姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

第3話 宮廷画家の恋の指南(脚本)

姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

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〇キラキラ
  お姫様と王子様は、いつまでも幸せに──

〇モヤモヤ
  暮らせませんでした。
カレン「えっ?」
  なぜなら、お姫様が王子様を変えてしまったからです。
ジーク王子「それ以上近づくな!!」
カレン「きゃっ!!」
  国民はみな笑顔を失ってしまいました。
カレン「そんな・・・」
  もちろん、お姫様も不幸なまま、お城で永遠に──
カレン「こんなの・・・」

〇貴族の部屋
カレン「はっ!」
カレン(もう朝か・・・)
カレン「またこんな夢・・・」
ハンナ「姫様、おはようございます!」
カレン「おはよう、ハンナ」
ハンナ「その本・・・読んでらしたんですね」
カレン「うん・・・」
ハンナ「姫様・・・?」
カレン「なんか、考えちゃった」
カレン「物語のプリンセスが素敵すぎて──」
カレン「私、プリンセスって器なのかなって」
ハンナ「姫様、」
ハンナ「姫様はとっても立派なプリンセスですよ?」
カレン「え?」
ハンナ「私、姫様の昔のお話聞いて、思ったんです」
ハンナ「姫様の愛されたい想いの裏には、自分の幸せだけじゃなくて──」
ハンナ「国民みんなの幸せが含まれてるって」
カレン「ハンナ・・・」
ハンナ「昨日、城下の視察に行ったじゃないですか?」
ハンナ「私、姫様がただご不快なだけかと思ってたんですけど・・・」
ハンナ「ジーク王子のことを悪く言われるのも、嫌だったんじゃないかって」
ハンナ「姫様の幸せ、国民の幸せ、それにジーク王子の幸せ──」
ハンナ「皆の幸せを願える姫様は、プリンセスらしいと思いますし、」
ハンナ「私はそんな姫様だから、お側で仕えさせていただけて幸せだなって」
カレン「あー、もう、ハンナ!」
カレン「泣かせないでよ!」
  カレンはハンナに飛びついた。
カレン「ところでハンナ、今日はやけに早く来たけど・・・」
ハンナ「は!忘れてました!」
ハンナ「今日は描いてもらう日ですよ、姫様!」
カレン「描いてもらう・・・?」
ハンナ「宮廷画家のアルノさんがいらっしゃるのです!」
ハンナ「王宮に飾る、姫様の素敵な肖像画を・・・」
ハンナ「そうだ姫様、」
ハンナ「描いてもらった肖像画、絵葉書にもなるので──」
ハンナ「その絵葉書に愛のメッセージを添えて、ジーク王子に送ってみてはいかがです?」
カレン(ラブレターってことか)
ハンナ「ウェルナーさんがいるから、正面突破は無理でも──」
ハンナ「お手紙なら、渡せます!」
カレン(そういえば、ラブレターを送るシーン、絵本の中にもあったな・・・)
カレン(少し恥ずかしいけど・・・)
ハンナ「あ、でも読まれる前にあの剣でビリビリに破かれてしまうかも・・・」
カレン「ううん、やってみる!」
カレン「やってみなきゃ分からないよ!」
ハンナ「じゃあ、とびっきりに可愛くしなくちゃですね!」
カレン「うん、ハンナ、頼んだよ!」

〇華やかな裏庭
カレン「ねぇ、宮廷画家ってどんな人?」
ハンナ「何ていうか・・・ちょっと変わった方、ですね」
カレン「へえ」
ハンナ「あ、もちろん絵はとてもお上手なのですが・・・」
ハンナ「何ていうか、クセが強いと言いますか──」
アルノ(宮廷画家)「はっじめまして〜、プリンセス☆」
アルノ(宮廷画家)「ども、宮廷画家のアルノと申します♪」
アルノ(宮廷画家)「以降、お見知りおきを☆」
カレン「え、ええ・・・」
カレン(ウインクとか、ちゃら〜)
カレン「ハンナ、アルノさんって・・・」
ハンナ「いつもこんな感じなので・・・」
アルノ(宮廷画家)「聞こえてるよ〜、プ・リ・ン・セ・ス☆」
カレン「え!?」
カレン(しかも地獄耳!)
アルノ(宮廷画家)「まあ、いいんだけどね〜☆」
アルノ(宮廷画家)「この間も「口じゃなくて手を動かせ」って、王子に怒られちゃった☆」
カレン(ジークにもこの調子なの!?)
カレン(ある意味、強者・・・)
アルノ(宮廷画家)「さてさて、とりあえず構図を決めたいんだけど──」
  ────
アルノ(宮廷画家)「よし、じゃあこの角度で!」
アルノ(宮廷画家)「心配しないで、プリンセス☆」
アルノ(宮廷画家)「いちばーん可愛い角度だから!」
アルノ(宮廷画家)「じゃ、笑って〜☆」
カレン「おほほ・・・」
アルノ(宮廷画家)「もう、笑いが硬いなぁ・・・」
アルノ(宮廷画家)「そうだ!」
アルノ(宮廷画家)「はい、プレゼント!」
アルノ(宮廷画家)「どう?ジーク王子の微笑み!」
カレン(ジーク・・・)
  カレンの頬を、一筋の涙が流れた。
アルノ(宮廷画家)「あわわわ! 泣かせるつもりは無かったんです!」
ハンナ「姫様・・・」
アルノ(宮廷画家)「ごめん、プリンセス〜」
カレン「ち、違うの!」
カレン「ちょっと、目にゴミが入っただけ!」
カレン「ね、ハンナ!」
ハンナ「あ、え、あ、はい!」
ハンナ「姫様、お目々痛くないですか?」
カレン「ええ、もう大丈夫!」
カレン「さあ、アルノ! とびっきり可愛く描いてね!」
アルノ(宮廷画家)「・・・ええ、もちのロンです☆」
アルノ(宮廷画家)「誰もがメロメロになっちゃう肖像画、描かせていただきまっす!」

