サンガクブ!

都麻(とま)

青春したい!(脚本)

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〇教室の外
石塚ゆら「えっ!?」
石塚ゆら「付き合ってくれないの!?」
石塚ゆら「なんで!???」
チャラ男「いや、なんでって・・・」
チャラ男「お前さあ、クラスの男子のほとんどに告白してるだろ」
石塚ゆら「うん」
チャラ男「それだよ」
石塚ゆら「それかあ・・・」
チャラ男「まあとにかく、ごめんな」
石塚ゆら「あー!待って!」
石塚ゆら「うっ・・・高校入学から2週間たつのに、1人も彼氏ができない」
石塚ゆら「あたし、可愛いのに」
石塚ゆら「性格も素直だし明るいしめっちゃいいやつなのに・・・」
石塚ゆら「はあ・・・」
石塚ゆら「高校入ったら、恋も青春もがんばろうって思ってたのになあ」
  『あんたなんかどこ行っても変わんないよ』
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら「そんなことないそんなことない!! っしゃ、次いくぞー!!」
石塚ゆら「・・・お腹すいた・・・」
石塚ゆら「ん?」
石塚ゆら「クンクン・・・」
石塚ゆら「なんか美味しそうな・・・肉の匂い?」

〇中庭
  ジュウウウウ・・・
石塚ゆら「うわ美味しそう~~」
石塚ゆら「って、なんで中庭で肉が焼かれて・・・?」
副部長「いらっしゃーーい!!」
  ガシイィッ
副部長「さ、さ、食べてって!」
副部長「このテントのなかで!」
石塚ゆら「テント!?なんでここにテントが!?」
長老「・・・」
石塚ゆら「ひええ力強い・・・!!」
副部長「矢間先生ー!」
副部長「ステーキ作戦成功でーす! 新入部員候補、1人釣れましたー!」
石塚ゆら「新入部員・・・!? いやあたし、部活よりも恋に打ち込みたいっていうか!!」
  こうしてあたしは、
  ステーキの匂いに釣られ
  なぜか中庭に張られた
  どでかいテントの中に連れ込まれ
  その人に、出会った
矢間「おう」
石塚ゆら「くっ・・・」
石塚ゆら(クッソ好みのタイプなんですけど!!!!!?)

〇テントの中
部長「山岳部部長の、須藤です」
部長「これは普段の活動でも使ってるテントで・・・」
部長「・・・あの?きいてるかしら?」
石塚ゆら「質問です!」
矢間「・・・俺にか?」
石塚ゆら「せんせー、彼女いますか!?」
石塚ゆら「いなかったら、あたしとかどうですか!?」
矢間「・・・」
矢間「はあ!?」
石塚ゆら(ふあ~怒った顔もめちゃくちゃタイプ~)
矢間「俺と生徒がどうこうなんてあるはずがないだろうが!!」
矢間「こんなの連れてくるな!!論外だ論外!!」
石塚ゆら「あーっ待ってー!!」
石塚ゆら「行っちゃった・・・」
部長「あ、あの」
部長「山岳部に、入部志望・・・なのよね?」
石塚ゆら「なんすか、サンガクブって」
部長「・・・」

〇テントの中
副部長「ごめんごめん、とにかく捕まえなきゃと思ってさ~」
副部長「あらためまして。 山岳部副部長の秋元でっす! 部長とおんなじ2年生!」
副部長「もう1人、さっきのジャージの人は3年生の大谷さんね。うちらは長老って呼んでるけど」
石塚ゆら「はあ・・・」
石塚ゆら「サンガクブって登山する部活なんすね。登山はちょっとやったことないなあ・・・」
部長「未経験者も大歓迎よ」
石塚ゆら「いや~あたしは肉につられただけで・・・」
副部長「そうだった!とりあえず肉食いな!肉!」
  ぐううぅ・・・
石塚ゆら「・・・じゃあ遠慮なく」
石塚ゆら「ガツガツガツガツ!!」
副部長「おお~いい食べっぷりだね~」
石塚ゆら「お、美味し~~~!!」
部長「鍋で炊いたご飯もあるわよ」
石塚ゆら「え~最高すぎる!!」
部長「ふふ・・・」
石塚ゆら「えへへ・・・」
石塚ゆら「じゃあえっと」
石塚ゆら「私はこのへんで・・・」
  ガシイィッ
副部長「待ちな」
副部長「まさかこれでサヨナラなんて、 そんなわけないよねえ?」
石塚ゆら「ひぇぇ・・・」

