妻とパンスト

ぺろしき

見えそうで見えない愛情(脚本)

妻とパンスト

ぺろしき

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〇中規模マンション
  この男の”秘密”には──
  ”蜜”の味がある。
しゅん「うぃ〜。今日も最高だったな」
  田中しゅん。29歳。
  信用金庫に勤務する会社員である。
しゅん「証拠隠滅も完璧! 生きてて楽しいぜ」
  仕事以外は鈍感な、ごく普通の男である。

〇マンションの共用廊下
しゅん「ふふふ〜ん♪♪ おっと、油断大敵」
しゅん「身だしなみも完璧!」
しゅん「さ、入るぞ」
  その時、ポケットの何かに触れた。
しゅん「ん? なんだこれ?」
しゅん「ふんどし? 何でこんなものが・・・」
しゅん「ま、いっか」

〇おしゃれなリビングダイニング
「ただいま!」
しゅん「今日も残業だ」
しゅん「日本の為にがんばった!」
しゅん「え?」
  その時、しゅんの前にいたのは・・・
しゅん「誰?」
  白い・・・
  パンストをかぶった女だった。
しゅん「さとみ・・・なのか?」
  女はノートとペンを取り出す。
  おかえりなさい
しゅん「ただいま」
しゅん「えっと・・・」
しゅん「なんで、そんなのかぶってるんだ?」
  自分の胸に聞いてみな
しゅん「え?」
しゅん「あ、いや、その・・・」
しゅん「さっぱりわからないけど・・・」
  おやすみ
しゅん「・・・」
しゅん「おやすみ──」

〇空
  翌日

〇総合病院
  しゅんは、病院に行った。
  何を隠そう・・・
  しゅんの母親は医師なのだ。

〇病院の診察室
  今日の彼女は──
  赤いパンストに変わっていた。
母「う〜ん」
しゅん「いや・・・病気だろ?」
?「・・・」
母「うーん」
しゅん「・・・ヤバいやつなのか?」
母「ヤバいも何も──」
母「正常!」
しゅん「どう見ても異常だろ!」
母「医学的には正常! どこにも問題はありません」
しゅん「なら、どうすりゃいいんだよ!」
母「あんた、心当たりないの?」
しゅん「は?」
母「夫婦なんだからわかるでしょ?」
しゅん「近頃は仕事が忙しくて・・・」
母「あ〜あ」
母「こういうのは薬ではどうにもならないの」
母「愛情が一番の特効薬!」
しゅん「愛情か・・・」
母「愛情よ!」

〇見晴らしのいい公園
?「・・・」
しゅん「さとみ──」
しゅん(てか、また色が変わってる──)
?「・・・」
しゅん「もとい」
しゅん「愛してるよ!」
  なら、子どもができるはずでしょ?
しゅん「え」
  してないでしょ? 子作り
しゅん「そんなの、恥ずかしいし・・・」
  もう昼よ。会社いけば?
しゅん「あ、・・・はい」

〇大企業のオフィスビル
「ああーもうわけわかんねー」

〇オフィスのフロア
マキ「せんぱい! お悩みですか?」
しゅん「妻のことでね・・・」
マキ「へえ〜どんなことですか?」
しゅん「君に言っても仕方ないでしょ?」
マキ「力になれるかもしれませんよ」

〇ラブホテル
「それは・・・愛情不足ですよ」
「やっぱそうなの?」

〇ラブホテルの部屋
マキ「それ以外にパンストかぶる理由ないです」
しゅん「・・・そうなのか?」
しゅん「しかも声出さなくて、筆談するの」
しゅん「パンストかぶってても、話せるよな?」
マキ「せんぱいと話したくないんですよ」
マキ「パンストってそういう力ありますよ」
しゅん「・・・」
マキ「でも別れたら、 せんぱいの面倒は私が見てあげる!」
マキ「ね?」
しゅん「ガー、ゴー・・・」
マキ「あ、寝てる!」
マキ「なんてマイペース」
マキ「しっかし、何で気付かないかな〜」
マキ「私のパンストかぶってるって」
マキ「はい! 今日もふんどしお持ち帰りしてね!」

