終活魔王のエンディングノート

大河内 りさ

P2・再会と約束(脚本)

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大河内 りさ

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〇古い洋館
  ──10年前──

〇魔界
ルカード「魔王城・・・」
ルカード「ついにここまで辿り着いたぞ」
ルカード「出てこい、魔王・・・!!」
ヴィエリゼ「・・・・・・」
ルカード「女の子?」
ヴィエリゼ「あなた、誰?」
ルカード「俺は勇者ルカード。きみは?」
ヴィエリゼ「私、ヴィエリゼ」
ヴィエリゼ「あなた、ここに何しに来たの?」
ルカード「魔王を倒しに!」
ヴィエリゼ「そう、お父様に会いに来たのね」
ルカード「お父様!?」
ルカード「きみ、魔王の娘・・・!?」
ヴィエリゼ「お父様は今お仕事で忙しいから、 私が代わりに遊んであげる」
ルカード「え・・・?」
ルカード「うわっ!?」
ルカード「ちょっ、待っ──」
ルカード「話を・・・熱ッ!?」
ルカード「うわぁぁあああーっ!?」

〇露天風呂
ヴィエリゼ(城に近付いてる勇者って、 ルカードのことだったんだ・・・)
ルカード「ほんと、あの時は酷い目に遭ったよ」
ヴィエリゼ「ちょっと遊んであげただけじゃない!」
ルカード「あれは遊びとは言わない」
ヴィエリゼ(────っていうか)
ヴィエリゼ(ルカード、カッコよくなってる!?)
ヴィエリゼ(背は高いしイケボだし、次男・・・かどうかは分からないけど堅実そうだし)
ヴィエリゼ(最高なのでは・・・!?)
ルカード「ほら、これ──」
ヴィエリゼ「えっ・・・?」
ルカード「きみから受けた攻撃の傷痕が残ってるんだ」
  そう言って、ルカードが一歩こちらに近付いてくる。
ヴィエリゼ「わあぁっ!?」
ヴィエリゼ「きゅ、急にこっちに来たら驚くじゃない!」
ヴィエリゼ「少しは状況を考えてよね!」
ルカード「あっ・・・」
ルカード「ご、ごめん!」
ローレット「エリゼ〜?」
ローレット「何か声が聞こえたけど──」
ローレット「お前は・・・!!」
ダーリナ「どうしました、ローレット──」
ダーリナ「人間風情がヴィエリゼ様と同じ湯に浸かるとは、万死に値しますね」
ローレット「ダーリナ、気を付けて」
ローレット「こいつ、元勇者だよ」
ダーリナ「えっ・・・」
ダーリナ「このモブ顔で?」
ローレット「そう、このモブ顔で」
ルカード「モブモブ言うなよ! 気にしてるんだぞ!!」
ルカード「ていうか現役だから! 現役勇者だから!!」
ルカード「うわっ!?」
ダーリナ「チッ」
ダーリナ「外してしまいましたか」
ルカード「危なっ!?」
ヴィエリゼ「大丈夫?」
ローレット「エリゼ、何のんきに会話してんの!」
ローレット「早くこっちに来て!」
フェゴール「何やら騒がしいですねぇ」
ゲンティム「お〜い、どうした〜?」
フェゴール「おや──」
フェゴール「これはこれは、お久し振りです」
ゲンティム「え、知り合い?」
フェゴール「あなたという方は・・・」
フェゴール「10年前──」
フェゴール「史上最年少で魔王城に辿り着いた人間がいたのをお忘れですか?」
ゲンティム「あー! 嬢ちゃんにボッコボコにされたヤツか!」
ゲンティム「ルカードだっけ? 元気にしてたか〜?」
フェゴール「親戚のおじさんみたいな挨拶やめてください」
ルカード「きみたち、どうしてここに──」
フェゴール「ああ、そんなに警戒なさらず」
フェゴール「我々は魔王様と共に、 慰安旅行に来ただけですから」
ルカード「魔王!?」
ルカード「魔王まで来てるのか!?」
フェゴール「魔王様でしたら、先程からそちらに──」
ヴィエリゼ「わぁあああー!!」
ローレット「エリゼ?」
ヴィエリゼ「わ、わぁー 何かクラクラするなー」
ヴィエリゼ「のぼせちゃったかもー」
ローレット「えっ、大変!」
ダーリナ「すぐに帰りましょう!」
ゲンティム「いや、すげー棒読み」
ヴィエリゼ「あー、何か頭も痛いなー」
ヴィエリゼ「風邪引いちゃったかもなー」
ゲンティム「下手くそか」
ヴィエリゼ「ゲンティム!」
ゲンティム「はいはい」
ゲンティム「フェゴール」
ゲンティム「嬢ちゃんの具合が悪いらしい」
ゲンティム「今日のところは引き上げようぜ」
フェゴール「おや、それはいけませんね」
フェゴール「お先に失礼いたしますよ、勇者殿」
ゲンティム「あばよ、少年」
ダーリナ「行きましょう、ヴィエリゼ様」
ヴィエリゼ「あっ・・・」
ヴィエリゼ「ルカード!」
ヴィエリゼ「ま、またね?」
ルカード「・・・・・・」
ルカード「まさか、こんな場所で彼女と再会するなんて」
ルカード「しかもこんな格好で──」

