エピソード16(脚本)
〇鍛冶屋
あれから1週間後。ニルとアイリはメイザスの鍛冶屋を訪ねていた。
完成した剣を受け取りに来たのである。
分厚い布に覆われた剣を前に、メイザスはニルとアイリに「開けてみろ」とあごをしゃくった。
傍(かたわ)らにいるエルルも、キラキラと目を輝かせて強く頷(うなず)いている。
ニルとアイリは期待に胸を膨らませながら剣にかかる布をめくった。
「・・・!」
現れたのは新月の夜のように真っ黒な刀身を持つ剣だった。
柄にはコアがはめ込まれており、それを囲むようにして走る赤いラインが漆黒の刃を彩っている。
その鋭く、猛々しいフォルムはため息を漏らしそうなほどの美しさだ。
メイザス「“焔滅剣(えんめつけん)ヴェラグニス”だ」
メイザスは、剣に見入っているニルとアイリに話し始めた。
メイザス「コイツは他の剣とは違って特別製だ」
メイザス「・・・まあ、簡単に言うと柄の部分に少し細工がしてある」
メイザス「柄を捻(ひね)ると、コアからエネルギーが流れて剣が・・・」
メイザスはそこまで言って口を閉ざした。
ニルは剣を手にして、うずうずとしている。
ため息をついてから、メイザスはニルとアイリに背を向けた。
メイザス「うだうだ説明するよりも、自分で使ってみた方が分かりやすいだろう」
メイザス「メルザムのすぐ近くに荒れ地がある。 そこで試し切りすればいい」
〇荒地
メルザムを出てすぐの荒れ地には、無数の大きな岩が散在していた。
ゆっくりとヴェラグニスを構えると、ずっしりとした重さが腕に伝わり、ニルはギュッと柄を握りなおした。
メイザス「その岩を斬ってみろ」
メイザスはそばにある岩を指差した。
縦も横も、ニルの倍はありそうな岩だ。
ニルはごくりと唾を飲み込む。
ニル「はあッ!」
岩に振り下ろした剣は、ガチンッと音を立てて弾かれた。
しかし、手にしている大剣は刃こぼれひとつしていない。
ニル「すごい・・・!」
メイザス「まだまだ、その剣はそんなもんじゃない」
メイザス「柄を捻ってみろ」
ニルは、メイザスの指示通りに柄を捻った。
ニル「なっ!?」
みるみるうちに刀身にオレンジの脈が入る。
ドクドクと満ちるマグマのようなラインは、熱を持って刀身全体に広がった。
メイザス「その剣は、ヴェラグニスの熱を帯びる」
メイザス「もう一度岩を斬ってみろ」
ニルが再び岩に向かってヴェラグニスを振り下ろした。
キィィン、と音を立てながら刀身が岩へと侵入する。
先ほどとはうってかわって、岩は真っ二つに割れた。
エルル「おお〜!」
アイリ「これは・・・さすがヴェラグニルのパーツね」
アイリとエルルは感嘆の声をあげる。
メイザスは割れた岩の断面を確認し、今度は別の岩を指さした。
メイザス「次はこっちだ」
ニル「こっち・・・ってえ!?」
メイザスの指の先にあるのは、もはや山と呼んだほうがいいような巨大な岩だった。
ニル「こ、これはさすがに・・・」
メイザス「やってみろ」
促されるまま、ニルはさらに柄を捻った。
すっと刀身がもとの黒に戻る。
だが次の瞬間、剣が大きく脈打ったかと思うとすさまじい熱風がニルを襲った。
またたく間に黒とオレンジの光がらせん状に剣を覆い尽くす。
燃え盛るその刀身は、まるで巨大な炎の柱のようである。
ニルはゴオオと音をたてる剣から、凄まじいエネルギーを感じ取った。
そのまま、熱を叩き込むように山のような岩に剣を振り下ろす。
ニル「はああ!」
〇荒地
アイリ「嘘・・・!」
エルル「すご〜い!」
岩はみごとに割れ、その断面は溶解してドロドロになっていた。
感嘆の声をあげる面々に、メイザスは満足げに息をつく。
すると、剣についていたコアが音を立てて割れた。
メイザス「これは黒焔化(こくえんか)といって、コア内のエネルギーを大量に消費して強烈な熱を剣に送り込んでいる」
メイザス「大量のエネルギーが必要ゆえに、一度使用すればオーバーヒートしてコアがだめになっちまう」
メイザス「そうなったらヴェラグニスは、コアを再びはめ込むまでただの硬い剣だ」
アイリ「え、ちょ、ちょっと!」
アイリ「せっかくのフリューゲラスのコアをどうしてくれるのよ!」
メイザス「今割れたのは説明用のコアだ」
メイザス「あとでお前たちが持ってきたものを入れなおしてやる」
アイリ「はあ・・・びっくりさせないでよね・・・」
メイザス「コアに応じて力は強くなる。 フリューゲラスのコアをはめ込むなら、黒焔 化はいざというときまでとっておけ」
「説明は終わりだ」と言ってメイザスはメルザムに戻ろうと足を踏み出す。
ニルは腕の中のヴェラグニスを見つめながら、高揚で手が震えるのを感じていた。
〇西洋風の受付
ニル「オルディアの討伐とかは?」
アイリ「報酬はいいけど、ちょっと遠すぎるわね」
エルル「じゃあこれとかどうです? ラパークの森ですよ」
アイリ「アンタなんで自然に混ざってるのよ」
エルル「ヴェラグニスの調子を見るためですよ!」
エルルはえへへ、と笑いながらアイリにぴったりと身体を寄せた。
アイリ「仕方ないわね」
呆れ顔のアイリが肩をすくめる。
するとそのとき、ギルドの扉が大きな音をたてて開いた。
なんだなんだとロビーにいた人々が顔を向けると、駆け込んできた新聞配達員の姿が目に入る。
「号外号外!! アーティレにギアーズの大群が来週したぞ」
叫びながら新聞を配る配達員。
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これは……
光る!鳴る!DXヴェラグニス!
が出るんですね?わかります
その前にギアーズソフビシリーズも欲しい所