魔王女様は困らせたい!

玄ノロク

第1話 勇者メル、爆誕!(脚本)

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〇魔王城の部屋
メディル「いいじゃない!ちょっと遊びに行くぐらい!」
魔王ムルドバ「人間の街に、遊びに行くなど いいわけなかろう!」
魔王ムルドバ「魔王の娘ともあろう者が 何を言っておる!」
メディル「もういい!パパなんて、大っ嫌い!!」
魔王ムルドバ「こ、これ!メディル!待ちなさい!」
魔王ムルドバ「はぁ。まったく。あの娘ときたら・・・」
ベアッチ「グヒヒ。 メディル様はお年頃〜 魔王様も大変ですね〜」
魔王ムルドバ「ベアッチ!お前というやつは! また他人事のように言いよって!」
魔王ムルドバ「そもそも、教育係の前が」
ベアッチ「ひぃ〜魔王様、こわーい!」
魔王ムルドバ「こ、これ!ベアッチ!逃げるでない!」
魔王ムルドバ(はぁ。まったく。どいつもこいつも・・・)

〇ヨーロッパの街並み
メディル「えへへ。来ちゃった。人間の街」
ビラ配りの少年「号外〜!号外〜! はい。お姉さんにもあげる!」
メディル「何、この紙。えっと、なになに・・・」
メディル「勇者選抜大会開催のおしらせ 集え!強者! 次の勇者はキミだ! 参加希望者は闘技場へお集まり下さい」
メディル(ふ〜ん。勇者って、こうやって決めてたんだ)
メディル「まって! もし、私が勇者になったら・・・」
メディル(パパ、めっちゃ困るよね!!)
メディル(私も、参加してみよーっと)

〇闘技場
実況のMr.ホワイティ「皆様、ご静粛に願います!」
実況のMr.ホワイティ「お待たせ致しました。 それでは・・・」
実況のMr.ホワイティ「結果発表〜!」
実況のMr.ホワイティ「今回の勇者選抜大会を制したのは・・・」
実況のMr.ホワイティ「圧倒的な強さで、全戦を勝ち抜いた」
実況のMr.ホワイティ「メル選手です!」
メル「ども〜♪」
実況のMr.ホワイティ「優勝したメル選手には、国王陛下より 勇者の称号が与えられます!」
国王「見事な戦いぶりであった!」
国王「よって、そなたに、勇者の称号を与える!」
メル「ありがとうございま〜す」
国王「勇者メルよ!魔王を討ち取って参れ!」
メル「は〜い。任せて! 私、うんとパパを困らせてやるから!」
国王「パパ?」
メル「あー気にしないで、王様。 それじゃ行ってくるね〜」
国王「こ、これ勇者!」
実況のMr.ホワイティ「今回の勇者も、なんか不安ですね」
国王「まったくだ」

〇ヨーロッパの街並み
メル(勇者になったはいいけど)
メル(何して、パパを困らせよっかな?)
カイ「勇者様!」
メル「わっ!びっくりした!何?何?」
カイ「驚かせて、すんません! オレっすよ!オレオレ!」
メル「オレオレ?」
メル「わかった!ウワサの詐欺ね!」
カイ「いやいや。詐欺なんかじゃないっすよ」
カイ「覚えてないっすか?決勝戦で戦った カイっすよ!」
メル「・・・・・・」
カイ「えー。本当に、覚えてないんすか?」
メル「うん。ぜんぜん覚えてない!」
メル「だって、みんな あっという間に負けちゃったから」
カイ「確かに、そうっすけど・・・」
カイ「ま、いいっす! あらためて、自己紹介するっす!」
カイ「俺は、カイって言うっす! 勇者様に、お願いがあるっす!」
メル「お願い?」
カイ「はい。俺も一緒に、連れてってほしいっす!」
メル「なんで?」
カイ「孤児院のみんなに 腹いっぱい、飯食わしてやりたいからっす!」
カイ「俺、その孤児院の出なんすけど」
カイ「そこ、めっちゃ資金不足で みんなろくに飯、食えてねぇんすよ」
カイ「だから、俺が勇者になって 魔王倒して、王様から褒美もらって」
カイ「みんなに、腹いっぱい 飯食わしてやろーって思ったっす」
カイ「けど、勇者になれなかったんで せめて、勇者様についてって」
カイ「一緒に魔王倒せば おこぼれにあずかれるかなって」
メル「そういうこと。でもなぁ・・・」
メル(待って!良いこと、思いついた!)
メル(この人を、彼氏ってことにして パパに合わせたら・・・)
メル(きっと、めちゃくちゃ困るわよね!)
メル(我ながら、グッドアイディア!)
メル「いいよ。ついてきて。 一緒にパパ・・・ 魔王を懲らしめてやりましょう!」
カイ「マジっすか!? やっほーい!」

〇魔王城の部屋
  その頃、魔王城では・・・
魔王ムルドバ「ベアッチ!ベアッチはおるか?」
ベアッチ「はいは〜い。魔王様、お呼びですか〜?」
魔王ムルドバ「メディルは見つかったか?」

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次のエピソード:第2話 カイの秘密

コメント

  • メルちゃんの明るさと強さが負の部分をとっぱらうかのような勢いのあるストーリーでした。魔界に生まれながらも人間との交流に意欲的な彼女は、近い将来この二つの世界に平和をもたらす存在になるでしょうね。

  • 面白ーい!キャラクターの台詞が活き活きとしててテンポ良く読めました!あとメルちゃん強すぎて笑いました。

  • 壮大な親子喧嘩に巻き込まれる人間たち…っていうか、メルちゃんが一方的にパパを困らせようとしてますよね。笑
    「また勇者が」のくだりで、何度も勇者を派遣してるんだなぁと思いました。
    パパ強い!

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