第一二話『聖国ハッピーズVS獣国バカスカズ』(脚本)
〇中世の野球場
パキマビ「これが噂に聞いたヤ・キュウのスタジアムですか!」
マコ「いつもここで試合をしているんだ。その度に色んな国の人が見に来ているんだよ」
パキマビ「最初に行われたダルトンハイト騎士国との勝負は噂で聞きました。なんでも凄い試合であったとか」
マコ「あの後も王子のラクスがチームを率いてよく練習試合に来ているよ。負けても負けてもしつこいくらいにね」
マコ「そういえば、パキマビたちはヤ・キュウのことをどうやって知ったの?」
パキマビ「ウチの村の長老が、旅の行商人からヤ・キュウについて書かれたルールブックなる書物をもらったんです」
パキマビ「なんでもユニファ王女様の計らいで、無料で各地に配られているとか」
パキマビ「それを読んで興味を持ったので、その行商人からボールとグローブを買って、すぐに皆で始めました」
ドロシー「行商人に無料で配らせて興味を引いて道具を買わせる。レヴィリックの作戦上手くいっているみたいね」
レヴィリック「試合用のボールの感触はどうだ? 普段使っていたのと比べて違和感はあるか?」
パキマビ「さっきの練習で使わせてもらいましたけど、ほとんど変わらなかったです」
マコ「パキマビたちが買ったボールって、いつも私たちが試合で使うヤツとは違うんだよね?」
レヴィリック「試合用のボールはオリハルコン製だが、市販されているのはビビゼルが布教用に作った安価な類似品だ」
レヴィリック「重さや感触は一緒だが、オリハルコンの特性がない。魔法適正もなければ、剣などで切りつければ普通に切れる」
パキマビ「お金を準備すれば試合用のボールを作って貰えるという話もお聞きしました」
パキマビ「ただ作るのに時間もかかるという以上に、金額が高すぎて、僕たちには手が届く代物じゃありません」
マコ「そんなに高いんだ」
パキマビ「お城が一つ建っちゃいますよ」
マコ「そんなに高いの!」
レヴィリック「オリハルコン製だからな。希少金属を使うこともそうだが、今のところ作れるのはビビゼルしかいない」
パキマビ「あと、バットも一緒にどうかと勧められましたが、細くて打ち辛そうだったので、僕たちは自前の太い棍棒を使っています」
マコ「ドムドバカス連合では、ヤ・キュウって人気なの?」
パキマビ「それはもう。ユグド聖国のユニファ王女様のご紹介ということもあり、獣人たちは皆、関心を持って楽しんでいますよ」
マコ「やっぱりユニファ人気は凄いね」
ドロシー「あらっ、噂をすれば本人登場よ」
ユニファ王女「獣人の皆さん、こんにちは」
パキマビ「! ユ、ユニファ王女様!」
獣人たち「本物だ!」
獣人たち「凄い!」
獣人たち「とっても可愛い!」
獣人たち「サインもらえないかな!」
ユニファ王女「今日の試合、私はチア・ガールとして一生懸命応援させてもらいます。皆さん頑張ってくださいね」
獣人たち「はい」
マコ「ユニファのチアガール、すっかり板についてきたね」
ドロシー「最近じゃ、お付きのメイドたちとチアチームを作って頑張っているみたいよ」
マコ「でもヒルダさんは参加してないよね?」
ドロシー「そりゃ、ヒルダには大事なお仕事があるからね」
〇空
実況コカンダ「さあ本日もヤ・キュウ対決をお伝えしてまいりましょう」
〇中世の野球場
実況コカンダ「実況はお馴染み、鳥人のコカンダ。 そして・・・・・・」
解説ヒルダ「解説のヒルダです」
実況コカンダ「本日の聖国ハッピーズの相手は、南にある獣人たちの国、我が故郷でもあるドムドバカス連合からやってきた獣国バカスカズ」
解説ヒルダ「初の獣人チームの参戦。どのような活躍が見られるのか、今から楽しみです」
実況コカンダ「プレイボールの掛け声と共に始まった一回の表・バカスカズの攻撃」
実況コカンダ「マウンドに立つのは言わずと知れたハッピーズのエースピッチャー、エルフのドロシー選手」
実況コカンダ「対するのは、バカスカズのチームリーダー・一番のパキマビ選手」
パキマビ「よろしくお願いします!」
実況コカンダ「さあ元気な掛け声と共に、棍棒を構えたパキマビ選手に向けて、ドロシー選手が第一球を投げた!」
バシーン
実況コカンダ「初球は得意の剛速球のストレート。 パキマビ選手はまったく動けず、まずはワンストライク」
パキマビ「うわっ、速い! どうやったらあんなに速く投げられるんだ!」
獣人たち「パキマビ、いけいけ!」
獣人たち「棍棒振ってけ!」
獣人たち「振らなきゃ打てないぞ!」
パキマビ「おう! 任せておけ!」
実況コカンダ「仲間の掛け声に後押しされて気合を入れ直すパキマビ選手に向けて、ドロシー選手、二球目を投げた」
カキッ
実況コカンダ「打った! しかしこれは凡打! 内野を転がるボールをドロシー選手が拾い、これは余裕のアウト・・・・・・」
解説ヒルダ「いえ、そうでもないようです」
ドロシー「えー!」
実況コカンダ「な、なんと! パキマビ選手、両手を地面についての四足での快走を見せ、一塁を走り抜けた! これはセーフだ!」
パキマビ「自分、狼の獣人なんで、走りは大の得意なんです!」
マコ「パキマビ凄い!」
〇中世の野球場
実況コカンダ「バカスカズの攻勢をなんとか無失点で退けての一回の裏。聖国ハッピーズの攻撃は進みます」
実況コカンダ「バカスカズのファインプレーでドロシー選手はアウトになりましたが、二番レヴィリック選手がヒットを打ち、出塁」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)