〇田舎駅のホーム
石塚ゆら「うう・・・着いた・・・」
  『今度の土曜日、朝10時!! 山中駅に集合ね!!』
  『新入生歓迎登山、待ってるから!!』
石塚ゆら「入部するなんて言ってないのに~」
石塚ゆら(でも・・・入部したら毎日あのせんせーに会えちゃうのか~)
石塚ゆら(それはオイシイな~)
石塚ゆら(あ!!いたいた!!)
矢間「・・・」
石塚ゆら「し、シカトされた・・・」
石塚ゆら(まーいっか! この旅でお近づきになれば!)
部長「おはよう、石塚さん」
石塚ゆら「あっ部長!おつかれさまっす!」
部長「さっそくだけど、これがあなたのザックよ」
石塚ゆら「ザック・・・?」
  ※ザック・・・登山用リュックサック
部長「あなたの分担の装備が入ってるから」
石塚ゆら「そうび・・・?」
  ※装備・・・テント用品や登山用衣類、雨具など一式の総称
石塚ゆら「グハッ・・・お、重い・・・!?」
部長「石が入ってるからね」
石塚ゆら「い、石を!?なぜ!?」
部長「重さを足すためよ」
石塚ゆら「なぜわざわざ重く・・・!?」
部長「歩荷訓練よ」
  ※歩荷訓練・・・登山トレーニングのひとつ。ザックに石や水をいれたペットボトルを詰めて重量を足し、斜面や階段を昇り降りする
部長「さ、行くわよ!」
石塚ゆら「ひぇぇ・・・」

〇山中の坂道
石塚ゆら「ハア・・・ハア」
副部長「よっ!意外と体力あるじゃん」
副部長「なんか運動やってた?」
石塚ゆら「あ~中学では水泳部でした」
副部長「へー!高校では続けないんだ?」
石塚ゆら「うーん・・・あたし、そこでハブられてたんすよね」
石塚ゆら「まあまあヒサンな思い出しかないんですよ~」
副部長「ありゃごめん、ヤなこと聞いたね」
石塚ゆら「あー気にしないでください!」
石塚ゆら「過去は忘れて、高校ではめっちゃめちゃに青春してやろうと思ってるんで!」
  『あんたなんかどこ行っても変わんないよ』
石塚ゆら(えーいうるさーい!!)
副部長「・・・そっか」
石塚ゆら「それより、まじでしんどいです~」
長老「この先、平坦な尾根道に出るな」
部長「じゃあそこで5分休憩しましょうか」
石塚ゆら「やった~!って5分か~!」
石塚ゆら「今のところ、山、ぜんぜん楽しくないです」
副部長「正直だね~!!」
石塚ゆら「う、すみません・・・」
副部長「いいんだよ、それで」
副部長「山ではね、しんどいキツイを周りのメンバーに隠すのが一番よくないの」
副部長「てか、山なんて日焼けするしキツイしなんで登ってるのかあたしもいまだにわかんないよ!」
長老「私はそこまで思わないが・・・」
副部長「長老は体力がありすぎるんですよ」
部長「私も小さい頃から山に登ってたから、あんまり辛いとかないわね・・・」
副部長「こいつも山バカだから参考にならないんだよね」
部長「失礼ね」
副部長「まあ1番の山バカは・・・うちの顧問かな」
矢間「聞こえてるぞ」
副部長「矢間先生はね、高校生のとき登山でインターハイ行ってんだよ」
石塚ゆら「登山もインターハイあるんすか!?」
副部長「あるあるー。4人チームで3泊4日登山すんの」
石塚ゆら「えー!」
矢間「・・・先に行って休憩場所があるか見てくる」
副部長「あ・・・」
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら(2人きりになれるチャンスでは!?)
石塚ゆら「あ、私も先にいきまーす!」
副部長「えっ!?待って!!」

