この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

#2. 勝負だ!!(脚本)

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〇洋館の玄関ホール
ニコラ「サラ! おらぬのか!?」
ハンナ「ニコラさま、 ただ今ご来客中でして・・・」
ニコラ「構うものか! 下民など私は客だと認めん・・・」
サラ「あら、 ニコラさん。 突然どうなさったの!?」
サラ「ニコラさんが私のお客さまに そんな下品な言葉を使われるなんて、 残念ですわ」
ニコラ「なにっ!? 没落貴族のアルディ家の娘が、 一流貴族ロマーノ家の私に意見するというのか!?」
サラ「いえ、決してそのような事は・・・」
サラ「ただ、 そのような言葉遣いでは、 名家であるロマーノ家の品格に関わるのでは無いかと心配で・・・」
ニコラ「まあ、良い・・・ サラはバカが付くほどお人好しなのだから、 一般市民などに騙されるでないぞ」
サラ「あら、 お優しいのですね」
ニコラ「えっ!?」
サラ「私のような者に お心遣いありがとうございます。 でも大丈夫ですのよ」
サラ「実害があったわけではありませんから ただヴァンパイア特有の 『赤い目』を見たという噂があっただけ」
サラ「ここ20年以上は、 ヴァンパイアに関する事件など 起きておりませんわ。 私達が生まれる前のお話ではありませんか?」
ニコラ「事件は無いが ヴァンパイア病という妙な奇病が発生したと噂ではないか!!」
ニコラ「実害があってからでは 遅いのだ! さあ、 参るぞ」
サラ「本当にお優しいのですね。 でも私達はこの家を守ることも使命でございます」
サラ「それに怪我をされたお客様もいらっしゃる事ですし・・・」
ニコラ「なに!? そこまで頑なに拒否をするなど・・・ もしやその客とやらに脅されでもしているのか!?」
ニコラ「おい、メイド その客とやらを連れて参れ」
ハンナ「ニコラ様、 決してそのような事はっ・・・」

〇洋館の階段
ルカ「申し訳ございません」

〇洋館の玄関ホール
ルカ「わたくしは 逃げも隠れも致しません。 お騒がせしました事を 深くお詫び申し上げます」
ニコラ(何だ、 こいつは!?)
ニコラ(流れるような金の髪 凛としていて甘い顔立ち・・・)
ニコラ「・・・ 気に入らん!!」
ニコラ「婚約者がいる身でありながら、 若い男を家に入れるなど、 断じて許されるものか!!」
サラ「ニコラさん、 その件は、 私のような者が勿体のうございますと 申しておりますゆえ・・・」
ニコラ「私が構わないと 申しておるのだ!!」
ニコラ「もしやその男、 狙いはサラなのでは無いか!?」
サラ「そんな事は断じて・・・」
ルカ「はい、 私のような一般市民が 滅相もございません」
ニコラ「嘘を言うな」
ニコラ「そうだな、 勝負だ・・・!!」
ニコラ「サラを賭けて・・・」
ニコラ「お前が負けたら出て行くがいい!!」
ニコラ「私が負けたら、 結婚の事はひとまず 白紙だ・・・!!」
ルカ「悪いご冗談を・・・ サラさんは物ではございません ご本人の意思を尊重なさってはいかがでしょうか?」
ニコラ「何!? 私に指図をするのか!?」
サラ「お二人ともおやめください・・・」

〇空
ルカ(まいったな・・・)

〇養護施設の庭
ニコラ「乗馬での勝負だ」
ルカ「何も馬でなくとも 別の競技の方がよろしいのでは? 危険ですゆえ・・・」
ニコラ「何だと!? 私を馬鹿にすると言うのか!?」
ルカ「いえ、 決してそのような事は・・・」
ニコラ(ふん、 おじけ付いたというのか・・・ まあ仕方あるまい)
ニコラ(しょせん下民 私と愛馬ジョセフィーヌには 敵うまい)
ルカ(俺が気になるのは・・・)
ルカ(サラ、 大丈夫か・・・?)

〇空
ルカ(仕方ない いざとなったら)
ルカ(俺が 何とかしよう・・・)
ルカ(『力』は 使いたくは無いのだが・・・)

〇養護施設の庭
  それぞれの馬に乗る二人
ニコラ「よしよし ジョセフィーヌ お前なら絶対に勝てるぞ」
ルカ「初めましてファナ いい子だな・・・」
ニコラ(フフン 人見知りが激しい馬だ 上手く走れるはずが無い)
ニコラ「このコースを五周。 最初にゴールした者が勝ちとする」
ルカ「分かりました」
ハンナ「よろしいでしょうか? では・・・」
ハンナ「スタート!!」
  二組が走り出す
ルカ「よし、 いいスタートダッシュだ!!」
ルカ「いい子だ どうか言う事を聞いておくれよ・・・」
ニコラ(フフン 下民としては悪くないところか せいぜい付いて来るがいいさ)
  一周、二周と、
  難なくニコラが先頭を走る
ニコラ「話にならんな・・・」
ルカ「よし、 調整は終わりだ。 走るよ!!」
  ルカとファナがスピードをアップする
ニコラ(何!? 加速だと!?)
  三周目、四周目と、
  どんどんルカが距離を詰める
ルカ「よし、 気をつけて 追い抜くよ」
ニコラ「何を・・・!? させるかっ!!」
  二組が横並びになる
ニコラ「ええい!! もっとスピードを出せ!! もっとだ!!」
ニコラ「何をモタモタしておるっ このっ!!」
  五周目の序盤、
  ルカがニコラを追い抜く
ルカ「よし、いいぞ その調子」
ニコラ「このっ、 このっ!! 早くと言っておろうがっ!!」
  ルカはニコラに大差を付けて
  ゴールに到着する
ルカ「よし!! よくやったぞ ありがとう!!」
ニコラ「なんだと!? ふざけるなっ!! このっ!!!!」
  ニコラがジョセフィーヌの脇腹を蹴り上げると、
  驚いたジョセフィーヌが暴走し始める
ニコラ「うわわっ!!!! 何をするっ!!!!」
サラ「ニコラさんっ!?」
ルカ「危ないっ!!」
  馬を降りたルカが、
  暴走するジョセフィーヌへと向かう
ルカ「ジョセフィーヌ、落ち着いて 止まるんだ」
  ルカがジョセフィーヌに駆け寄る
サラ「危ないっ!!」
「止まるんだ!!」
  ルカの目が
  赤く光る
ルカ「よし、よし、 いい子だね・・・」
ルカ「驚かせてすまなかったね・・・」
ルカ(ああ、 終わった・・・)
ルカ(ヴァンパイアの赤い目には 動物を操れる力がある・・・)
ルカ(サラにはきっと この目の色を気づかれただろう)

〇空
ルカ(彼女たちに迷惑をかけるわけには行かない)
ルカ(さようなら、 サラ・・・)

次のエピソード:#3. 囚われの魔女

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