エピソード3(脚本)
〇生徒会室
目の前に雨宮さんがいる。
その雨宮さんとこれからチェスができる。
チェスでも将棋でもなんでもいい。
とにかくこれから一緒に
いれるのが何よりも嬉しかった。
ところが、喜んだのもつかの間、
ものの数分で僕はボロ負けした。
僕側の兵は壊滅し、
キングが敵兵に囲まれている。
──チェックメイトだ──
『もう1局、勝負をしてください』
と僕はスマホに打ったが、
返ってきた返事は──
『勝負は1日1回まで』
〇街中の道路
〇一戸建て
〇男の子の一人部屋
その日の夜、
僕はチェスの戦法をネットで調べまくり、
対戦の経験値も増やした。
勝たないと・・・
雨宮さんとお友達にすらなれない。
日笠 さとる「明日こそは絶対勝つ!」
〇生徒会室
と意気込んだものの、
翌日、僕はまた負けた。
次も次もそのまた次も僕はボロ負けした。
もう何連敗したか忘れた。
ていうか、雨宮さんが強すぎる。
雨宮さんが
トドメのクイーンを動かし
チェックメイト──
日笠 さとる「また負けた~」
雨宮 ゆりか「ぷっ──」
雨宮 ゆりか「クスクス──」
雨宮さんはニヤついた顔を隠しながら、
僕にスマホ画面を見せてきた。
──『もう勝たなくてもいいから、
友達になってあげる』──