EP6 ヘルメスとギルドの秘密(脚本)
〇荒れた小屋
城塞都市ウルプス
興信ギルド
ヘルメス「むむむ・・・・・・」
ヘルメス「何かないか・・・・・・」
ヘルメス「なるべく簡単で楽でカネ儲けが出来る依頼は・・・・・・」
ひふみん「おやヘルメス殿?」
ヘルメス「ひふみんではないか!」
ヘルメス「こんな所で何をやっておるのだ?」
ひふみん「手間取り(アルバイト)にござる」
ひふみん「受付ならば拙者にも出来る故」
ヘルメス(ゴーレムでもカネが必要なのか・・・・・・)
ひふみん「働かざる者食うべからず、でござる」
ヘルメス(一体何を食うのだ・・・・・・)
ひふみん「金子にお困りか?」
ヘルメス「まあな」
ひふみん「ならば今し方入った依頼があるでござる。ちょっと難易度が・・・・・・」
ヘルメス「引き受けるぞ」
ひふみん「仕事が早いのは良い事でござる」
ひふみん「しかし難易度がSSSクラスに候」
ひふみん「ヘルメス殿はギルドに登録して日も浅い。現在のランクでは・・・・・・」
ヘルメス「構わん」
ひふみん「マジでござるか?」
ヘルメス「まぢ」
ひふみん「・・・・・・ふむ」
ひふみん「まあ以前助けて頂いた恩もある故、特別に発注するで候」
ヘルメス「うむ。かたじけナッシングだ」
〇英国風の図書館
ヘルメス「で、例によって例の如く、お主がおる訳か」
ソフィア「あれ? なんでアンタがいんの?」
ヘルメス「何でって、依頼を受けたのだ」
ソフィア「おかしいわね。経費削減で、最近は外部発注なんてしてない筈なのに」
ヘルメス「そう言われても困るぞ」
ヘルメス「自衛騎士団も自ら解決できないから、依頼したのではないか?」
ソフィア「う〜ん・・・・・・」
ソフィア「・・・・・・まぁいっか」
ヘルメス「んじゃ現場まで案内してくれ」
〇英国風の図書館
「・・・・・・」
ヘルメス「随分奥まで行くのだな」
ヘルメス「おまけに人っ子一人おらん」
ヘルメス「というか、ここはダンジョン?」
ソフィア「らしいわね。本好きが作ったのかしら?」
ヘルメス「実に儂好みだ」
ソフィア「ふふ・・・・・・」
ソフィア「って談笑してる場合じゃないわね」
ソフィア「今回の被害者よ」
ヘルメス「!? こいつは・・・・・・」
ヘルメス「砦の事件の時の・・・・・・」
ソフィア「そう。ゼロさん」
ソフィア「ホムンクルス・・・・・・ なのよね?」
ヘルメス「生産されたのは一体ではなかった、という事か・・・・・・」
ソフィア「発見されてから、かなりの時間が経ってると思うんだけど・・・・・・」
ヘルメス「生態が明らかでない以上、何も断定出来んな」
ヘルメス「恐らく髪に葉緑体がある。体内でグルコースを生成しているから、死亡推定時刻などは当てにならない」
ソフィア「人間でも死後に髪や爪が伸びるって聞いた事がある」
ヘルメス「そういう事だ。こいつに纏わる情報がないからな」
ヘルメス「とは言え、検分はせんとな」
遺体には無数の風穴があいていた
『傷跡』というよりも『穴』と表現した方が相応しい
ヘルメス「何だこれは・・・・・・」
ヘルメス「死因には違いなさそうだが・・・・・・」
ヘルメス「出血がない? 組織が破壊された様な痕跡もない?」
ソフィア「チーズみたいよね」
ヘルメス「なんちゅう例えだ」
ソフィア「特別な武器を使った?」
ソフィア「それとも魔法?」
ヘルメス「調べてみよう」
ヘルメス「水属性だ」
ソフィア「水の魔法? 殆ど回復系の魔法だったと思うけど・・・・・・」
ヘルメス「攻撃魔法がない訳ではないが・・・・・・」
ソフィア「氷柱みたいなのを生成して刺した、とか?」
ヘルメス「低温にすれば出血は防げるだろうが、傷にはなる」
ソフィア「こんな綺麗な穴にはならないか・・・・・・」
ヘルメス「攻撃しつつ、同時に回復も行えば或いは・・・・・・」
ソフィア「攻撃しつつ、回復・・・・・・」
ソフィア「そうだ!」
〇牢獄
ラケルタ「それで俺に会いに来た、という事か?」
ソフィア「鍛冶屋の貴方なら心当たりがないかな? と思って」
ソフィア「教えて」
ソフィア「対象を攻撃しつつ、回復もする、槍か矢の様な刺突武器ってある?」
ラケルタ「・・・・・・」
ラケルタ「使用用途が全くわからんが・・・・・・」
ラケルタ「一つ考えられる」
ソフィア「どんな?」
ラケルタ「ユニコーンがいるだろう。あれの角には治癒作用がある」
ヘルメス「成程。磨り潰して調合に使う事があるな」
ラケルタ「角をそのまま槍の穂先に使う。それで刺せば件の遺体の様な状態にならないか?」
ソフィア「成程」
ヘルメス(しかし属性が説明出来ない)
ヘルメス(水属性のユニコーンなどいるのか?)
