絆の先にあるもの

Kazunari Sakai

エピソード6(脚本)

絆の先にあるもの

Kazunari Sakai

今すぐ読む

絆の先にあるもの
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇空
  出会いは不思議
  例えばその人が生まれた場所
  進学先や就職先
  それが変わると・・・
  そう・・・
  全く違った絆が生まれる
  エピソード6
  ──逆風の始まり──

〇マンションの入り口

〇綺麗なダイニング
  ネット記事
  フォロワー30万人超えのネット音楽家マリン初の顔出し。芸能プロダクション「F」と契約してデビュー決定
倉田典子(いよいよデビューか。美里やりにくいだろうな)
倉田典子(私も雑誌社からマリン情報の執筆依頼があるかもしれないから、そろそろ情報収集しておくか)

〇ビジネス街

〇オフィスのフロア
  ネット記事コメント欄
  ──マジかわいい!──
   ──すぐにフォローした!──
   ──芸能プロダクション「F」 最高──
梶山厚志「前田君!マリンのネット記事コメント欄が凄い事になってるぞ!うちの会社にも応援コメントが出てる」
前田美里(聞きたくない事をズケズケとこの親父は!)
梶山厚志「んっ?そろそろ会議の時間だ。前田君も前任者として参加してくれよ」

〇小さい会議室
  篠田由美子
  芸能プロダクション「F」
  マリン担当兼プロジェクト課長に任命
梶山厚志「篠田君と前田君は同期だってね。今回篠田君の課長昇進で対等な立場になったな」
篠田由美子「ありがとうございます」
梶山厚志「マリンの引継ぎに関しては宜しく頼むよ前田君」
前田美里「分かりました。最善を尽くします」
篠田由美子「美里。仕事を奪うようで申し訳ないね」
前田美里「元々マリンの担当になるつもりはなかったから気にしなくていいわよ」
篠田由美子(違うでしょ!マリンがあなたを拒否してるのよ)
梶山厚志「それと豊田君。しっかり篠田君をフォローしてくれよ」
豊田明美「はい部長。頑張ります」
  豊田明美
  芸能プロダクション「F」 企画室新人。
  篠田由美子の部下
梶山厚志「マリンは期待の新人だ。2人とも忙しくなるが頼んだぞ」

〇ビジネス街

〇おしゃれな食堂
  芸能プロダクション「F」 社内食堂
豊田明美「課長昇進おめでとうございます。篠田先輩」
篠田由美子「ありがとう。これもマリン担当になったおかげ。私にも運が向いてきたかな」
豊田明美「そういえば前田さんと篠田先輩同期だったんですね。全く知りませんでした」
篠田由美子「そうね。彼女の方が早く課長に昇進していたから何となく言えなかったわ」
豊田明美「でもこれで同じステージに上がりましたね。先輩のためにも頑張ります」
篠田由美子「期待してるわ。ところで豊田さんは「J」 というバンド知ってる?」
豊田明美「「J」 ? いや、全く知らないです」
篠田由美子「前田さんはその「J」 のメンバーでボーカル。当時うちのプロダクションからデビューが決まっていたの」
篠田由美子「でもメンバーの事故死でデビューは取り止め。その流れでここに就職になったわ。だから私のように正規の入社じゃないの」
豊田明美「前田課長バンドのボーカルだったんですか?全く想像出来ませんけど」
篠田由美子「その事もあって当時から彼女には負けたくなかったわ。プライドにかけてね」
篠田由美子(やっと追いついたこの地位。マリンの勢いに便乗して今度こそ抜き去ってみせるわ)

〇繁華な通り

〇旅館の和室
氷室幸治「夏目部長。お渡ししたデモテ―プはいかがでしたか?」
夏目彰「素晴らしい出来映えでしたよ氷室さん」
  夏目彰
  ゲ―ムソフト会社「ステージ」の企画部長
氷室幸治「ネットの記事もご覧頂けましたか?これからマリンの影響力はさらに増すと思いますよ」
夏目彰「そうですね」
夏目彰「当社としても前向きに検討しておりますから宜しくお願いします」
氷室幸治「御社としても次回の新作ソフトは社運を賭けたプロジェクトかと。マリンがプロデュースすれば力になれるはずです」
夏目彰「おっしゃる通りです。今後担当者を交えて話合い早急にご返事します」
夏目彰「氷室さん一杯どうぞ」
夏目彰「まずはお近づきの印に食事をご馳走させて頂きます」
氷室幸治「恐縮です」

〇旅館の和室
氷室幸治(大宮和英。呑気に笑っていられるのも今のうちだよ)

〇ネオン街

〇シックなバー
大宮和英「愛し合う2人の指に輝くこの指輪」
倉田典子「キラキラと輝き2人の愛を証明してる」
大宮和英「そして2人の愛は永遠に続き」
倉田典子「この愛は誰にも止められない」
大宮和英「セリフもバッチリ決まったね」
マスター(よそでやってくれないかなあ・・・ こっちまで恥ずかしくなるわ!)
大宮和英「愛の儀式は終わったから飲みますか!」
倉田典子「うん!マスター生ビ―ル2つ!」
マスター「はいよ!」
倉田典子「ねぇ?新作ソフトのゲ―ム音楽は順調なの?」
大宮和英「うん。ほぼ完成してる」
倉田典子「楽しみだね」
大宮和英「今回も期待しててよ」
マスター「一度聞こうと思ってたけど、ゲ―ム音楽って 何か定義とかあるの?」
大宮和英「そうだね。ゲ―ムのプレイ中長い時間聞く事になるから「友」となってくれるような曲を意識してるかな」
大宮和英「今まで自分が作曲して使われた曲はどれも愛着があるけど」
マスター「誇り高い仕事だね。和英君は立派だよ」
大宮和英「マスター褒められると照れちゃうよ。この飲ませ上手!」
倉田典子「気分いいから今日はとことん飲む?」
大宮和英「いいね。マスター!フル―ツ追加で」
マスター「売上貢献ありがとうございま―す!」

