ゴリラと流れ星と願い事

ぐらっぱ

第一話 ゴリラと女子と流れ星(脚本)

ゴリラと流れ星と願い事

ぐらっぱ

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ゴリラと流れ星と願い事
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〇テクスチャ3
  流れ星、流れ星
  どうか私の願いを叶えて
  どうか、どうか・・・

〇黒

〇星
  キミ達の願い、叶えてあげる
  どんな願いでも叶えてあげるよ
  さぁ、キミ達は何を願う?
「私は──になりたい」
「自分は──があれば」
「ささやかでいいの あたしは・・・」
「僕の願いは──!!」
(・・・)
「──だよ なんてなぁ そんな上手い話が・・・」
「頼む!! 絶対叶えてくれ」
(うーん・・・ 願い?)
(そうだなぁ・・・ モテモテになりたいな)
(筋肉も欲しいな)
(それから、えーと むにゃむにゃ・・・)
(・・・)
  そんな願いでいいんだね
  キミ達の願いを叶えよう
  その代わり・・・

〇大きな木のある校舎

〇教室
「マサル! いよいよ今日だな!」
マサル「ユキジ・・・ やっべぇ、緊張してきた」
ユキジ「ははは 当たって砕けろ、だ! 骨は拾ってやるよ」
マサル「砕けてたまるか!」
ユキジ「ははっ まぁ頑張れ」
マサル「今日こそは・・・」
  そう、今日は彼にとって大事な日
  隣のクラスの英恵ちゃんに告白をする
  そんなミッションが控えているのです
ユキジ「昼休みに屋上だっけ? そろそろ行ったほうがいいんじゃね」
マサル「そ、そうだな・・・ 行ってくる!」

〇黒
マサル(緊張してきた・・・)
マサル(ええい、何を弱気になってるんだ)
マサル(今日こそ告白するぞ)
マサル(勇気を出すんだ! 俺!)
マサル(大丈夫大丈夫 自分を信じろ!)
マサル(英恵ちゃんに俺の想いを・・・!)
  ──対価は受け取った
  願いを叶えよう──
マサル(ん? 今何か聞こえたような)
マサル(・・・足音? 来たのかも!)

〇高い屋上
英恵「マサル君?」
マサル(・・・来た!)
マサル「英恵ちゃん・・・!」
英恵「何の用?」
マサル「あ・・・ えっと、その・・・」
英恵「・・・」
マサル「す、すす好きです! 付き合ってくださいぃ!!」
英恵「いや、無理!」
マサル「えっ・・・そんな即答で!?」
英恵「だってあなた・・・」
英恵「ゴリラじゃん!!」
マサル「えっ・・・?」
英恵「さよならっ!」
マサル「・・・」
マサル(どういうこと?)
マサル(俺、そんなにゴリラ顔?)
マサル「・・・」

〇ジャングル
ゴリラ(そんなゴリラ顔じゃ ないと思うんだけど・・・)
ゴリラ「・・・」
ゴリラ「・・・」

〇雷
ゴリラ「ゴリラじゃん!?」

〇動物

〇高い屋上
ゴリラ(一体何が・・・)
ゴリラ「・・・」
体育教師「コラァ!! 屋上は勝手に入っちゃいかん! 早く教室に戻りなさい!」
ゴリラ「は、はい! すいません・・・」
体育教師「早く屋上の鍵を直してもらわんとなぁ 生徒の遊び場になって困る ブツブツ・・・」

〇ジャングル
ゴリラ(あれ・・・?)
ゴリラ(先生、俺がゴリラになってるって 気づいてないのか?)
ゴリラ(もしかしてこれは夢?)
ゴリラ「そうだ 夢だ!」
ゴリラ(俺がゴリラなわけないじゃないか)
マサル「俺は人間! 守家 勝(もりや まさる)だ!」
マサル「焦った焦った」
マサル「しっかしリアルだなーこの夢」
マサル「早く目を覚そう」

〇教室
ユキジ「おいおいマサルぅー 告白上手くいったのか?」
マサル「いやあ、随分長いなこの夢」
ユキジ「マサル? 何言ってるんだ?」
マサル「夢なのにリアルみたいだなー」
ユキジ「夢って・・・」
ユキジ「そうか玉砕したか・・・ マサル落ち着け 現実を受け入れるんだ」
マサル「夢なのに現実って言ってる! はっはっは」
ユキジ「・・・」
ユキジ「落ち着け」
マサル「痛い!?」
ユキジ「冷静になろうぜマサル」
マサル「え・・・? 夢じゃない、のか?」
ユキジ「振られたのが夢と思いたい気持ちは分かる」
ユキジ「けど、その悲しみを乗り越えて 人は成長していくんだぜ」
マサル「お、おう・・・」
ユキジ「まぁ、ショックすぎて 頭真っ白なんだろうけど」
ユキジ「帰りにカラオケ行こうぜ ケンタも誘ってさ 気分転換が必要だろ」
マサル「そうだな・・・」
マサル「・・・」
マサル「いや、そんな事より!」
マサル「俺がゴリラになってるのは 夢じゃないって事なのかー!?」
ユキジ「ああ・・・ ゴリラっぽいって言われて 振られたのか」
ユキジ「オレはお前のゴリラっぽいとこ 嫌いじゃないぜ 昔からな」
マサル「ユキジ・・・」
マサル「いやっ! 昔からゴリラじゃねーし!!」
マサル(夢じゃなくて現実なのか? でもなんで誰も何も言わないんだ? ゴリラだぞ?)
ユキジ「おーいケンタぁ! お前も一緒にマサルを慰めようぜ」
ケンタ「仕方ないなぁ」

〇花模様
ケンタ「ぼくらでマサルを慰めてやるかぁ」

〇教室
マサル「え? ケンタ!?」

〇古代文字
マサル「・・・?」
マサル(俺の知ってるケンタは)
マサル(一見真面目な優等生に見えるが 常にエロい事しか頭にない むっつりスケベ野郎だ)
マサル(決して女子では無かったはず)
マサル(今目の前にいるこの子は一体・・・?)