〇華やかな裏庭
  1時間後──
ハンナ「姫様っ!」
カレン「ありがとう、ハンナ!」
カレン(昨日ちゃんと寝ればよかった・・・)
アルノ(宮廷画家)「お疲れですね、プリンセス」
アルノ(宮廷画家)「昨日は城下に行かれてたんですよね?」
カレン「ええ」
アルノ(宮廷画家)「いやぁ、お会いしたかったな〜」
カレン「アルノは城下に住んでるの?」
アルノ(宮廷画家)「ええ。まあ、王都の端の方なんで──」
アルノ(宮廷画家)「プリンセスの視察の範囲にはならないようなところですけどね」
カレン「へえ・・・ねえ、アルノ?」
カレン「城下では、ジークって・・・」
アルノ(宮廷画家)「“氷王子”でしょう?」
アルノ(宮廷画家)「俺はそんなことないって、思ってますけどね!」
カレン「え?」
アルノ(宮廷画家)「ほら、俺、ジーク王子に怒られたことあるって言ったでしょ?」
アルノ(宮廷画家)「ヘラヘラ受け流してたら、なーんか困ったような顔してため息ついたりして──」
アルノ(宮廷画家)「この人、オートマチックじゃないなって」
アルノ(宮廷画家)「・・・なんて言ったら、また怒られちゃうかな〜!」
カレン(この人、人のことよく見てる・・・)
カレン(なら・・・)
カレン「ねえ!」
カレン「ひとつ、相談事があって・・・」
アルノ(宮廷画家)「何すか〜?」
アルノ(宮廷画家)「手はふさがってるけど、口も耳も空いてるんで、何でも聞きますよ〜☆」
カレン「・・・愛されるには、どうしたらいい?」
アルノ(宮廷画家)「もしや、プリンセス・・・」
アルノ(宮廷画家)「ジーク王子と、ラーブラブになりたい・・・?」
カレン「ち、違うっ!」
カレン「私じゃなくて、ハンナ!」
ハンナ「えっ!?」
カレン「ハンナの、恋の相談なの!」
アルノ(宮廷画家)「へえ、ハンナちゃん、かぁ・・・」
ハンナ「姫様〜!」
カレン「ごめん、つい・・・」
アルノ(宮廷画家)「ハンナちゃん、お相手はどんな人?」
ハンナ「え、ええ〜っと・・・」
ハンナ「・・・」
ハンナ「いつも冷静で、表情はあんまり変わらなくて・・・でも、顔はいい」
カレン「ハンナ〜、ジークのことそのまま言わないでよ!」
ハンナ「すみません、つい・・・」
アルノ(宮廷画家)「ハンナちゃん、それ・・・」
アルノ(宮廷画家)「ウェルナーくんでしょ?」
ハンナ「え!?!?!?!?」
アルノ(宮廷画家)「あ、図星〜☆」
ハンナ「ち、違うのに〜」
カレン「ハンナ、ごめん〜」
アルノ(宮廷画家)「そうか、あの石頭ウェルナーくんかぁ・・・」
アルノ(宮廷画家)「彼の愛を勝ち取るのは難しそうだね」
アルノ(宮廷画家)「・・・でも、」
アルノ(宮廷画家)「コショコショ・・・」
アルノ(宮廷画家)「ね?」
ハンナ「そ、そ、そ、」
ハンナ「そんなの無理ですよ〜!!」

次のエピソード:第4話 まさかの〇〇大作戦!?

コメント

  • 宮廷画家、ジークの前でも軽口叩いてるんですね。よく辞めさせられませんでしたね。
    彼の介入でどうにかなるものか…絵葉書くらいではなあと思っちゃいますね。それはそれとして、完成した絵は見てみたいですね。手書き風のスチルも良かったです。

  • ハンナって言い出したときは一瞬、百合の道の相談をするのかと思っちゃいましたw しかしウェルナーとハンナ……この組み合わせはありなのでは??
    ○○作戦が一体何なのか、楽しみです😆

  • そっちに行っちゃったかー(笑) でも、ハンナ推しので、それはそれで楽しみです。

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