エピソード10 旧町長邸(脚本)
〇お化け屋敷
ロワン「一階は丸ごと水没している」
ロワン「二階の窓が開いている あそこから入れるな」
〇水たまり
〇ダブルベッドの部屋
主寝室
ロワン(ニュイ君の、前の養父母の部屋か)
ロワン(そういえば教会でこんな話を聞いたな)
〇田舎の教会
司祭「ロワニアの前町長のご夫婦は ジャッド現町長とグルナお嬢様の」
司祭「二人の子供に恵まれましたが 三人目は死産でした」
司祭「夫人にはこれ以上の子供は望めず 夫婦で話し合い」
司祭「この教会の孤児院から 赤ん坊を引き取りました その子がニュイです」
司祭「ところがそれからしばらくして」
司祭「夫人が、自分の赤ん坊が ダークドヴェルグによって」
司祭「悪魔の子とすり替えられてしまったと 言い出したのです」
司祭「悪霊による取り替え子 ありがちな民話であり、迷信です」
司祭「夫人はニュイをダークドヴェルグに返すと 言い残して森に消え」
司祭「罪なき赤ん坊が森に捨てられては大変と 町を上げての大捜索が行われました」
司祭「森の奥の崖の上下で母子は発見されました」
司祭「ニュイは崖の上で 怪我もなく穏やかに眠っていました」
司祭「ですが夫人は 足を滑らせたのか崖の下に落ち」
司祭「獣たちに食い荒らされて それはそれは無惨な遺体となっていました」
司祭「それからニュイに 悪いウワサが立てられるようになりました」
司祭「町長の家にニュイが来てから 良くないことばかりが起こる」
司祭「ニュイは呪われている ニュイはダークドヴェルグに 取り憑かれている」
司祭「果てはニュイ自身が ダークドヴェルグだなどと 言い出す者までいる始末・・・」
司祭「見かねたグルナお嬢様が 王都で暮らす親族に ニュイを託すよう提案し」
司祭「ニュイは今の両親に引き取られました」
司祭「それから一年も経たないころ 前町長は大通りで」
司祭「走行中の馬車の前に いきなり飛び出し 轢かれて命を落としました」
司祭「ロワニアを水没から救えず 思い詰めておられたのでしょう」
司祭「私もその場に居合わせたのです 馬車に過失はありませんでした」
司祭「前町長は馬車にひかれる直前 ニュイの名を・・・」
司祭「いえ、そんなわけありません きっと私の聞き違いです」
司祭「前町長の葬式に ニュイは帰ってきませんでした あの子は元気にしているのでしょうか」
〇ダブルベッドの部屋
ロワン「窓がひとりでに閉じた」
ロワン「クローゼットから音がした」
ロワン「ニュイ君? そこに隠れてるのかい?」
ロワン「違う!? ニュイ君じゃない!!」
ロワン「お前は何者だ!?」