〇ゆるやかな坂道
マキ「ほんと、せんぱいは鈍感」
マキ「おもちゃにピッタリ」
?「・・・」

〇マンションの共用廊下
しゅん「ふふふ〜ん♪♪」
しゅん「ん? ふんどし?」
しゅん「確か前も・・・ その前はパンストも・・・」
しゅん「ま、いっか」

〇おしゃれなリビングダイニング
「ただいま!」
しゅん「え?」
しゅん「マキ!」
しゅん「・・・どうして?」
マキ「捕まっちゃいました〜」
?「・・・」
しゅん「さとみ──」
  ラブホ、行ってるよね?
「あ、 あ、 あうあうあ・・・」
  パンストの数だけ、楽しんだよね?
「い、 い、 いえいえい・・・」
  近頃は、ふんどしだよね?
「う、 う、 うおうおう・・・」
「申し訳、ありません──」
  メス猫は、帰っていいよ
しゅん「え?」
マキ「あ──」
マキ「ありがとうございます!」
マキ「せんぱい、後腐れなしね。 さよなら!」
「・・・・・・」
しゅん「練習だったんだ・・・」
しゅん「俺たち、マンネリだからさ」
しゅん「・・・高まらない的な?」
しゅん「さとみに── 最高の仕事をしたくて!」
  そんな仕事、いらんねん
しゅん「ですよね」
  別れよ
しゅん「別れ──」
しゅん「それだけは・・・」
しゅん「さとみ、俺はお前がいないとダメなんだ」
しゅん「さとみぃぃィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
?「・・・・・・」
?「なら、悔い改めなさい」
しゅん「しゃべった・・・ ていうか、その声は・・・」
母「わたしよ」
しゅん「か、母さん・・・」
母「そう。私はあなたの母」
母「あなたを世に出した女」
母「責任、とらないとね」
しゅん「むちゃくちゃだ・・・」
「ただいま」
しゅん「さとみ・・・」
母「さとみさん、お帰り。 子宝温泉どうだった?」
さとみ「よかったです〜〜 授かっちゃいますよコレ」
母「よかったわね。 なら邪魔者の私は退散するわ。 ちゃお!」
さとみ「おやすみなさい〜〜」
しゅん「・・・・・・」
しゅん「・・・」
しゅん「さとみ・・・」
さとみ「何?」
しゅん「アッチをいたそうか?」
さとみ「はい!でござる!」

〇ラブホテル
  こうして、私は練習の成果を発揮し──
  一晩中、踊り続けたのだ。

〇ラブホテルの部屋
「・・・・・・」
  私は──
  母の手の平の上でも、踊らされてたんだ
しゅん「てことは、あの時の・・・」

〇明るいリビング
  あれも──

〇見晴らしのいい公園
  あれも──

〇病院の診察室
  あれも──
  母だったのか──

〇ラブホテルの部屋
しゅん(あれ? でも、あの時──)

〇病院の診察室
  母さん、いたよな?
  じゃあ、あれは──
  誰だったんだ?
?「・・・」

〇病院の診察室
「やれやれ」
母「我が子ながら手がかかるわ」
?「・・・」
母「わ! ビックリした!」
母「お疲れ様〜」
マキ「こんにちは〜」
マキ「うまくいきましたね」
母「あなたのおかげよ」
母「秘密屋さん」
マキ「いえいえ 楽しかったです〜〜」
母「これ。約束の」
マキ「まいどありです〜〜」
マキ「明日、 信用金庫には辞表だしますね〜〜」
母「くれぐれもこのことは・・・」
マキ「”秘密”にしま~す(°▽°)」

〇ラブホテルの部屋
しゅん(ま、いいか。気にしないでおこっと)
さとみ「ん・・・どうかした?」
しゅん「いや、なんでもないよ」
さとみ「わ、すごい汗よ。 拭かないと・・・」
しゅん「ああ、ごめん」
さとみ「はい。ど~ぞ」
しゅん「・・・え?」
しゅん「これって・・・」
さとみ「あなたの持ち帰った”ふんどし”よ!」
しゅん「・・・・・・」
  男の”秘密”は──
  妻にはお見通しのようだ・・・
  おわり

コメント

  • すごいおバカな展開も、気になった”謎”が回収されていく気持ちいいストーリーでした。
    もちろん一番のおバカは、女性方の手のひらで踊り続けるしゅんではありますが、、、

  • 最低な男のような気もするけど、こんなに間抜けで人に疑いをもたない、そこがかえって愛おしいような気もしました。29歳、まだまだ成長するには遅すぎはしない!

  • 結局この男は女に甘え上手なのかなぁ~?甘やかすからダメなのか?でもこのままではいつか皆に逃げられて後悔することになるのかも?

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