23歳アイドル引退します

めぐる

抜け駆け?(脚本)

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〇空っぽの部屋
監督「みんな、大ニュースだ!! テレビ番組の出演が決まったぞー!!」
  えー!!
監督「と言っても、地上波ではないが。 AREMA TVの「ワカモノに聞け!」というバラエティ番組だ」
モモ「あ、知ってます〜♪ お笑い芸人のゼンマイさんがMCやってる番組ですよね!」
ヒマ「マジ!? 帰ったら予習しとこ!」
メロン「あぁ〜、結構キワドイこと聞かれるトーク番組だよねぇ♪」
コノハ「えっ!? キ、キワドイって・・・」
メロン「あはは〜、ほら、若者の価値観を探る!みたいな番組だから〜」
メロン「恋愛観とか、過去付き合った人の話とか、グループの人間関係とか」
監督「ああいう番組は、事前にアンケートに答えて、それをもとに進めていくから、そんな急に変な質問は来ないよ」
監督「多少のアドリブは必要だけどな!」
モモ「それに、収録だから、うまく答えられなかったところはカットしてくれるよ!」
メロン「そうそう〜。 逆に、面白いこと言えないと、全然テレビに映らなくなっちゃうけどね〜」
ヒマ(こ、怖っ!!)

〇魔王城の部屋
  ──収録当日
  よろしくお願いしまーす♪
メロン「はじめまして〜 「Pass☆Tell」のメロンです。 本日はよろしくお願いします♡」
メロン「あの、明日バレンタインなので、よかったらこれ皆様でお召し上がりください♡」
  えっ、マジで!?
  気が利くなぁ〜ありがとう!
  これ、銀座でしか売ってない、あの有名なチョコじゃん!!
  いいんですか、私たちまで
メロン「はい♪ たくさん買ってきたので、スタッフさん全員に行き渡ると思うので」
  やっぱ芸能人はセンス良いなぁ〜
  あっこれ、「Pass☆Tell」のメロンさんから差し入れだって、インスタに載っけて良い?
メロン「どうぞ〜♪」

〇店の休憩室
コノハ「あ、あの、差し入れとか持ってくるべきだったのでしょうか? 私まったく気が利かず・・・」
モモ「うーん、収録の現場は軽食置いてあることが多いから、こっちが用意することはないと思うんだけど」
マリン「バレンタインが近いから、今回は特別にって感じかな? メロン女子力高いね!」
メロン「あ、お手洗い長居しちゃってごめ〜ん。 もう空いたよ?」
ヒマ「ねぇ、ちょっと」
メロン「うん?」
ヒマ「差し入れ持ってくるなら、なんで一言声かけてくれなかったの?」
ヒマ「抜け駆けってゆーか、なんかこれじゃ、アタシたちが気の利かないやつみたいじゃん」
メロン「えっ!? 抜け駆けなんて、そんな人聞きの悪い・・・」
メロン「それに、私が事前に言って、みんなも差し入れしなきゃいけない雰囲気になる方が嫌じゃない?」
ヒマ「いや、まぁ、そうかもしれないけどさー!」
マリン「ヒマ、落ち着こう。 メロンは私たちにも気を使ってくれたんだよ」
モモ「うんうん。差し入れって結構お金もかかるしね。 私たちまだ学生だし・・・」

〇魔王城の部屋
  それでは収録入りますー!
  本番10秒前、8、7、6・・・
モモ「うちの高校は芸能科があって、芸能界の先輩もたくさんいるので・・・ ギスギスした感じ?全然ないですよ!」
マリン「勉強との両立は大変なこともありますが、事務所が学業優先の方針なので、試験の前は活動をお休みして勉強に専念しています」
コノハ「かっ・・・かかか、彼氏!? そんなのいたことないですよ!なにせジメジメ系なので!」
メロン「え〜男性のタイプですかぁ? 色々教えてくれる、オトナな人がいいなぁ♡」
ヒマ「・・・・・・」

〇タクシーの後部座席
監督(なんだ、この雰囲気は?)
ヒマ「あー・・・ごめん、今日ちょっと言いすぎた」
メロン「え、ううん。 私も、こうやってグループで活動するの初めてだから、よくわかってなくて」
メロン「嫌な思いさせちゃってごめんね」
監督(いったいなんの話だ・・・)
メロン「ねぇ、芸能界で生き残っていけるのって、どんな人だと思う?」
ヒマ「へ? そりゃ、何か才能がある人でしょ!」
ヒマ「抜群に可愛い、スタイル良い、歌やダンスが上手、演技上手い、喋り面白いとか・・・」
メロン「そうね。もちろん、一定以上の実力は必要。 でも、それだけじゃないよ」
メロン「もうこの業界は、とっくに飽和してる」
メロン「昔と比べて敷居も低くなったし、可愛い子、歌上手い子、演技上手い子なんてたくさんいる」
メロン「その中から選ばれて、仕事を掴み取らなきゃいけない」
ヒマ「えー、じゃあ、どうすれば・・・」
メロン「逆に、どんな人が干されると思う?」
ヒマ「うーん、数字が取れない人?」
ヒマ「テレビなら視聴率とか、私たちならグッズの売り上げとか、ライブに来てくれるファンが少ないとか」
ヒマ「あとはなんだろ、一緒に仕事しづらい人?」
メロン「そう。いくら可愛くても美人でも、歌上手くても演技上手くても、性格悪い子は干される」
ヒマ「ちょっ、言い方!ハッキリ言うねぇ」
メロン「・・・それなりに、見てきたから」
監督(リアルだなぁ。 というか、俺の存在忘れられてる?)
メロン「媚びてるって思った?」
ヒマ「・・・ま、ちょっとは」
メロン「あはは〜、そうだよねぇ」
メロン「でもね、感謝って、形にしないと伝わらないの」
メロン「私たちが気持ち良く仕事できるのは、裏でたくさんの人が頑張ってくれてるから」
ヒマ「・・・うん、その通りだね!」
メロン「まぁ、もちろん、良い印象を植え付けたいし、計算だけどねぇ〜♪」
メロン「私は、生き残りたいから」

次のエピソード:困ったファン

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