祭りって雰囲気だけでもテンションは上がる(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
クリスタ「カナリアちゃん!これどう?」
カナリア「可愛いじゃん!クリスタにめっちゃ似合うし!」
クリスタ「ふふ。ありがとう!」
広場へと向かう一本道に並ぶ店の中で、アクセサリーショップを見つけた二人は、お互いに似合う品を探しながら盛り上がっていた。
そんなクリスタの喜ぶ表情を見て、微笑むカナリアは広場に繋がる道に視線を向ける。
カナリア(他にはどんなお店があ――。)
カナリア「ゔっ――!!!!」
クリスタ「……?どうしたのカナリアちゃん。」
クリスタは小首を傾げ、硬直したカナリアの視線を辿る様に。ある洋服屋で目が留まる。
クリスタ「わぁ!なんか珍しい、デザイン?」
クリスタ「カナリアちゃんあれが気になるの?」
カナリア「い、いや。もう遥か昔に卒業したというか。」
カナリア(なんで、あんなものがこの世界にあんのよ!)
クリスタ「どこの民族の服なのかな?」
カナリア「民族……。」
カナリア「ちょ、ちょっとあたし見てくる!」
クリスタ「え?」
クリスタ「あ!カナリアちゃん!」
クリスタ「……よっぽど気に入ったのか?」
〇西洋の街並み
店前に立ち止まったカナリアは息を飲んだ。
ボロボロな紺色の絨毯に座る老いた商人。その周りには前世で見た事がある物ばかりが売られていた。
カナリア(間違いない……。これ日本の売り物。)
怪しい店主「ほー?」
怪しい店主「お客さん。何かお目当ての品でもありましたかな?」
カナリア「あ、いやその。珍しい物ばかりだなって。」
怪しい店主「そうですか。そうですか。」
怪しい店主「とはいえ。中々売れないものでしてねー。いやぁ商売とは難儀なものですなぁ。」
カナリア「そうなんですか……。」
カナリア(うーん。売れないって言われると……ちょっと可哀そうかも。)
カナリア「な、なんかおすすめの商品とかありますか?」
怪しい店主「ええ!ありますとも!」
怪しい店主「これなんかはいかがでしょうかね?」
カナリア「……。」
怪しい店主「いやはや!年頃のお客さんだと思いましてね!?」
カナリア「い、いいいいいらねーわ!!!!!」
カナリア「こっちが?」
カナリア「売れないとか言うから?」
カナリア「優しさで言ったのに!!」
カナリア「よくも初対面の相手にそんな卑猥な物をお勧めできるわけ!?」
怪しい店主「ひぇ……。」
怪しい店主「……卑猥な物。ねぇ。」
カナリア「そうよ!誰だってそう思うでしょ!」
怪しい店主「いえ?そもそも見た事無い品として見られるのが一般ですねぇ。」
カナリア「まぁ、色んな種族が存在するわけだし文化に違いはあるだろうけれど……。」
怪しい店主「……お客さん。」
カナリア「なに?」
怪しい店主「元々はこの世界の住民じゃない方……ですかぇ?」
カナリア「……え?」
怪しい店主「ほっほっほ!」
怪しい店主「なら、これがいいかもしれませんなぁ。」
カナリア「これは……?」
怪しい店主「持っていて損はない品、とだけ言っておきましょうかね。」
怪しい店主「どうですか?金貨五枚で。」
カナリア(高っ!!金貨五枚って日本円で六万じゃないの……。)
カナリア「ほ、本当でしょうね?」
怪しい店主「ええ。保証しますよ。」
カナリア(あたしが転生者って平然と言う人……だし。)
カナリア(理解者なのかな?それとも……。)
カナリア「分かった。金貨五枚ね。」
怪しい店主「毎度あり。」
カナリア「それで……あなたもしかして――。」
クリスタ「カナリアちゃーん!」
カナリア「クリスタ。」
クリスタ「なんかいい物でも見つけたー?」
カナリア「あ、いや。その、この人ね。」
クリスタ「この人?」
怪しい店主「おやおや!お客さんのお友達ですか。」
怪しい店主「実はおすすめの品がありましてねぇ。」
カナリア「変なの出したら、次はねーぞ?」
怪しい店主「……今日はもう閉店しま、す。」
クリスタ「カナリアちゃん!そろそろ広場に集まろ!花火!花火!」
カナリア「ちょ!クリスタ待って!」
広場まで駆けるクリスタの背を見るカナリアは、横目で商人の姿を見つつ。
とりあえず、広場に向かう事にした――。
怪しい店主「……。」
怪しい店主「さぁて、片付けますかな。」
〇西洋の街並み
革のカバンを広げ、指を鳴らす――。
すると、カバンの中に商品が吸い込まれていき、あっという間に片付けが済まされる。商人は軽く咳払いをすると
老人の声から、若々しい声と変わり、ローブを脱いで吐息を溢した。
???「中々野蛮な転生者かねぇ。」
???「まぁお友達が増えて嬉しいけれど。」