2面 胸キュン場面(脚本)
〇古い競技場
何か正面横並びでワラワラと現れる
ゾンビの体をとった者共を、
ウラァと払うと、
うわぁーっとヨレていく。
ベースボールスタジアムが
荒野になったような場所でグダグダ。
ツルハシ「何やってんねん」
そこに割って入って
ツッコミを入れる、落語家のツルハシ。
ツルハシ「ワシにもやらせろやー」
ツルハシは、顔がプリントされてある
紙を二つ折りにして、
双眼鏡覗くように
目に当てて、VR見立てで
ツルハシ「さー誰が相手やー」
と、前方左から現れたのは
ズドドドドドと女の子の大軍、
YYBアイドルグループだ。
そして一人中央前にきて相対する、
人気ナンバーワンのセンターちゃんだっけ
ツルハシ(マジでかーっ・・・)
ツルハシ「バーチャルもくそもあらへんわー」
始まるとツルハシは玉砕覚悟のていで、
正面突っ込んでいって、
バーチャルやからかまへんやろって、
センターちゃんに近づいていって
センター「え、うそ」
センターちゃんの後ろからは
その他の女性の大軍が
押し寄せてくるので挟まれて
センターちゃんを後押しして
「嘘だやめろー」
見ている人達、ファンかしらん声がして
ツルハシとセンターちゃんはくっつく。
ツルハシも止まらずかわさずやっちゃって、
センター(この人が、私の最初の・・・)
口がつく。
センターちゃんの唇開いてるところ
前歯にツルハシの唇が当たる
冷たい感触が伝わる
ツルハシ(ひゃっこいんやなー)
くっついたままツルハシがおされて
引き下がっていく
勢いの中、何秒かその状態で
センターちゃんもはらわずそのままにして
最後はセンターちゃんの方が
少し唇を閉じて
吸いつくように、
多少被さって、終える。
制服着た柔いからだも当たって、
若い、華奢な質感。
ツルハシ(しかしええ娘やなー)
ツルハシの方が気遣われるような
守られるような感触あったな、
嫌な顔もせんと。
〇未来の店
──ヤオヨロバザール店内
折中珠未「胸キュン場面ですよーっ」
江藤鉱「胸キュン?」
折中珠未「何かあったらしいですよ」
折中珠未「汝に胸キュン場面」
江藤鉱(あったっけそんなの)
──珠未さんとは、
一瞬、珠未さんの声聞こえたから
江藤鉱(あ、いる)
と思って、燃えるゴミ
ちょこっと袋に捨てるときに
わざとニアミスしたくらいだけど。
〇事務所
──ヤオヨロバザール事務所
宵山安樹「ラプタのやり方?」
宵山安樹「まー書いてあるんですけど 全部、その通りすればいいんですけど」
宵山安樹「一応やってみましょっか」
江藤鉱「はい」
宵山安樹「まだ時間あるんで、とってきていいですよ」
〇備品倉庫
備品倉庫の奥に行くと、
秋原さんがいて、ラプタを探してる。
江藤鉱「ラプタっすか?こことこれっす」
秋原町子「はぁーっ、これーっ」
江藤鉱「高額っすか?」
頷く秋原さん。
江藤鉱(ああ、やっぱそうなんすか)
江藤鉱(普通の棚に置いてないっすもんね)
と、言おうとしたら
俺の肩を後ろから手の平で
ガッと横からつかんで、
秋原町子「江藤くんって、はじめは何か 怖そうな人って思ったけど、いい人だね」
うんうんと頷いて納得してる。
いつも掛けてる眼鏡つけてないと
おっとりした女子プロレスラーみたい。
江藤鉱(肩つかんだのは ごっついってこと確かめた?)
こんなナリで、実は怖そうっていう。
江藤鉱「あーよく言われるんすよ」
江藤鉱(まー黙ってて暗いからな)
〇事務所
江藤鉱「とってきましたー」
と、机の上にザリガニを置くと
ゼンマイ仕掛けみたく
「ギギィィ」
という。
そこに珠未さんが来て、
折中珠未「何でやねん!!」
ラプタ教えてくれようとしたのは
先輩の安樹さんかな
めっさ優しい。前髪片側に
ビジュアリィに垂らしてからに。