コスパの悪いこの世界

玄夜 穹

あるOLの残念な転生(脚本)

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玄夜 穹

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〇おしゃれな食堂
  ある日――。OLであった静香は自宅の階段から転び、死んでしまった。
  しかし、静香は転生し貴族の魔法使いの子供として再度人生のスタートを切る。
  最初は驚いていた本人だが、成長していく中でこれが現実だと受け止めだした……。
  カナリア。その名と共に彼女は新たな世界で最強の魔法使いになると目標を掲げ、意気揚々と魔法学園に通いだした……が。
カナリア「あー……。」
カナリア「……死にたい。」
クリスタ「カナリアちゃん……。じょ、冗談でもそんな事言っちゃだめだよ。」
クリスタ「こ、今回の魔法テストは上手く行かなかったかもだけど、次はきっと――。」
カナリア「次?」
カナリア「皆の前で炎の魔法発動しようとしたら」
カナリア「おならみたいな音しか出なかったんだよ!?」
クリスタ「うっ――。」
カナリア「もう一年も経つのに魔法が使えない魔法使い……さて、それは何というのでしょうか?」
カナリア「そう!ただの人だよ!!!」
クリスタ(逆にあんな音出せた事が凄い……なんて言えない、よね。)
カナリア「もう恥ずかしすぎて死にたい……。」
カナリア「絶対次のテストで皆に生暖かい目で見られるんだ!!」
カナリア「あたしっていつになれば魔法が使えるんだろうか。」
カナリア「はぁー……。」
店員「お待たせ致しましたお客様。」
店員「ご注文は何になさいますか?」
カナリア「とりあえずビー……。」
カナリア「はっ――!」
店員「ビー?」
クリスタ「ビー?」
カナリア「ビー……。ビ、ビタミン豊富な食べ物を!」
カナリア「くだ、さい。」
クリスタ「私も同じので!」
店員「畏まりました。」
カナリア(あぶなかったー。)
カナリア(ついつい前世の癖が出てしまった。)
カナリア「というか。」
カナリア「クリスタはいいよねー。何でも出来ちゃうんだもん。」
クリスタ「い、いや大したことないよ。」
カナリア「クリスタが大したことないならあたしの存在価値がミジンコ以下になりますけど!?」
クリスタ「ミ、ミジンコ!?」
カナリア「全く。」
カナリア「世知辛い世の中ですなー。」
クリスタ「そ、そう言えばね!」
クリスタ「今日国王様の生誕祭があるんだよ!」
カナリア(あ、話題変えたな?)
クリスタ「こういう日は気晴らしに楽しまない?」
カナリア「気晴らしねー。」
カナリア(まぁ、確かにお祭りは気になる……。)
カナリア「そうだね……。」
カナリア「楽しもっか!」
クリスタ「うん!」
店員「お待たせ致しました。」
店員「こちら当店のおすすめ――」
店員「ゴブリンの脳汁煮込みです!」
カナリア「うっ……。」
カナリア(ていうか。なんで鍋ごと……。)
店員「???」
クリスタ「わ、わー。ドロドロ……です、ね。」
店員「はい!」
カナリア(はい!じゃねーよ。)

〇ヨーロッパの街並み
カナリア(もう絶対あんなお店行かない……。)
カナリア(さっきからずっと鳥肌が治らんのですが……。)
クリスタ「あ!もう始まってるね!」
カナリア「おー……。」
  クリスタの声に鳥肌の立った腕から、正面を向いたカナリア。
  そこには、前世でいう屋台の様な店がずらりと並んでいた。
  獣人族が開いている店からはステーキの香ばしい香りが漂い――。
  一方。エルフ族が開いている店からは、小さなハープを奏でている。
  売り物である実際の音色を聞かせているのだろうか。そんなエルフが奏でる流麗な音色は
  カナリアの耳にするりと、入り込んでいく。
カナリア(お店が沢山だ。)
クリスタ「ねーねー!カナリアちゃん!」
クリスタ「何処から行く!?」
カナリア「うーん。」
カナリア「アクセサリーショップとかあるかな?」
クリスタ「探してみようか!」
カナリア「そうだね!」
カナリア(もう今日はテストの事なんて忘れて名一杯楽しもっと!)

次のエピソード:祭りって雰囲気だけでもテンションは上がる

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