エガオカワイイ

小鳥ユウ

エピソード3(脚本)

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〇女の子の一人部屋
  ゆかりさんの後押しで、私は株式会社ラフの「エガオルージュ」の販売員となった。
入江ミサキ「会社に行ってデスクワークしたり電話対応するもんだと思ってた・・・」
  わが社のルールは「在宅で自由に働きエガオを届ける」だそうだ。窮屈な満員電車を体験するよりましなのかもしれない。
入江ミサキ「入ってそうそう在宅っていうのも不安だけど、やるしかない!!」
  私は自分のスマホを取り出し、ゆかりさんからもらった住所録に電話をする。これが私の仕事だ。
電話越しの女性「自然由来の素材で、しかも私の笑顔を引き出せる? そういう作用があるってこと?」
入江ミサキ「はい! そうなんです、わが社独自ブランドのものでして。あなたの美しい顔をもっと輝かせる商品となっております!」
電話越しの女性「自然由来のものを使ってるなら高いんじゃないの?」
入江ミサキ「今なら会員になりますと、関連商品もお安くなりますがいかがいたしましょう」
電話越しの女性「わかったわ。会員になるわ」
入江ミサキ「はい! はい。 ありがとう、ございます!! それでは、お名前と住所を教えていただけますでしょうか」
  やった! 一人会員確約だ。会員にできるとさらにボーナスももらえるらしいのでこれは期待できそう。
入江ミサキ「ふう・・・。なんだか、仕事してないみたい」
入江ミサキ「ゆかりさんからだ。 なんだろう... もしもし?」
ゆかり「入江さん、お疲れ様です。少し、お話したいことがありますので、一度本社までお越しいただけるでしょうか?」
入江ミサキ(なんだか、いつもの感じじゃないな。なんだろう)
入江ミサキ「わ、わかりました。 場所を教えてください」
  そういうと、ブチッと電話が切れて
  SMSから地図が送られてきた。
  ちょっと不安だけどいくしかない。

〇寂れた雑居ビル
入江ミサキ「ここが、株式会社ラフ? 小さな会社みたいだけど、工場とか本当にもってるの?」
  ゆかりさんに呼ばれてきたのはいいものの、そこは会社と呼ぶには小さい建物だった。
入江ミサキ「入ってみるしかないよね・・・」

〇事務所
入江ミサキ「失礼しま」
「はよ、営業行ってこいや! ボケェ!」
「売上落ちとるんと違うんか? ああ!? バカどもの教育間違っとるんとちゃうんけ!?」
入江ミサキ(え・・・な、なに?これ。 これが、うちの会社。まるでヤクザ映画の事務所じゃない・・・)
刃野「君が、新しく入ったっちゅう子か?」
入江ミサキ「は、はい。入江ミサキと申します。 よろしくお願いします」
刃野「『致します』だろ? 若い子はみんなそういうんか? まあ、いいわ。ついてきて」
入江ミサキ「は、はあ」

〇応接スペース
刃野「そこ、かけて」
入江ミサキ「はい、失礼・・・致します」
  しばらくすると、ゆかりさんが男の人の隣に座った。
刃野「俺は、ゆかりさんの・・・上司の刃野(じんの)だ。よろしく。で、本題にはいるんだが」
刃野「君、ゆかりさんに『お礼』してないんやってなぁ?」
入江ミサキ「お礼? と、申しますと?」
ゆかり「とぼけないでほしいんだけど? 入るとき、契約書に名前書いたわよね? そこにちゃんと書いてあったわよ」
入江ミサキ「え、え? 全然話が読めないんですけど だいたい、契約書って?」
  確かに「入社証明書」みたいなのには名前を書いた覚えがあるけど・・・。契約書なんて知らない。
  刃野さんは一枚の書類を机に叩きつけた。それは、「入社証明書」の裏に印刷された契約書。でも、書いた時にはそんなのなかった!
刃野「社の方針は守ってもらわんとなぁ」

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