エピソード9 よどみ(脚本)
〇西洋の街並み
ロワニアの住人「何だ何だ? 王都で何があったんだ? お城が動いた? また遷都するのか? おいおい、何を言っているんだ?」
ロワニアの住人「ロワニアは、ほんの三十年前までは アルミュール王国の首都だったんじゃ」
ロワニアの住人「地盤沈下が進んだもんで 今のミューリア城下町へ遷都したんじゃよ」
ロワニアの住人「旅の人かい? 町長がやけに若いんで 驚いたんじゃないのかい?」
ロワニアの住人「前の町長が早くに亡くなったんで 息子が跡を継いだのさ」
ロワニアの住人「今日もまた家が一つ水に飲まれたよ」
ロワニアの住人「グルナお嬢様がシャグラン王子と 婚約なされて」
ロワニアの住人「これでロワニアへの支援を 引き出せるかと思うたのに」
ロワニアの住人「まさかご成婚の前に 王子様が亡くなられるとはネエ・・・」
ロワニアの住人「我ら見捨てられしロワニアの民は ミューリア城下町を恨んでいる」
ロワニアの住人「それでなくても 町ごと消えかけているんだから」
ロワニアの住人「ほかの町を助ける余裕なんか あるわけないだろう」
ロワニアの住人「ミューリア城下町で災いが起きたって? やったぜ! ざまあみろ!」
ロワニアの住人「呪いの子を送り込んでやった かいがあったぜ!」
〇ボロい校舎
ロワニアの子供「なあ! ニュイのやつが帰って きたって本当かよ?」
ロワニアの子供「あいつ呪われてるんだろ? 何で帰ってきてんだよ!?」
ロワニアの子供「ニュイのやつ、ズリィよなー! 前の町長の子供で 今の町長の弟なんだから」
ロワニアの子供「責任持って町と一緒に沈めってのに」
ロワニアの子供「おれたちがイジメてイジメて イジメ抜いて 町に住めなくしてやったおかげで」
ロワニアの子供「遠くの親戚に引き取られて 一人だけ先にロワニア脱出だぜ! おれも王都で優雅に暮らしてーぜ!」
ロワニアの子供「ねーねー、王都で 何か悪いことがあったの? ニュイのせいでしょ?」
ロワニアの子供「呪われた子が王都に行っちゃったから 王都で悪いことが起きたんだよね? ね?」
〇荒廃した市街地
ロワニアの老人「ニュイは呪いの子じゃ 前の町長があの子を 教会の孤児院から引き取ってから」
ロワニアの老人「奇妙なことばかりが起きたんじゃ 役場の看板が空を飛んだり 季節外れの害虫が大発生したり」
ロワニアの老人「あの子は悪魔を・・・ ダークドヴェルグを引き寄せるんじゃ!」
ロワニアの老人「そもそもあの子は 孤児院に来たその日からして 妙だったんじゃ」
ロワニアの老人「鍵のかかった聖堂の祭壇に 赤ん坊だったあの子が置かれてたんじゃよ」
ロワニアの老人「町長の親戚に、三十年前の遷都の際に 真っ先にロワニアを裏切って ミューリアへ移住した人がいてねェ」
ロワニアの老人「早く動いたお陰で お城の近くの一等地を手に入れて」
ロワニアの老人「そこに食堂なんか構えて 結構、繁盛してるらしいのよォ」
ロワニアの老人「娘が三人もいるのに もう一人、男の子が欲しいなんて 贅沢言ってたら」
ロワニアの老人「町長のとこの呪いの子を 押しつけられちゃったそうよォ」
〇綺麗な港町
ロワン(ドロドロした話は好物だし)
ロワン(そんな自分がイヤになる瞬間というのも それはそれで嫌いじゃないんだけど)
ロワン(ここのは食あたりするな)
〇お化け屋敷
ロワン「ニュイ君がもともと住んでいた 旧町長邸は、今は水に浸かっていて」
〇草原の一軒家
ロワン「今の町長邸は丘の上の掘っ立て小屋」
〇お化け屋敷
ロワン「ニュイ君がいるなら 旧町長邸のほうだろう」
ロワン(嫌なメに遭っていないといいけど)