エピソード1(脚本)
〇街の全景
20XX年。
世界中に様々な最先端技術が普及している近未来。
東京都から近い場所にある、最先端技術が集まるモデル都市『都陣市(とじんし)』で、事件が起ころうとしていた。
〇池袋西口公園
都陣市 中央公園
夏野 ミコ「さぁ、ついにやってきたわよこの日が!」
深山 ホタル「いきなり叫ばないでよミコちゃん」
根岸 コウタ「あいかわらずテンション高いな」
夏野 ミコ「だってぇ、学校が休みでぇ」
夏野 ミコ「先生やお父さん、お母さんもみんな東京に移動する」
夏野 ミコ「『国際未来フォーラム』の日がやってきたんだもん」
夏野 ミコ「都陣市立中央小学校 6年C組」
夏野 ミコ「学級新聞クラブのリーダーであるあたしの取材活動が、誰にも邪魔されない日なのよ!」
相川 あや「取材活動が大切なのはわかるけど」
相川 あや「前日の夜に「取材活動するから、あしたの朝9時、中央公園に集合ね」って」
相川 あや「いきなりメールしてくるのもどうかと思うよ」
夏野 ミコ「まぁ、あたしは思い立ったが吉日って精神で動いてるからね」
深山 ホタル「次から事前に言ってよ?」
夏野 ミコ「はいはい、わかった」
深山 ホタル(本当にわかったのかな?)
根岸 コウタ「で、取材ってことはどこかに行くってことだろ?」
夏野 ミコ「ええ、行き先も決まってるわ」
深山 ホタル「どこ?」
夏野 ミコ「それは、都陣市の外れにある廃墟!」
深山 ホタル「え!?」
根岸 コウタ「あの森を抜けた先にあるヤツ!?」
相川 あや「オバケが出るってもっぱらのウワサの場所だよね!?」
夏野 ミコ「だからこそよ!」
夏野 ミコ「あの廃墟を調べれば、学級新聞にふさわしい特ダネがゲットできるかもしれないじゃん!」
深山 ホタル「ボクは行きたくないんだけど、取材モードのミコちゃんは止まらないからね」
根岸 コウタ「あきらめるしかねぇな」
〇森の中
都陣市の外れ
ボクの名前は、深山(みやま) ホタル
最先端技術の研究が盛んな都市、都陣市(とじんし)の小学校に通う6年生。
クラスメイトの夏野(なつの) ミコちゃん
根岸 コウタ
相川 あやちゃん
ボクは、今年の春にみんなと学級新聞クラブを結成して
街の出来事についてまとめた新聞を作ってるんだ
まぁ、いろんなことに首を突っ込みたがるミコちゃんに振り回されてるのが
本当のところなんだけどね
夏野 ミコ「あ、見えてきたわ」
〇山奥の研究所
深山 ホタル「ウワサの廃墟・・・」
夏野 ミコ「とことん調べるわよ!」
深山 ホタル「でも、立ち入り禁止だよ?」
深山 ホタル「ドアもチェーンで封印してあるし」
夏野 ミコ「・・・・・・」
夏野 ミコ「とりあえずこれ読んで」
深山 ホタル「ノート?」
言われた通り、ボクはノートを読みはじめた
ノートには、『メーディア研究所』と書かれた見取り図とか、鍵の開け方って書いたページがあって・・・
深山 ホタル「あっ!?」
夏野 ミコ「かかったわね!」
やられた・・・
夏野 ミコ「さ、ドアのチェーンを外して」
夏野 ミコ「やり方は覚えたでしょ」
深山 ホタル「そんなぁ・・・」
ボクにはある能力があった
それは、一度見たものを忘れない力と
覚えものを自由に忘れられるという力
そしてミコちゃんは、ボクが持つ力を取材に利用したんだ
深山 ホタル「犯罪じゃん」
夏野 ミコ「それは置いといて、道具はこれを使って」
そう言って渡してきたのは、鍵開けに使われる道具のセットだった
深山 ホタル「お母さんが鍵屋さんなのは知ってたけど、仕事道具まで持ってきたの!?」
夏野 ミコ「特ダネのためならなんでもするのよ」
さすがにやりすぎでは? とは言わなかった
そして、観念したボクは道具を使ってチェーンを外したんだ
〇施設の廊下
廃墟の中
深山 ホタル「わかってたけど、暗いね」
夏野 ミコ「でも真っ暗じゃないだけマシよ」
相川 あや「写真とか撮っておくね」
根岸 コウタ「で、ここってなんの研究所なんだ?」
夏野 ミコ「数年前までロボットの研究をしてたみたい」
夏野 ミコ「ただ、なにかの研究でトラブルを起こして、閉鎖されたらしいわ」
深山 ホタル「よくそんなことまで調べられたね」
夏野 ミコ「あたしのおじさんが研究所のことを知ってたの」
夏野 ミコ「けど、トラブルについてはわからなかったわ」
いったいどんなトラブルを起こしたんだろう?