ソフィア「助かったわ。ありがとう」
ヘルメス「・・・・・・」
ラケルタ「お前は行かないのか?」
ヘルメス「もう一つ聞きたい事がある」
ラケルタ「・・・・・・この際だ。聞こう」
ヘルメス「貴様に黒魔術を教えたのは誰だ?」
ラケルタ「それは・・・・・・」
ヘルメス「言わぬか!」
ヘルメス「一介の鍛冶屋が独学で不死を手に入れたなどとは言わせんぞっ!」
ラケルタ「・・・・・・」
ラケルタ「その様子なら、もう感づいているんだろう?」
ラケルタ「金髪の魔女だ。お前と同じ服を着た」
ヘルメス「やはりそうか」
ラケルタ「だから、あの事件でお前を最初に見た時、拙いと思った」
ラケルタ「だから逃げたのに・・・・・・ 関係者じゃないのか?」
ヘルメス「質問しているのは儂だ!」
ヘルメス「奴に何を言われた!? 何を聞いた!?」
ラケルタ「何をそんなに怒っているんだ・・・・・・」
ラケルタ「俺はただ『面白い』武器や魔法の事を教わっただけで・・・・・・」
ヘルメス「『面白い』? だと・・・・・・?」
ソフィア「ちょっとちょっと! どうしたのよ? 急にでっかい声出して・・・・・・」
ヘルメス「何でもない。行くぞ」
ソフィア「えぇ・・・・・・ ?」
〇巨大な城門
ソフィア「どうしたのよヘルメス!」
ヘルメス「間違いない。この事件も奴が関与している」
ソフィア「奴? イリスの事?」
ヘルメス「というより、今までもそうだ」
ヘルメス「ただ殺すだけなら簡単に出来た件ばかりではないか」
ヘルメス「面白可笑しくする必要などなかった」
ソフィア「ただの事件だった筈なのに、イリスがその、なんて言うか・・・・・・」
ヘルメス「娯楽に変えてしまった!」
ソフィア「犯罪の娯楽化・・・・・・」
ヘルメス「確認せねば。もう一箇所行くぞ」
〇上官の部屋
ヘルメス「教えろ!」
クトイテ「な、何だ。突然やってきて・・・・・・」
クトイテ「君らはいつかの・・・・・・」
ソフィア「失礼します。捜査上確認したい事がありまして」
ヘルメス「以前の事件で雇ったゼロとかいう者・・・・・・」
ヘルメス「どうやって雇用した」
ヘルメス「どこかからの紹介か? それとも買ったのか? だとしたら誰から?」
クトイテ「いきなり何なんだ・・・・・・」
ヘルメス「聞かれた事だけ答えんかっ!」
クトイテ「おい。自衛騎士はこんな横暴を許すのか?」
クトイテ「私も暇ではない。然るべき手続きを踏んでだな・・・・・・」
ソフィア「無礼は謝ります。しかし捜査にはご協力願います」
クトイテ「そんな態度で協力など・・・・・・」
ソフィア「あれから従業員さんの給料は支払えていますか?」
クトイテ「うっ・・・・・・ その件は・・・・・・」
ソフィア「賃金を払わずに労働をさせるのは、立派な違法行為ですよ?」
クトイテ「・・・・・・」
クトイテ「そうだ。経営は苦しい」
クトイテ「どこから聞いたのかは知らないが、或る人物から話を持ちかけられたのだ」
ヘルメス「儂と同じ服を着た金髪の女だな?」
クトイテ「ああ。その通りだ」
クトイテ「この砦は嘗て戦闘の要所だった」
クトイテ「しかし今では大きな戦いはなくなり、半ば役目を終えた」
クトイテ「しかしいざという時に備えて、戦闘可能な状態を維持しておかなければならない」
クトイテ「減った予算の中でやりくりしていく内に、今の娯楽施設へと方針を変えた」
クトイテ「言ってみれば戦争のテーマパークだ」
