エピソード11(脚本)
〇古いアパート
──御手洗の家
〇散らかった居間
御手洗(みたらい)「あんた、そこの焼酎とコップを こっちに持ってきて」
家に着くなり、
御手洗は焼酎を一杯あおった。
そしてタバコも吸い始めた
私のバイト代で
こんなクズを生かしてたんだ。
高齢化社会という言葉の意味を
突きつけられた気がした
むなしさと疲れが同時に私を襲った。
御手洗(みたらい)「薬はそこに置いといて」
タバコの煙を吐きながら、
御手洗が言った
床にはいくつも
ビニール袋が置いてあった
そばに置くと、
『違う違う、その袋の中にいれといて』と
ババアが指図してきた。
ビニール袋を開こうとすると
中に何か入ってることに気づいた。
神崎 ゆい「(生ゴミじゃないよね)」
中を見ると、今日もらったものと
同じ薬が入っていた・・・
あっちの袋にも
こっちの袋にも入っている。
神崎 ゆい「(なんでこんなに同じ薬があるの?)」
神崎 ゆい「(あ・・・!)」
──こいつ飲んでなかったんだ・・・
タダで薬をもらっておきながら、
湿布も目薬も使っていなかったんだ。
〇散らかった居間
神崎 ゆい「(ふざけるな! 誰の金だと思ってるんだ!)」
振り返りって御手洗を睨み付けた瞬間、
首に激痛が走った!
神崎 ゆい「痛っ!!」
とっさに右手で首を押さえる。
そうだった。午前中、ババアに
押し倒されたんだった
御手洗(みたらい)「どうしたの? 首が痛いの?」
ボケ老人は
自分が原因の事を忘れているようだ。
御手洗(みたらい)「そこの湿布をもってっていいよ。 ほら、私──」
御手洗(みたらい)「──どうせ、タダだから」
介護者による
老人虐待が後を経たない理由が
わかった気がした・・・
高齢者の多量残薬は問題になっていますよね。飲み残し多量のまま次の診察に行って検査して、数値の改善が見られないから(当然)薬を増量して、増えた薬をさらに飲み残して、、、、と、お家には残薬だらけで(汗)
あと、薬がタダだからと、生活保護受給者が横流しする事例も多いみたいですね。トリップできる向精神薬を中心に……
私は医療職なので、最初はとても面白い所に着目された作品にだなぁ、と思って読んでいたんですが、だんだんと高齢者の恨み辛みみたいなものだけに着目した作品の様に思えて読んでいて寂しい気持ちになってきました。
でも、作者様の考えが今の若者の考え方、なんでしょうね。私はまだ、高齢者ではありませんが、作者様よりも歳が上だと思うので謝罪いたします。高齢者を恨む様な社会を作って申し訳ありません。