〇山並み
石塚ゆら「やーませーんせー!!」
  ダダダダダ・・・
  ズルッ!!
石塚ゆら「うわっ!?」
矢間「危ない・・・!!」
  ガシッ!
矢間「大丈夫か!!!」
石塚ゆら(キャーかっこいー!)
石塚ゆら「は、はい!ちょっと滑っちゃいました!」
石塚ゆら「ありがとうござ・・・」
矢間「馬鹿かお前は!!!」
石塚ゆら「え・・・」
矢間「なんで1人で行動した!?隊列から先行した理由はなんだ!!」
石塚ゆら「あ・・・えっと」
部長「石塚さん!」
矢間「部長!なんで止めなかった!滑落するところだったぞ!」
石塚ゆら「あ・・・あの・・・大したことなかったんで」
矢間「この尾根道から落ちてみろ!」
矢間「俺はお前を助けられない!他の部員もだ!」
矢間「どういうことかわかるか」
石塚ゆら「う・・・」
矢間「・・・二度と勝手な行動はするな!!」
石塚ゆら「・・・ごめんなさい」
  それから、先生はひと言も話してくれなかった
  山頂の景色はキレイだったけど・・・あんまり覚えてない・・・

〇学校の部室
  3日後──
  山岳部部室
部長「はい、たしかにザックを返却いただきました」
石塚ゆら「・・・」
部長「そんな顔しないで。あなたと登れて楽しかったわ」
部長「入部してくれたら嬉しかったけど、無理強いできないしね」
石塚ゆら「ぶちょお・・・」
部長「・・・これ」
石塚ゆら「写真?」
部長「矢間先生がここの山岳部員だった頃の写真よ」
石塚ゆら「え!先生ってここのOBなんだ!?」
部長「当時・・・先生と同期の部員が、登山中に大怪我をしてしまったらしいの」
部長「その人は、二度と山に登れなくなってしまったそうよ」
部長「だから・・・あんなに厳しいんだと思うわ」
石塚ゆら「そんなことが・・・」
石塚ゆら「・・・」
部長「石塚さん?」
石塚ゆら「てか、やばくないですか」
部長「え?」
石塚ゆら「この写真の!先生の!笑顔!!!」
  山頂で屈託なく笑う先生の姿。
  あの仏頂面がウソみたいな笑顔・・・
石塚ゆら「まじ尊い・・・」
石塚ゆら「こんなふうに笑うんだあ・・・」
石塚ゆら「──部長!!」
石塚ゆら「あたしやっぱり・・・この恋、あきらめられません!!」
部長「えっ!?」
石塚ゆら「この写真みたいな、先生の笑顔を直接見るまで・・・」
石塚ゆら「あたし、どんな山にも登ってみせます!!」
石塚ゆら「先生が笑ってくれるなら、インターハイだってめざしちゃうぞー!」
部長「・・・」
石塚ゆら「ってインターハイは言い過ぎか~」
部長「・・・よく言ってくれたわ」
部長「あなたの覚悟、受け止めた」
部長「めざしましょう、高みを・・・!!」
石塚ゆら「・・・ハイッ!」
石塚ゆら(なんか・・・青春マンガっぽくない!?)
  『あんたなんか──』
石塚ゆら(あたしは・・・山岳部で、恋も青春もつかんでみせる!!!!)
石塚ゆら(山の良さとか正直まだ全然わからんけど!!)
石塚ゆら「恋もインターハイも、優勝決めちゃうぞー!!」
部長「今日から特訓ね!!」
石塚ゆら「目が怖え~!!」

〇役所のオフィス
矢間「・・・」
矢間「入部はみとめん!!!!!!」
石塚ゆら「えーーー!!!?」

次のエピソード:入部したい!

コメント

  • 遅ればせながら拝読しました😊
    めちゃくちゃ面白かったし、ゆらちゃんが魅力的でした✨
    納得の入賞です😉

  • こんにちは!1.2話読ませて頂きました!
    前向きで明るい主人公に好感で、先生との恋の行方も気になります!
    アイテムの使い方が本当に巧みでサンガクブの為にある背景やアイテムだなと思いました!

  • 結果発表から来ました!受賞おめでとうございます🙌
    お話のスピード感良くて、主人公の屈託のないポジティブさが好感もてますね…男子全員に告白済みとか猛者過ぎて笑いました!🤣🤣続きもちょくちょく読ませていただきます!🙏

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