Removable(リムーバブル)

nori

戻ってきた首謀者(脚本)

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〇レトロ喫茶
神里友里「どうしたんですか、顔色わるいですよ」
新見隆志「会社の方でトラブルがあったみたいで」
神里友里「大丈夫そうですか?」
新見隆志「ええ、まあ」
神里友里「新見さん、頼りにされてるんですね」
新見隆志「どうして・・・」
神里友里「だって休みの日にも電話がかかってくるくらいだから」
新見隆志「そんなことはないんですが・・・ それより、神里さん」
神里友里「はい?」
新見隆志「あの・・・仕事で帰りが遅くなることとかありますか?この前みたいに遅くに出歩くこととか・・・」
新見隆志「ごめんなさい。出過ぎたこと訊いて・・・」
神里友里「そうですよね。またアイツに出くわすこともあるし・・・」
新見隆志(くっ、男を刺した場面が消えたなんて信じてもらえないよな)
新見隆志(それに消失のトリックがわからない以上、彼女が同じ目に合うのを防ぐ手立てがない)
新見隆志(くそっ、どうすればいい)
会社員A「さっきから何、一生懸命にみてるの?」
会社員B「お前さあ、夜とか人通りの少ないところとか気を付けろよ」
会社員A「何、突然?」
会社員B「霞が関連続拉致殺人事件の首謀者が戻ってきたらしい」
会社員A「戻ってきたって・・・」
会社員B「覚えてない?一年前、ずっと警視庁が行方を追ってた超危険人物が急に一切の情報がつかめなくなったの」
会社員A「そんな事件、あったっけ?戻ってきたって、その首謀者がまた事件でも起こしたの?」
会社員B「いや。どっかの路上で重体で倒れてるところを発見されたらしいよ」
会社員A「何、それ?一年間、姿消してたのって、どこか逃げまくってたってことだよね?」
会社員B「もしくは誰かに匿われたか・・・」
会社員A「そんな人がいまになって、重体でみつかるって・・・なんか変じゃない?」
会社員B「何が?」
会社員A「今ってさ、いろんなとこに監視カメラあるし、目撃証言とかすぐにSNSに投稿されそうだよね」
会社員A「それすらなしに一年間、姿を消せてた人が今になって重体で現れるって、何があったんだろうね」
新見隆志(警視庁・・・。姿を消してた奴が突然姿を現したって・・・)
神里友里「新見さん?」
新見隆志「ごめんなさい、何か言いました?」
神里友里「いいえ、何か上の空みたいだったから」
新見隆志「ちょっと向こうのカップルの会話が気になって・・・。拉致連続殺人とかなんとか・・・」
神里友里「ああ。たしか、1年前の事件ですよね。日本の未来を考える党の議員が連続で拉致されて、遺体で発見されたの」
新見隆志(あれか・・・。あれ、世間をあんだけ震撼させたのに、なんで俺、忘れてたんだろ・・・)
新見隆志「店員さん、ちょっとそこのテレビをつけてもらえませんか」
店員「はい。どのチャンネルがいいですか?」
新見隆志「ワイドショー系とかやってれば・・・」
店員「畏まりました」

〇テレビスタジオ
  霞が関連続拉致殺人事件の首謀者、榊英二
  再び現る!!
ニュースキャスター「この時間ですが予定を変更し、霞が関連続拉致殺人事件の首謀者とされる、榊英二が発見されたことについてお伝えします」
ニュースキャスター「現地に田山キャスターがおりますので、繋ぎます。田山さーん」

〇総合病院
田山信二「はい、田山です。ただいま、隅田区の中央総合病院前に来ています」
田山信二「榊英二がこちらの病院に搬送されてきたのは今から5時間前のこととなります」
田山信二「一年前に忽然と姿を消した榊が今になって、しかもなぜ重体で発見されたのでしょうか」
田山信二「事件を追ってきた者の間で多くの憶測が飛び交っております」

〇テレビスタジオ
ニュースキャスター「田山さん。榊が発見された経緯について、その後、何か新情報はありますでしょうか」

〇総合病院
田山信二「はい。今朝の未明、路上に倒れているのを、偶然通りがかった人が救急に連絡。病院側も何も知らずに、応急処置を行った模様」
田山信二「そして身元確認のために、警察に問い合わせたところ、榊本人で間違いないのではないかとのことです」

〇テレビスタジオ
ニュースキャスター「重体で発見されたことについて、何か目撃情報とかは入ってきていますか」

〇総合病院
田山信二「今、警視庁では目撃者を必死で探しているところですが、今のところ、全く確認されておりません」

〇テレビスタジオ
ニュースキャスター「榊の現在の容態についてはどうでしょう」

〇総合病院
田山信二「はい。搬送時に意識不明の重体だったという以外、警視庁のよる厳重な警戒態勢のもと、一切の情報がシャットアウトされております」

〇レトロ喫茶
新見隆志(くっ、あの男が言ってた場面を戻したってこれか?重体で発見されたって言ってたけど、単なる偶然の一致か・・・)
神里友里「不思議な事件ですよね」
神里友里「突然、姿を消したり、現れたり・・・。なんか、フィルムの中で切り取ったシーンを元に戻したような・・・」
新見隆志「えっ?」
神里友里「ごめんなさい。わたし、変なこと言ってますよね。そんなことあるワケないのに・・・」
新見隆志「いえ・・・」
新見隆志(信じられないけど、この状況を表すならそうなるよな。でも、どうやったら、そんなことが現実にできるんだ・・・)
新見隆志(あの現場に何か手掛かりがあるかも・・・)
新見隆志「神里さん、俺、やっぱりちょっと会社に顔、出してきます。これ」
神里友里「ここはわたしが出します。命の恩人に対するお礼ですから」
新見隆志「スイマセン。ここはお言葉に甘えます。じゃあ」
神里友里「・・・」
神里友里「はい?」
「首尾はどうですか」
神里友里「順調すぎて怖いくらい」
「くっくっくっ。流石ですね、愛さん」

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