ブーケバトラー麗美、最後の闘い!(脚本)
〇綺麗な教会
神父「ブーケ」
神父「それは幸せのバトン」
NextLady1「あ!」
NextLady2「あ!」
NextLady1「えっと・・・どうぞどうぞ」
NextLady2「いえいえ、どうぞどうぞ」
神父「しかし悲しいかなそれを力ずくでもぎ取ろうとする者達がいる・・・」
神父「まさに飢えた狼」
神父「ああ・・・今年もやって来る」
神父「狼たちの熱き闘いの季節が・・・」
〇通学路
「すっすっ、はっは。すっすっ、はっは」
Reimi「すっすっ、はっは。すっすっ、はっは」
Reimi「・・・!?」
『な?』おじさん「こんばんは。お嬢さん」
Reimi「え?え?え?」
Reimi「な、なんですか?」
『な?』おじさん「ちょっと見てほしいものがあるんだ」
『な?』おじさん「・・・」
『な?』おじさん「な?」
Reimi「・・・い」
Reimi「いやああああーーーーっ!」
『な?』おじさん「ちょ、ちょっと待っ・・・」
『な?』おじさん「ごめんなさいごめんなさいごめ・・・」
『な?』おじさん「ぐはあっ!」
Reimi「あ~ん。怖かった~ん」
Reimi「さてと・・・」
Reimi「すっすっ、はっは。すっすっ、はっは」
〇見晴らしのいい公園
ゆり「そりゃ変態さんも災難でしたね~」
Reimi「バトル前日の私を襲おうとしたのが悪いのよ。一番気が立ってる時なんだから」
「あら、気合い充分だこと」
Reimi「冴子!」
Reimi「あんた秘書課でしょ?部署違うじゃないの」
Reimi「新婦ともほとんど喋ったことないはずよ」
Saeko「おーっほっほっほっほ!」
Saeko「ブーケあるところ冴子あり!」
Saeko「あなたこそ同僚の幸せな式に、よくそんなギスギスした態度で臨めるわね」
Reimi「その言葉そっくりそのまま返すわよ」
Reimi「幸せはちゃんと願ってるわ」
Reimi「その上で『獲り』に行くのが私の流儀よ」
Saeko「ではまた後で」
Reimi「今日こそは勝つ!」
ゆり「頑張って下さい!麗美先輩!」
〇教会の中
神父「健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時もこれを愛し敬い慰め合い・・・」
ゆり「うう・・・よかったね愛ちゃん」
ゆり「イケメンだね・・・イケメンだね・・・」
ゆり「せ、先輩。闘気出過ぎです」
Reimi「っしゃ!」
〇見晴らしのいい公園
『おめでとー!』
『おめでとー!』
新婦「ありがとーみんな!」
新婦「よーし!いっくぞー!」
Reimi「もらったああああーッ!」
Saeko「させるかああああーッ!」
Reimi「ぐああああーッ!」
Reimi「クッ・・・!」
Saeko「フッ・・・今度も私の勝ちね」
Saeko「おーっほっほっほっほ!」
Reimi「負けた・・・また負けたわ」
神父「・・・」
神父「もう少し静粛に・・・」
〇オフィスビル
「こないだは残念でしたね~」
〇オフィスの廊下
Reimi「全くよ。あと少しだったのに」
Reimi「冴子のヤツ、どこにでも無節操に顔出しやがって」
Reimi「私が結婚できないのもあの女のせいよ」
ゆり「もう勝負する機会も限られてますしね」
Reimi「あと何人?結婚してないヤツ何人だ?」
ゆり「あの~いい考えが浮かんだんですけど」
Reimi「お、なんだなんだ?」
ゆり「来月の私の時はブーケを先輩の方にこう、わざと狙って投げますんで」
ゆり「ガッチリキャッチして下さいね!」
Reimi「そうか、助かる!頼むわよ!」
Reimi「・・・」
Reimi「・・・え?」
Reimi「今、なんつった?」
ゆり「ですからブーケを先輩に」
Reimi「あんた結婚すんの?」
ゆり「はい」
ゆり「まあそれはそれとしてブーケを先輩の方に・・・」
〇オフィスビル
「この裏切りもんがああああああああああ!」
〇教会の中
Reimi「神様・・・」
Reimi「てか神コラ」
Reimi「何であんなボケーとしてるゆりが結婚できて、こんなに、こんなにこんなに頑張ってる私が結婚できないんですか!」
神父「原因は多々おありかと思われますが」
Reimi「・・・キッ!」
神父「・・・ひいっ!」
Reimi「私が男と長続きしないのは運なの。これは神様にすがるしかない問題なのよ」
神父「まあ神様もお忙しい身ですし」
Reimi「分裂くらいしなさいよ。神なんだから」
神父「分身と言ってください。細胞じゃないんだから」
Reimi「ふんっ!」
神父「よく結婚式に出てらっしゃいますが」
Reimi「悪かったわね出席専門で!」
神父「い、いえそういう意味ではなくて。よくお見かけするので」
神父「もっと笑顔でご友人達の門出を祝ってあげたら如何かなと思いまして」
Reimi「なによ。説教?」
