第1話 私は卑弥呼様になる!(脚本)
〇先住民の村
これは、邪馬台国に魅せられた男の子と邪馬台国の女王・卑弥呼に憧れる女の子2人の物語・・・
大和「すごい! これが邪馬台国なの?」
父親「そうかもしれないな」
大和「違うの?」
父親「これはあくまで、学者さんが調べたものをもとに想像で作ったものだよ」
父親「邪馬台国が本当にこうなっていたかはわからない」
大和「邪馬台国はどこにあったの? どんな国だったの?」
父親「さあ。邪馬台国のことは、今でもほとんどわかっていないんだよ」
大和「そうなんだ・・・」
大和「じゃあ、僕が調べる。そして、邪馬台国の謎を解くんだ!」
父親「そうか。じゃあ、いっぱい勉強しないとな」
大和「うん!」
〇本棚のある部屋
大和「今日から高校生活が始まるんだ」
大和「高校生になればもっと難しい資料も読めるようになるし、行動範囲も広くなる」
大和「邪馬台国のことをもっと調べられるようになるぞ」
大和「おっと、もう行かなくちゃ」
〇綺麗な部屋
玲子「今日から学校かあ」
玲子「入学式の新入生代表あいさつするの面倒だなあ。なんで私なんだろう?」
玲子「仕方ない。とりあえず話すことを書いたメモを持っていこう」
玲子「まだ時間あるから少しスマホでも見てるか」
玲子「ん?」
玲子「こ、これは!」
玲子「「ミス卑弥呼コンテスト」開催!?」
玲子「ミス卑弥呼・・・ってことは卑弥呼様になれるってこと!?」
玲子「卑弥呼様。ああ卑弥呼様。卑弥呼様はどうしてあんなに気高く、美しいの・・・」
玲子「はっ、いけない。つい、いつもの癖が・・・」
玲子「やばい、遅刻しちゃう!」
〇体育館の舞台
入学式
教師「これから入学式を開始します」
玲子(「ミス卑弥呼コンテスト」の概要は・・・)
教師「新入生代表あいさつ。 新入生代表、葛城玲子」
・・・
玲子(卑弥呼様になれる・・・これはコンテストに参加するしかない)
教師「新入生代表、葛城玲子」
・・・
教師「新入生代表あいさつ、葛城玲子!」
玲子「は、はい!」
玲子(しまった。卑弥呼様に夢中で話を聞いてなかった)
玲子(早く前に行かなくちゃ)
玲子(危なかった。とりあえず用意しといたメモをそのまま読めば・・・)
女子生徒「あれが新入生代表の葛城玲子さん」
女子生徒「入試の成績がトップだったのよね」
女子生徒「しかもすごい美人ね」
女子生徒「父親も大企業の役員だとか」
女子生徒「どんなあいさつをするのかしら」
女子生徒「大人っぽくて品のあるあいさつが聞けそう」
玲子(メモがない!?)
玲子(しまった! 卑弥呼様のことで頭がいっぱいで家に忘れてきた)
玲子(・・・)
玲子(仕方ない。こうなったら、自分の思いを堂々と話すだけよ)
玲子「新入生代表あいさつ」
玲子「私は・・・」
玲子「私は、邪馬台国の女王・卑弥呼様になる! 以上!」
大和(邪馬台国の女王・卑弥呼になる??)
〇教室
さくら「玲子さん、この問題どうやって解くの?」
玲子「これはこうやって・・・」
しずく「お昼いっしょに食べない?」
玲子「うん。天気がいいから外で食べよっか」
明るくてさばさばした性格の玲子は、他の生徒からも好かれる。
しかも美人で華があり、男子からもモテる。
男子生徒から「付き合ってほしい」と告白されることも多い。
〇高い屋上
男子生徒「俺と付き合ってください!」
玲子「ごめんなさい」
男子生徒「僕といっしょにセレブな高校生活を送らないかい?」
玲子「ごめん、無理」
しかし玲子は、その申し出をすべて断っている。
女子生徒「玲子さんのような人は、同じ高校生なんて眼中にないのよ」
女子生徒「良家の息子とか成功した実業家とかしか相手にしないのよ」
玲子「こんなことやってる場合じゃないのに・・・」
〇教室
玲子(入学して1週間が経った。今日ももう帰る時間だし、早く見つけないと・・・)
教師「これから新入生の高校生活の目標の入った名簿を配ります」
教師「後で読んでおいてください」
教師「今日のHRはこれで終了です」
玲子「高校生活の目標か。みんなどんなこと書いてるんだろう」
玲子「「外国に留学したい」「部活で全国大会出場」・・・」
玲子「「卑弥呼様になる!」・・・これは私か」
玲子「隣のクラスは・・・」
玲子「「美人の彼女作ってラブラブハッピー高校生活」・・・あほだな、こいつ」
玲子「ん?」
玲子「こ、これは!」
〇教室
鈴木「お前、何て目標にしたんだ? 高校生になってもまた邪馬台国か?」
大和「うるさい。お前の「美人の彼女作ってラブラブハッピー高校生活」よりはましだ」
鈴木「美人っていえば、新入生で一番の美人はやっぱり隣のクラスの葛城玲子だよな」
鈴木「入学式の謎のあいさつは不明だが・・・顔、スタイル、どれをとっても学年一、いや学校一だな」
鈴木「あんな女が俺の彼女になったら」
鈴木「入学式で卑弥呼とか叫んでたから、意外とお前と気が合うかもな」
大和「あり得ない。そもそも邪馬台国とか卑弥呼とか、あんな風に軽々しく使ってほしくないんだよ」