なんとなく考えていた時だった
深山 ホタル「な、なに!?」
根岸 コウタ「爆発!?」
相川 あや「えぇっ!?」
夏野 ミコ「でも、ここは中央区から離れてるわよ!?」
深山 ホタル「事故かなにかが起きたのかも!」
根岸 コウタ「だったら避難しようぜ!」
夏野 ミコ「でも、研究所を調べられるチャンスは今日しか無いのよ!」
根岸 コウタ「んなこと言ってる場合か! なにか起きたときは冷静になって避難しましょうって」
根岸 コウタ「先生も言ってただろ!」
夏野 ミコ「でも・・・」
ミコちゃんは、どうしても研究所について調べたいって顔をしていた。
深山 ホタル「──なら、ボクが残るよ」
夏野 ミコ「え?」
深山 ホタル「ここの見取り図は覚えた」
深山 ホタル「それに、サバイバルスキルも記憶してあるから、なにかあっても切り抜けられる」
深山 ホタル「だから、先に避難して」
根岸 コウタ「んなこと言ったって・・・」
相川 あや「あぶないよぉ」
深山 ホタル「危険を感じたらすぐ避難するよ」
夏野 ミコ「──じゃあ、南区のシェルターに避難するわ」
相川 あや「南区に避難できなかったら、港区に行くね」
深山 ホタル「わかった」
深山 ホタル「じゃ、またあとで」
そうして、ボクはひとりで研究所の調査を続けた
〇地下実験室
調査を続けていたら、ナゾのカプセルがある部屋にたどり着いた
深山 ホタル「なんだろう、これ」
試しに、壁のスイッチに触れてみる
〇地下実験室
深山 ホタル「動いた!」
なんで電気が通っているんだろう?
カプセルの中が気になったボクは、そっと近づいて
カプセルの中を覗き込んでみた
〇水色(ライト)
──カプセルの中には、ひとりの男の人が居た
深山 ホタル「人!?」
深山 ホタル「だ、大丈夫ですか!?」
ボクはカプセルを開けて、男の人に触れた
男の人の体は暖かい
生きてるってこと・・・だよね?
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「・・・・・・」
深山 ホタル「あ、あの・・・」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「クロト、ラケシス、アトロポス・・・接続不可」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「独自思考ルーチンによる自律行動に移行。 時刻修正完了。 各部診断、異常なし」
深山 ホタル「え・・・?」
深山 ホタル「独自思考ルーチン? それに、自己診断機能・・・?」
専門じゃないけど、授業でプログラミングについて学んだことはある
それに、この人の体は、一部が機械になっていた
つまり、この人は──
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「二次性徴期の男性1名を確認」
法律で禁止されている
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「あなたに、質問があります」
深山 ホタル「質、問・・・?」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「あなたは、私を開発した」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「私のマスターですか?」
人間そっくりのロボットだ──
少年が出会ったものはロボットなのですが、体温があるって言うのはかなり精巧に作られてますね。
好奇心が勝って、起動させてしまったロボットのこれからが気になります。
初めてとは思えない!テンポが良く、ついつい入り込んでしまい、男の子がロボットを見つけた時には一緒に「お前はロボットなのか⁉︎」と言ってしまいました。続きが楽しみです。
ワクワクするところで終わりましたね!たった一人で、成人男性型のロボットと巡り合うとは…。質問されたらお返事するしかないですよね。ホタルくんはどんな風に答えるのでしょうか?ホタルくんの記憶能力が、これからの展開にどのようにかかわってくるのかも気になります。