〇古い洋館

〇貴族の部屋
ローレット「体温計はどこ!?」
グエル「こちらに」
ダーリナ「氷枕はどこですか!?」
グエル「こちらに」
ローレット「お粥作ってくる!!」
グエル「いりません」
ダーリナ「薬を煎じてきます!!」
グエル「いりません」
グエル「ヴィエリゼ様の体調に障りますから、 お二人とも出ていってくださいませ」
「ええ〜っ!?」
ヴィエリゼ「ありがとう、グエル」
グエル「愛されてますねぇ」
ヴィエリゼ「ハハ・・・」
グエル「それでは、私も下がらせていただきます」
グエル「何かありましたら、すぐにお呼びください」
ヴィエリゼ「うん」
ヴィエリゼ「・・・・・・」
ヴィエリゼ「はぁ」
ヴィエリゼ(昼間は本当にビックリしたなぁ・・・)
ヴィエリゼ(まさか──)
ヴィエリゼ「まさかルカードがあんなにカッコよくなってるなんて・・・っ!!」

〇魔界
  彼のことはよく覚えている──
  史上最年少で魔王城に辿り着いた人間、勇者ルカード。
  あの時、たまたま外に出た私は、魔王城に辿り着いたばかりの彼と相対した。
  驚いたことに、彼は他の冒険者たちと違って、私の話をきちんと聞いてくれたのだ。
  当時の魔王であった父が、なぜ人間界に手を下したのか。
  その理由を──
ルカード「きみの話が真実なら、 俺が人間界の歪みを正してみせる!」
ヴィエリゼ「本当に・・・?」
ルカード「うん、本当に」
ルカード「約束だ、ヴィエリゼ」

〇貴族の部屋
ヴィエリゼ(──ルカードが勇者を続けているのは、あの時の約束があるからだと思っていいの?)
ヴィエリゼ「最近、魔獣の密猟や誘拐が 増えているし・・・」
ヴィエリゼ「一度、会ってちゃんと話がしたいな」
ヴィエリゼ「それに、まさかあの時ケガをさせてしまっていたなんて気付かなかった」
ヴィエリゼ「それなのに話を聞いてくれたんだ──」
ヴィエリゼ「・・・・・・・・・」
ヴィエリゼ「・・・そうだ」
ヴィエリゼ「『勇者に会いたい』」
ヴィエリゼ「なんちゃって〜」
ヴィエリゼ「・・・・・・」
ヴィエリゼ「『勇者とお出掛けしたい』」
ヴィエリゼ「『勇者と手を繋ぎたい』 『勇者の手料理が食べたい』」
ヴィエリゼ「『勇者にお姫様だっこされたい』 『勇者と相合い傘がしたい』 『勇者と円舞曲を踊りたい』」
ヴィエリゼ「勇者と──」
  『死ぬまでにしたい100のこと』
  空白だった30個が、あっという間に様々な願望で埋まっていく。
ヴィエリゼ「あと一つ・・・」
ヴィエリゼ「『勇者と付き合いたい』」
ヴィエリゼ「・・・なんて、さすがにこれはダメだよねぇ」
ヴィエリゼ「待った」
ヴィエリゼ「そもそも彼が約束を覚えてなかったら?」
ヴィエリゼ「ていうか、 私が現魔王だってバレたら・・・?」
  もしかして:魔王 身バレ 討伐
ヴィエリゼ「絶対バレないようにしなきゃ・・・!!」

〇児童養護施設

〇兵舎
ルカード「戻ったよ」
キオル「おかえり~、温泉はどうだった?」
ミア「少しは疲れが取れた?」
ルカード「それが、あまりゆっくりできなかったんだ」
キオル「なんだよ、魔物でも出たのか?」
ルカード「うん、しかもすっごい大物」
キオル「えっ」
ルカード「──魔王の娘に会った」
「魔王の娘!?」
ルカード「上級魔族を四人も連れてたよ」
キオル「ちょっと待った」
キオル「まさかお前、 魔王の娘と一緒に温泉入ったのか?」
ルカード「いや、あの、その・・・」
ルカード「あくまで不可抗力な事由によるものであって決して下心があったわけでは──」
キオル「お前の強運スキル、マジで何なの!?」
ミア「ただのラッキースケベなのでは・・・?」
ルカード「そ、そういえば、会えなかったけど 魔王も近くにいたっぽい!」
キオル「それでよく無事だったな」
ミア「戦闘にはならなかったの?」
ルカード「ヴィエリゼの体調が悪くなったみたいで、 急いで帰っていったよ」
キオル「魔王の娘、ヴィエリゼって名前なのか」
キオル「どんな子なんだ?」
ルカード「えっ?」
ルカード「えーっと・・・」
ルカード「可愛くなってた!」
キオル「あっそ」
ミア「そっか、昔会ったことがあるんだっけ?」
ルカード「初めて魔王城に行った時 ボッコボコにされた!」
ミア「あらま」
キオル「それで惚れるとか、お前ドMかよ」
ルカード「別に惚れてない!」
キオル「どちらにしろ油断はするなよ」
キオル「子供の頃がどうであれ、相手は魔族だ」
キオル「しかも魔王の娘ときたら、 討伐対象にもなりえる相手だ」
ルカード「討伐すべき相手かどうかは、 自分の目で確かめるよ」
ルカード(真実を見極めるために、 俺は勇者を続けているんだから──)

次のエピソード:P3・婚活魔王

コメント

  • やりたいこと30個、一瞬で埋めちゃうヴィエリゼちゃん、可愛ッ!

  • 彼への気持ちでエンディングノートが埋まっていく描写がすごくエモくて語彙力消失しました。過去のヴィエリゼとルカードの対話、そしてルカードの決意。1話の期待をさらに超えてくる2話に大満足です。

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