〇ネオン街
  順風満帆な和英と典子。しかしこの夜を境に逆風は吹き始めた

〇高層ビル(看板あり)
  ゲ―ムソフト会社 ステージ本社

〇応接室
  ステージ 応接室
大宮和英「部長!新作ソフトの音楽を白紙に戻すとはどういう事ですか?」
夏目彰「上層部との話し合いで決まった事だ。理解して受け入れてくれ」
大宮和英「納得出来る訳ないじゃないですか!この企画にどれだけの時間を要したか分かってます?」
夏目彰「大宮君が何と言おうがこの件はもう決まった事だ。それに次の担当者も決まってる」
大宮和英「次の担当者? 誰ですか!」
夏目彰「君が心配しなくても当社として間違いなく力になる人物だ。安心したまえ」
大宮和英「私は認めませんよ!「はいそうですか」と諦められる訳ないでしょ」
夏目彰「会社の方針に従わないならこのまま会社辞めてもらってもいいよ」
大宮和英「はあ?」
夏目彰「文句ある?」
大宮和英「分かりました。辞めますわ!こんな会社」
  和英。応接室を出て行く
夏目彰「頑固な男だな!どうせ辞めるつもりもないくせに」

〇異世界のオフィス
大宮和英(こんな会社とは思わなかった!)

〇個別オフィス
  ステージ 企画部長室
夏目彰「何だ!また来たのか?」
大宮和英「長い間お世話になりました」
夏目彰「・・・えっ?」
大宮和英「次の担当者とせいぜい精進して下さい」

〇高層ビル(看板あり)

〇街中の道路
大宮和英(頭に血がのぼり売られた喧嘩を買ってしまった)
大宮和英(いや悔いはない。会社辞めた事ぐらい何ともないよ)
大宮和英(でも今日から無職か)
大宮和英(典子にはしばらく言わないでおこう)

〇お台場

〇撮影スタジオのセット
マリン「どうでしたか?木本さん」
木本信雄「初めてなのに緊張もなくいい収録になっているよ。このまま頑張って」
マリン「は―い❤️」
山下昇「木本君。彼女いいね!華があるよ」
  山下昇
  日の丸テレビ部長
木本信雄「はい。凄い新人ですよ彼女は」
山下昇「他のテレビ局ではなくうちを選んでくれたのも君のおかげだ!感謝するよ」
篠田由美子「マリンお疲れ様。疲れてない? んっ!何見てるの?」
マリン「彼・・・素敵でしょ」
篠田由美子「えっ?木本さんの事?」
マリン「今は前田美里の彼氏だけどね」
篠田由美子「えっ!木本プロデューサーって美里の彼氏なの?知らなかった」
マリン「でも不協和音が進行中だからもうすぐ元カレになるよきっと」
篠田由美子(えっ?)
マリン「美里さんに彼の優しさは必要なしよ。 早く別れて私の彼にならないかなあ」
篠田由美子(それって略奪愛よね?大丈夫この子?)
篠田由美子(でも美里の彼氏をマリンが狙ってるなら何か楽しい事が起こりそうね。美里が仕事に支障をきたすかもしれないし)

〇マンションの入り口
  ──数日後──

〇綺麗なダイニング
  ネット記事
  ミュージックMに出演したマリンの影響で視聴率爆上り。日の丸テレビ追加番組決定
倉田典子(やっぱり凄いな春斗の妹。彼女の曲には洗練された美しさと優雅さが溢れている)
大宮和英「では行ってきます」
倉田典子「あれ?今日も遅い出社だね」
大宮和英「うちの会社もフレックスタイム制を導入したからね。今日の業務状況次第で早く帰れると思う」
倉田典子「本当に!じゃあ今晩のディナーは期待してね。真心込めて作ってあげる」
大宮和英「はい。行ってきます・・・」

〇空

〇インターネットカフェ
大宮和英「9時間パックで個室を頼めるかな」
牛島良太(ゲッ!また来たよこのおっさん)
大宮和英(再就職なんてすぐ出来ると思っていたが、世の中そんなに甘くないか)
牛島良太(こんな大人になったら悲惨だな。この人を反面教師にして俺は頑張ろう)

〇散らかった職員室
  音楽雑誌社「エレガント」編集部

〇綺麗なダイニング
倉田典子(んっ?エレガントの編集長からだ)
倉田典子「もしもし。どうされました編集長?」

〇散らかった職員室
エレガント編集長「倉田さん電話で申し訳ないが・・・ 君の連載、来週号で打ち止めが決まった」

〇綺麗なダイニング
倉田典子「えっ?」

〇散らかった職員室
エレガント編集長「また機会があればお願いするかも知れないが・・・急な決定で申し訳ない」

〇綺麗なダイニング
倉田典子(何で突然打ち切りなの?)
  突然始まった逆風・・・それは和英に続き典子にまでも忍び寄って来ていた
  エピソード7へ

次のエピソード:エピソード7

成分キーワード

ページTOPへ