神父「まあ、それが仕事なもので」
Reimi「私が幸せ祈ってないって言うの?」
神父「祈るなんて大袈裟なものじゃなくていいんですよ」
神父「ただ笑ってあげる。笑顔でいてあげる」
神父「それだけでいいんですよ」
Reimi「・・・」
Reimi「それどころじゃないわ」
神父「飢えた狼にもまた、幸いあらんことを」
〇屋上の端(看板無し)
「トーーーッ!」
Reimi「ハッ!」
ゆり「おみごとです!」
Reimi「ダメよ。こんなんじゃ冴子に勝てない」
Reimi「大体、気合が足りないのよ。ちょっと結婚するからって浮ついてんじゃないわよ」
ゆり「す、すみません。絶賛ブレイク中で」
ゆり「あ」
ゆり「もしもし。あ、カズちゃん。うんもう仕事終わったよ」
ゆり「え?今から?」
ゆり「ゴメンね。ちょっと大事な用あるんだ」
Reimi「・・・」
ゆり「うんゴメンね。また電話するね」
ゆり「さあ先輩!」
Reimi「さあじゃないわよ」
Reimi「結婚前に大事な用があるとか言わないの」
ゆり「大事な用じゃないですか」
Reimi「もういいわ。帰るわよ」
ゆり「それーっ!」
Reimi「ハッ!」
ゆり「お見事です!」
Reimi「あんた今私のこと犬扱いしてない?」
ゆり「私のブーケは先輩に取ってほしいんです」
ゆり「今度だけは絶対に負けてほしくないんです!」
Reimi「ゆり・・・」
Reimi「上等よ」
Reimi「だったらもっと強く、もっと高く投げな!」
ゆり「はいっ!」
〇オフィスビル
「そーれ!拾ってこーい!」
「やっぱ犬扱いしてるだろ!」
〇見晴らしのいい公園
『一ヶ月後、決戦の日』
Saeko「ゆりさんと何やら小賢しい特訓をしていたみたいだけど、私には通じないわよ」
Reimi「私もこの戦いだけは負けられないから」
Saeko「後輩の前で吠え面かかせて差し上げますわ」
Saeko「おーっほっほっほっほ!」
Reimi「クッ・・・」
Reimi「・・・」
Reimi「・・・」
Reimi「何やってんだろ・・・私」
ガサッ・・・
ガサガサッ・・・
Reimi「な、何やってんのよアンタ」
ゆり「シッ!みんなに気付かれてしまいます!」
ゆり「お早うございます。お疲れ様です」
Reimi「まあアンタほど早くも疲れてもないでしょうけどね」
ゆり「ちょっとトイレ行ってくると言って抜け出してきました」
Reimi「抜け出すな」
ゆり「いい作戦を思いついたんです」
ゆり「フェイント作戦!」
Reimi「・・・」
ゆり「えーとこれはですね、冴子さんに向かってブーケを投げると見せかけるもので」
ゆり「当然私からは見えないので先輩は冴子さんの反対側に位置していただき、かつ咳払い等で場所を教えてもらえれば・・・」
Reimi「葉っぱ」
ゆり「へ?」
Reimi「ドレスに葉っぱくっついてるわよ」
ゆり「すいません。あはははは」
ゆり「それでですね」
Reimi「もういいよ。戻んな」
ゆり「え?でも・・・」
Reimi「いいからっ!主役でしょ!」
ゆり「は、はい。分かりました」
ゆり「頑張って下さいね!先輩!」
Reimi「お前が頑張れ・・・」
Reimi「・・・」
〇教会の中
「健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も」
Reimi「・・・」
神父「富める時も貧しい時もこれを愛し敬い慰め合い・・・」
Reimi「・・・」
〇見晴らしのいい公園
ゆり「先輩・・・」
Reimi「・・・」
ゆり「いきます!」
Saeko「ハーーッ!」
Saeko「・・・!?」
Saeko「え?」
ゆり「え?」
『おめでとー!』
『おめでとー!』
ゆり「先輩・・・どうして?」
〇教会の中
『ただ笑っていてあげる』
『笑顔でいてあげる』
『それだけでいいんですよ』
〇見晴らしのいい公園
Reimi「おめでとう!ゆり!」
Reimi「・・・おめでとう」
私同世代の結婚式に参列していた時期、全く結婚願望なかったからブーケトスとか憧れなかったですねえ。こんなに真剣になっている彼女達が逆に可愛いなあと思ってしまいました。今結婚していえるのは、結婚って人生のゴールじゃないからってことですね!REIMIちゃんは、改心してきっといい彼氏がみつかると思います。
ブーケのラッキージンクスってあったなぁと思い出しました。そういうものに熱くなれるふたりは、とっても情熱的な女性ですね。でもやっぱりいちばんは、誰かの幸せを願うところに幸せはやってくる、そんなことを再確認できるストーリーでした。
ライバル(冴子さん)の存在がアツいですね!こんなにブーケの奪い合いに気合いが入っていたら、なんだかご祝儀がバトル参加費みたいです笑 戦っているところも笑えましたけど、己の闘争心に打ち勝てた麗美さんが一番素敵です。