エピソード2(脚本)
〇地下実験室
深山 ホタル「マス、ター・・・?」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「はい」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「あなたは私を開発した研究者ですか?」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「それとも、試験運用担当のエンジニアですか?」
深山 ホタル「ボクは・・・」
深山 ホタル(たぶん、このロボ・・・いや、このヒトは)
深山 ホタル(起動前に研究所が閉鎖されたせいで)
深山 ホタル(自分の置かれた状況とか、研究所のこととか、そういうものが何も理解できないんだ)
深山 ホタル「・・・」
深山 ホタル「ごめんね」
深山 ホタル「ボクは、キミのマスターじゃないよ」
深山 ホタル「ボクは、好奇心から閉鎖されたこの研究所に忍び込んで」
深山 ホタル「たったいまキミを起動させただけの子供だよ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「閉鎖・・・?」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「メーディア研究所は、閉鎖しているのですか?」
深山 ホタル「20XX年の5月に閉鎖されたって資料で読んだけど」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「20XX年・・・」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「私がボディを与えられる前のテストで起動してから、5年経過しているようですね」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「内蔵メモリーの時刻を修正します」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「現在の時刻を教えてください」
深山 ホタル「20XX年の6月3日。 時刻は午前10時4分になる40秒前だよ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「修正完了。 続いて周辺ネットワークを検索」
深山 ホタル「待って!」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「なんでしょう?」
深山 ホタル「ネットワーク接続はまだしないほうがいいよ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「なぜですか?」
深山 ホタル「なんかよくわかんないけど、さっき外でトラブルが起きたみたいなの」
深山 ホタル「考えたくないけど、ロボットの暴走とかそういう類のトラブルだと困るから」
深山 ホタル「念の為に、キミはネットワークに接続しないまま活動したほうがいい」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「了解。 ネットワーク接続は実行しません」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「自律思考モードで稼働します」
あのヒトがなにやら設定を続けている途中で、ボクのスマートフォンが鳴った
深山 ホタル「ミコちゃんからメッセージ?」
ボクは、メッセージアプリを開いて、ミコちゃんとの音声通話を試みる。
夏野 ミコ「繋がった!」
深山 ホタル「なにかあったの?」
夏野 ミコ「いますぐこっちに来て!」
夏野 ミコ「なんだか街がヤバいみたいなの!!」
外に・・・ってことは、みんなはまだ避難してなかったってことか
それに、街がヤバいってどういうことなんだろう・・・?
深山 ホタル「わかった、すぐに向かうね」
ミコちゃんとの通話を切ったあと、ボクはあのヒトの肩を叩く
深山 ホタル「外に出る前に、キミに名前をつけるね」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「名前・・・ですか?」
深山 ホタル「コードネームとかで呼ぶのは面倒くさいし、ボクの友達以外にキミが人に似せたロボットってバレるのはマズいと思うから」
深山 ホタル「名乗る時はボクがつけた名前を使って」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「了解しました」
深山 ホタル「じゃ、今日からキミの名前は・・・」
深山 ホタル「クルキアタ・エウラリア・ミヤマだよ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「クルキアタはホタルの学名」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「エウラリアは女性の洗礼名ですね」
深山 ホタル「ミヤマはボクの苗字だよ」
深山 ホタル「海外からこっちに越したばかりの遠縁の親戚ってことにしておくから」
深山 ホタル「話し方とかはごまかせるでしょ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「了解しました」
深山 ホタル「あと、ボクの指示に従う場合は、了解じゃなくて、わかりましたのほうがいいよ」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「わかりました」
深山 ホタル「細かい振る舞いについてはゆっくり教えてあげるから」
深山 ホタル「とりあえず、外に出よう」
ボクがさっさと部屋を出ようとしたら
クルキアタに腕をつかまれた
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「移動する前に、アタッシュケースを回収してもらえませんか?」
ボクは、クルキアタが封印されていたカプセルの横にあったアタッシュケースを手に取った。
深山 ホタル「これのこと?」
クルキアタ・エウラリア・ミヤマ「外部で災害等が発生している場合、そのアタッシュケースが助けになるはずです」
深山 ホタル「万能ツールかなにかってことね」
深山 ホタル「じゃ、これは持っていくよ」
そうして、ボクたちは部屋を後にしたんだ。