ヘルメス「それで?」
クトイテ「ここで娯楽性の高い事件が起これば集客が望める、そう言われた」
クトイテ「或いは事件が起きる事で、防衛予算が増えるとも」
ヘルメス「だがホムンクルスを一人雇った所で、必ずしも事件が起きるとは限らん」
クトイテ「ああ。だから依頼をしたんだ」
ヘルメス「依頼? 何の?」
クトイテ「事件の依頼だよ」
ヘルメス「事件の・・・・・・ 依頼?」
ヘルメス「言っている意味がわからん。誰かに事件を起こしてくれ、とでも言ったのか?」
クトイテ「その通りだ」
「なっ・・・・・・ !?」
ヘルメス「そんな事が・・・・・・」
クトイテ「殺し屋、密輸、人身売買・・・・・・ 違法行為を行う業者なんていくらでもある」
クトイテ「だとしたら、事件、犯罪を取り仕切る業者があっても不思議じゃないだろう」
クトイテ「言ってみれば闇のエンタメ業者だ」
ヘルメス「一体どこでそんな事が・・・・・・」
クトイテ「意外だな。探偵なら知っていると思ったんだが・・・・・・」
ヘルメス「探偵なら? まさか・・・・・・」
クトイテ「そう。興信ギルドだよ」
「なっ・・・・・・ !?」
ヘルメス「まさか・・・・・・ そんな・・・・・・」
ソフィア「確認しましょう」
〇荒れた小屋
ヘルメス「ひふみん!」
ひふみん「おお。ヘルメス殿」
ひふみん「事件の進捗は如何でござるか?」
ヘルメス「そんな事より、聞きたい事がある」
ひふみん「? 拙者に答えられる事なら・・・・・・」
ヘルメス「この興信ギルドでは、事件の依頼を受けているのだな?」
ひふみん「左様でござるよ?」
ソフィア「そのはその・・・・・・ 誰かが困っていて、事件を解決して欲しい依頼って意味?」
ひふみん「それもあるでござる」
ヘルメス「それ、も?」
ひふみん「事件そのものを起こして欲しい、という依頼もあるでござる」
「・・・・・・」
ヘルメス「まさか・・・・・・ 本当に?」
ひふみん「拙者も最初は驚いたでござる」
ひふみん「事件を解決してみたいからとか、刺激が欲しいから、とそんな理由で依頼があるので候」
ひふみん「真っ事人間とは奇妙奇天烈な生き物にござるなぁ」
ヘルメス「ここの・・・・・・ このギルドのマスターの名は?」
ひふみん「ふむ。確か・・・・・・」
ひふみん「イリス・テオセベイア」
ヘルメス「そうか・・・・・・ 邪魔をしたな」
ひふみん「ヘルメス殿?」
ひふみん「何があったでござる?」
〇巨大な城門
ヘルメス(何がヘルメス・トリスメギストスだ)
ヘルメス(何が探偵錬金術師だ)
ヘルメス(儂は始めからイリスの手の平の上で踊らされていただけ・・・・・・)
ヘルメス(済まない・・・・・・ ご主人・・・・・・)
ヘルメス(儂のチカラでは貴女の尊厳は守れない・・・・・・)
ソフィア「ヘルメス・・・・・・」
ソフィア「・・・・・・」
ソフィア、後ろ後ろ!と言いたくなるラスト!
イリスのことになると冷静ではいられないヘルメスの変化に惹きつけられます。
イリスの目的はヘルメスを手の平の上で転がしたいだけ?
純粋な悪役なのか?
面白いです!
全員集合で、ひふみん懐かしい!
色々事件が繋がっていく中で最後に黒幕が後ろに!?
今までのキャラがゾロゾロ出てきていいですね~
個人的にはひふみんがたまらないっすw かたじけナッシング!👍
そして思いがけない裏事情も明らかになり、物語が加速していく感じにワクワクします!