよ」
剛力(ごうりき)「ありがとう。そのつもりよ」

〇ホストクラブのVIPルーム
新入りスタッフ「社長、VIP席の女、芸能人ですか? 俺、スゲー好みなんですけどっ!」
パシャ「あいつはメスカマキリだ。 やめておけ」
新入りスタッフ「は?」
パシャ「あの女は舞台女優なんだが、役のために180度私生活を変えたり、」
パシャ「言葉巧みに男を舞い上がらせて、いつの間にか骨の髄までしゃぶり尽くす」
パシャ「怖い女なんだよ」
新入りスタッフ「よく知ってますね。 まさか、社長もあの女に騙されたとか・・・!?」
パシャ「うるせー! 働け新人!!」

〇ホストクラブのVIPルーム
  毎日毎日演技をしているとストレスが溜まる。
イケメン「1杯おごらせて」
  私を知りもしないくせに近寄ってくる男には、ちょっと意地悪したくなる。
剛力(ごうりき)「もう飲んじゃったわ。 ──おごるのは、1杯だけなの?」
イケメン「朝まで付き合うよ!」
  ──またうるさい蠅がたかってきた。
  貴方は私に、どんな女を演じてほしいの?
  Fin

コメント

  • 衝撃の展開で恐ろしくなりました!
    八乙女くんはキャラクターの演じ方が浅薄でイヤな点が悪目立ちしている一方、剛力さんは……男はバカで女は魔性だと痛感させられますね。八乙女くんの嫌味がちょうどリアリティのあるレベル(現実世界のNo.1最悪男)なので、ストーリーに生々しさが増しますね^^;

  • なんたか女って強かだなぁ、と。
    結局誰も腹の底で考えてることなんて解んないんですよね、そう思うと怖いなぁ…なんて。
    彼女もまた、実は誰かの掌で転がされてるかもしれないですね。

  • 剛力さんかっこいいです!
    待ち合わせでずっと待ってるのも演技だとしたらすごいですよ。
    まさに体はってます!
    読んでてなんだかスカッとしました!

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