鈴木「あれは葛城玲子? おい、こっちに来るぞ」
大和「?」
玲子「あ、あの・・・」
鈴木「まさか俺か?」
鈴木「玲子ちゃん、俺とラブラブな高校生活を・・・」
玲子「邪魔!」
鈴木「すみません・・・」
玲子「藤原大和くん」
大和「え?」
玲子「私と付き合って!」
大和「・・・」
大和「は?」
〇テーブル席
放課後・・・
二人は喫茶店にいた。
大和(なぜ、こんなことに・・・)
大和「あの、付き合うって、いったいどういうことで・・・」
玲子「大和くん、これは本当?」
玲子が高校生活の目標が書かれた名簿を出す。
玲子「藤原大和「邪馬台国の謎を解明する」」
玲子「あなた、邪馬台国に興味があるのね」
大和「ええ、まあ・・・」
玲子「遊びじゃないのよね。本気なのよね?」
大和「遊びなんかじゃない!」
大和「あ、すみません」
大和「でも、邪馬台国の謎を解くのが、その・・・自分の人生の目標なんです」
玲子「本気なのね」
玲子「よかった」
玲子「これを見て」
大和「「邪馬台国フェスティバル」開催?」
大和「邪馬台国に関するイベントをやるんだ。楽しそうだなあ」
玲子「ここも見て」
大和「フェスティバルの中で「ミス卑弥呼コンテスト」を行う?」
玲子「そう」
玲子「私、このコンテストに出たいの。 いや、出るの!」
大和「ミス卑弥呼コンテストに出る?」
大和「あっ! じゃあ入学式の「卑弥呼になる」っていうのは・・・」
玲子「もちろん本気よ。私は本気で卑弥呼様になりたいの」
大和「卑弥呼様?」
玲子「卑弥呼様は日本、いや世界の歴史上、最も偉大で気高い人物」
玲子「その美しさ、品格、凛々しさ、どれをとっても最高」
玲子「さらに女王様として国をまとめ上げ・・・さらに・・・そもそも私が卑弥呼様を好きになったきっかけは・・・」
玲子「ああ卑弥呼様・・・」
大和「・・・」
玲子「はっ、ごめんなさい。つい・・・」
玲子「・・・」
大和「・・・」
大和「卑弥呼のことが本当に好きなんですね」
玲子「えっ!」
大和「そこまで本気で好きになれるものがあるって、素晴らしいことだと思います」
玲子「えっと、その・・・」
玲子「あ、ありがとう」
玲子(え? 何、この感じ?)
玲子「私は卑弥呼様が好き。この気持ちは誰にも負けない」
玲子「だから卑弥呼様になれる「ミス卑弥呼コンテスト」では絶対に優勝したいの」
大和「がんばってください」
玲子「それであなたにお願いがあるの」
大和「?」
玲子「私がコンテストで優勝できるよう協力して欲しいのよ」
大和「は?」
大和「いや、協力してくれって言われても、自分はミス何とかコンテストとかそういったことは全然知らないし」
玲子「コンテストの審査は外見だけで行われるんじゃないの」
玲子「卑弥呼様への愛、それに邪馬台国への情熱と知識が試されるのよ」
玲子「詳しいことは後で話すわ」
玲子「とにかく・・・」
玲子「優勝するためには、あなたのような邪馬台国への情熱を持った人が必要なの!」
玲子「お願い! 私のパートナーになって!」
大和(付き合うって、そういうことだったのか)
大和「・・・」
大和「玲子さんの卑弥呼への愛は十分伝わってきました」
大和「わかりました」
大和「自分なんかに何ができるかわからないけど・・・協力させていただきます」
玲子「本当? ありがとう!」
〇店の入口
玲子「大和くん、明日の休日何か予定ある?」
大和「予定? 特にないですけど」
玲子「じゃあ、明日コンテスト会場の下見に行きましょう!」
大和「明日!?」
大和「でも、会場ってかなり遠いから飛行機じゃないと行けないんじゃ・・・」
玲子「私が何とかするわ。だから行くわよ!」
大和「えっ! いや、急にそんなこと言われても・・・」
玲子「じゃあ、また明日」
玲子「大和くん、ミス卑弥呼コンテスト、絶対優勝するわよ!」
大和「・・・」
大和「あの・・・」
大和「なんでこんなことに・・・」
こうして、ミス卑弥呼コンテストに向けてパートナーとなった2人の新たな物語がスタートする・・・
玲子さんの卑弥呼への執念ともいえる想い、その根幹に何があるのか……解き明かされるのが楽しみです👍
学園生活、まさかの邪馬台国に想いを馳せる二人。普通の少年と、秀才なお嬢様の凸凹コンビ。ラブコメ感漂う始まりに、どう物語が転んでいくのか楽しみです!
私、歴史は詳しくないのですが、邪馬台国と聞くと太古の神秘なイメージがあります……。
どんな卑弥呼様が誕生するのか、邪馬台国の謎は解けるのか! 遅読になるかと思いますが、続きもゆっくり楽しませていただきます〜(^^)
普段は優秀な玲子ちゃんが、卑弥呼様の事になると、周りが見えなくなるほど情熱的になる様に、毎回笑わせて頂きました。大和くんへのアプローチも、意外と大胆!と思わせておきながら、パートナーってそっちのことかい!と見事にしてやられました(笑)玲子ちゃんはコンテストで卑弥呼様になれるのか、大和くんとはどうなっていくのか、今後の展開がとても楽しみです。