かわいいあの子

霜月りつ

かわいいあの子(脚本)

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〇古い畳部屋
  愛猫が死んで一年たった。
  それでも家の中にあの子の気配は残っている。

〇部屋の前
  カーテンの陰、本棚の上、押入の中。
  きっとそんなところに隠れていると思うことにした。

〇女性の部屋
  二階にいたときにゃあと猫の声がした

〇L字キッチン
  あわてて降りると鍋がふいている。
  やっぱりどこかにいて私を見守ってるんだね。
「にゃあにゃあ」
  いや、あれは本当に猫の声。

〇川のある裏庭(発電機あり)
子猫「にゃあ! にゃあ・・・」
  玄関にでると小さな毛玉がいた。
  必死で泣いている。
  拾い上げたとき、目のはしにあの子の尻尾が見えた気がした。
  得意げにぴんとあがった尻尾。
  君が連れてきてくれたの?
  
  今度はこの子を愛してと。
  ぽたぽたと自分の上に落ちた涙を、子猫はにゃあと泣いて振り払った。
  おしまい。

コメント

  • 私も似たような経験を経ており、家の中で気配がするというのも体験していました。不思議なことに、やはり一度や二度でないのですよね。愛猫さんへの愛情が文章全体から伝わってきて感涙しそうでした。

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