エピソード11 探索Ⅰ(脚本)
〇ダブルベッドの部屋
ジャン?「ひいいいい! オバケえええ! 来ないでくださーい! ワタクシを食べてもおいしくないでーす!」
ジャン?「あ・・・オバケじゃない? コホン。失礼いたしました」
ジャン?「ワタクシはこの町の町長様にお仕えする 超一流の執事のジャンと申しますゆえ どうかお見知りおきを」
ジャン?「実は町長様から 屋敷に泥棒が入ったりしていないか」
ジャン?「様子を見てくるように 命じられましてぇ・・・」
ジャン?「何せ立派なお屋敷でして 高価な調度品の数々が」
ジャン?「今のちっぽけな掘っ立て小屋・・・ もとい現町長邸には移しきれずに」
ジャン?「置きっぱなしに されているものですからぁ・・・」
ジャン?「あの、ところでアナタ様は・・・」
〇お化け屋敷
〇ダブルベッドの部屋
ジャン?「ロワン様! 仮に! 仮にですよ! 仮にアナタが泥棒でいらしたとしても ワタクシ、何も申し上げません!」
ジャン?「この旧町長邸の中にあるもの全部 お好きなよぉぉうに お持ちいただいてかまいません!」
ジャン?「どうせ町長様がご自分でここにいらして 確認することなんてないのですから バレやいたしませんって!」
ジャン?「ですから! どうか! ワタクシをここから連れ出してください!!」
ジャン?「ワタクシいいいいい! 化ケ物にイイイ! 閉じ込められてしまいましたあああああ!」
ロワン「うん。確かに。ドアが開かないね」
ジャン?「助けて助けて助けてええええ!! 『はい』と言ってください 『はい』とおおおお!!」
ジャン?「言わないと 言ってなくても言ったことに してしまいますよおおおおおお!!」
〇お化け屋敷
〇おしゃれな廊下
ロワン(ドアを蹴ったら、あっさり開いた)
ロワン(ついて来てる)
ロワン「一階への階段は水没してる」
ロワン「ニ階にあるのは・・・」
〇西洋風の部屋
かつてのニュイの部屋
ロワン(誰もいない)
ロワン(絵本がある)
ロワン(『アルミュール物語』)
ロワン(建国の英雄王アルミュールが 闇の王を倒してダークドヴェルグを 一掃するお話だ)
ジャン?「古のダークドヴェルグは 当たり前のように人間を殺していました」
ジャン?「人間を殺す目的は 残された者たちに怒りや悲しみを抱かせ 心の闇を食らうことです」
ジャン?「ですがアルミュールによって王を失い 仲間の数を大幅に減らした ダークドヴェルグは」
ジャン?「身を守るために 人間から隠れて暮らすようになりました」
ジャン?「そうしてそれから長い年月が過ぎ 人間はダークドヴェルグの存在自体を 迷信扱いするようになりました」
ジャン?「しかし・・・」
ジャン?「いるんですよお!! 実際にいいい!! このお屋敷の化ケ物どもこそが ダークドヴェルグなのですううう!!」
ジャン?「ギャアアアアッ!!」
ロワン「ただの蛇だ」
ロワン「泳いて入ってきたのかな」
〇おしゃれな廊下
ジャン?「ぜーはーぜーはー」
ジャン?「ロワン様! ご存知ですかな!? ダークドヴェルグの一番の好物は 人間が抱く恐怖心なのです!!」
ジャン?「恐れる心!! 脅える心!!」
ジャン?「ダークドヴェルグどもは人間を怖がらせて 人間の弱い心を! 心の闇を! 美味しく召し上がっているのです!!」
ジャン?「・・・・・・・・・」
ジャン?「・・・ですがロワン様・・・」
ジャン?「・・・不思議です・・・」
ジャン?「ロワン様は先ほどから まったく怖がっておられませんね」
「貴方はいったいナニモノなんですか?」