エガオカワイイ

小鳥ユウ

エピソード4(脚本)

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〇新興住宅
女性B「大丈夫ですー」
男性C「帰ってください!」
女性C「間に合ってるので・・・」
  ・・・・・・
  ・・・・・・
入江ミサキ「だめだ。全然だれも相手してくれない。 こうなったらゆかりさんが言ってた方法を試そう」
インターホン越しの声「はーい」
入江ミサキ「突然申し訳ありません。私、今綺麗な女性のみなさんにアンケートしておりまして。今、お時間よろしいでしょうか?」
インターホン越しの女性「あら、そう。少し待ってて」
入江ミサキ(やった! うまくいった。 やっぱりゆかりさんってすごい!)
顧客A「それで、話って何?」
入江ミサキ「はい! 今、とてもお若いように見えますがなにかこだわっていることとかありますか? 例えば化粧品とか」
顧客A「ええ? ま、まあ人並みには気を付けてるわね。でも、最近化粧品のノリが悪いのよねぇ」
入江ミサキ「そうですか。実は、私こういうものを持っておりまして」
顧客A「これは?」
入江ミサキ「うちの商品です! 私も愛用しているエガオルージュという商品です。これはあなたの輝きを何十倍にもしてくれます!」
顧客A「ほんとなの?」
  私は、この商品の魅力そして、会員制の話をしていった。だが、彼女の顔はどんどんと曇っていくばかりだ。
顧客A「でもこれって、違法じゃない? 営業目的できたのよね。でも、アンケートに答えてって、これ嘘じゃないの?」
入江ミサキ「へ?」
顧客A「それに、この口紅。薬局でみたことあるわよ。そんなに高くなかったし、そんな効力ないわ」
入江ミサキ「いえいえ、これは正真正銘うちの商品ですよ。上司もそう言ってましたし」
顧客A「はぁ、あなたも騙されてるわ。 効かなかったことにしてあげるから帰ってちょうだい」
入江ミサキ「いっちゃった」
入江ミサキ「私が、だまされてた・・・ じゃあ、あの時の高揚感は何? 一番輝いていた時の私は何?」
  私は鞄からあの口紅を取り出した。
  そして、綺麗になでるように自分の唇に塗った。
入江ミサキ「鏡を見ればわかる。私を見ればわかる。 私が証明。私が笑顔。私のエガオ」
ミサキ?「ワタシのエガオ、カワイイよね?」

〇応接スペース
刃野「それで、帰ってきたと? なにやってるんだい。せっかく居場所を作ってやったのに期待を裏切ることばかりじゃねえか」
入江ミサキ「すみません」
刃野「え? なに?」
入江ミサキ「・・・みません」
刃野「もっとはっきり言えや!!」
入江ミサキ「も、申し訳・・・ありませんでした・・・」
刃野「チッ。笑顔も取り繕えねえのになにがみんなを笑顔にだ。今ここで、笑って見ろよ。 なあ、うちの商品使ってるんならできるよな!」
入江ミサキ「・・・」
刃野「泣けばいいと思ってんのか? うちの商品使って泣いてどうするんだ! ほら、もっと塗れ! オレがもっとかわいくしてやる!」
刃野「どうだ? 少しはかわいくなったか?  って、ぎゃっははは! これじゃまるで口裂け女じゃねえか」
???「カ、ワイ?」
刃野「は?」
???「かわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいかわいいかわいいかうぃぐぃえ?」
刃野「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

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