〇教室
ユキジ「なー ケンタもこいつ慰めてやってくれよー」
ケンタ「え・・・」
ケンタ「おいおいマジかよ なんでゴリラに・・・」
マサル「ん・・・? ケンタだって?」
ケンタ「・・・」
ユキジ「マサル! 帰りにケンタと二人で慰めてやるから 元気出せ」
ケンタ「・・・」
マサル(もしかして 冗談で慰めようとしてくれてるのか?)
マサル「ユキジ・・・ ありがとうな」
ユキジ「おう」
マサル「俺を慰める為に冗談を」
ユキジ「おう・・・?」
マサル「でもこの子をケンタだなんて 無理があるぞ」
ユキジ「え?」
マサル「・・・?」
ユキジ「お前何言ってるの・・・?」
マサル「え? ユキジこそ何で女子捕まえて ケンタだなんて言ってるんだ?」
ユキジ「いや、ケンタ本人だけど?」
マサル「おいおいおい ケンタが女子なわけないだろ」
ケンタ「・・・」
マサル「それともまさか女装・・・?」
「・・・」
ユキジ「だめだコイツ 失恋のショックでおかしくなってる」
マサル「え!?」
ユキジ「ケンタは昔から女子だろ 俺達3人幼稚園の時から一緒だったし 落ち着けよ」
マサル「いやいやいや! お前こそ何言ってるんだよ ケンタは男子だろう」
ユキジ「はぁ・・・」
ユキジ「ケンタ 見ての通りだ 失恋のショックでこいつやばくなってる」
ケンタ「あ、ああ・・・」
マサル「俺はおかしくなっては・・・」
マサル(いや、そもそも俺がゴリラなのも おかしいよな やはりこれは夢か?)
ケンタ「ユキジ! ちょっとぼくマサルと二人で話したい」
ユキジ「おう マサルの事はお前に任せる なんとか慰めてやってくれ」
ケンタ「マサルぅ ちょっと廊下で話そ?」
マサル「あ、ああ」
ケンタ「お前もぼくと同じだな・・・」
マサル「え?」

〇学校の廊下
ケンタ「・・・」
ケンタ「お前さ・・・ なんでゴリラになったんだ?」
マサル「それは俺も知りたいし ケンタこそなんで女子になってるんだよ」
ケンタ「流れ星に祈ったんだ お前も同じだろ?」
マサル「流れ星ぃ?」
ケンタ「ほら、3ヶ月前の流星群だよ あの日の夜にお前もあそこにいたんだろ?」
マサル「3ヶ月前の流星群の夜は・・・ ハナが、飼ってた犬が逃げた事しか記憶が」
ケンタ「そうか・・・」
マサル「なぁ、その流れ星ってなんなんだ? 俺達に何が起きている?」
ケンタ「こんな事になるなんて ぼくはあの『彷徨える流れ星』の仕業にしか 思えない」
マサル「『彷徨える流れ星』!? なんだそれ?」
ケンタ「あの日の夜あいつはそう名乗った そしてその場にいたぼくらに言ったんだ 願いを叶えてやるって」
マサル「願いを・・・?」
マサル(3ヶ月前は・・・ 確かに流星群を観に行ったけど そんなのに出会った記憶はないな)
ケンタ「その時は夢だと思ったよ だけど・・・」
ケンタ「今日の朝 ぼくは突然女の子になっていたんだ!」
マサル「俺も突然ゴリラになった!」
ケンタ「しかも他のやつら ぼくが女子である事に違和感なく 昔からそうだったように接してきて」
マサル「確かに・・・ ユキジも普通に接してきたな」
ケンタ「でもマサルは違う ぼくが女子になってる事を おかしいと気付いてくれた」
マサル「もしかしてその流れ星に祈った者同士だと この異常に気付けるとか?」
ケンタ「かもしれないな!」
マサル「夢だと信じたいけど夢じゃないんだな」
ケンタ「ああ、現実だ」
マサル「なんで俺はゴリラに・・・」
ケンタ「最初はこのままでもいいかなって思ったけど やっぱりだめだ なんとか元に戻りたい」
マサル「一生ゴリラは嫌だぜ・・・」
ケンタ「だからもう一度あの 『彷徨える流れ星』に出会えたら 元に戻れるんじゃないかと思うんだ」
マサル「そうだな! その流れ星とやらを捕まえに行こうぜ」
ケンタ「決まりだな」
マサル「おう」
ケンタ「じゃあ放課後にぼくんち集合だ」
マサル「作戦会議だな」
ケンタ「ああ、作戦名は・・・」
「流れ星を捕まえて元に戻るぞ作戦!」
ケンタ「おっと、もう休み時間が終わるか」
マサル「教室に戻るか」
ケンタ「そうそうユキジには黙っておけよ あいつに言っても話通じないからな」
マサル「確かに・・・」
ケンタ「それじゃあ放課後にまた」
マサル「『彷徨える流れ星』が願いを叶えた、か どんなやつなんだ」
マサル「・・・」
マサル「ん!? 女子になった事がケンタの願い?」
マサル(エロいあいつの事だから ずっとこのままでいたいって 思ってそうだけど)
マサル「とりあえず教室に戻ろう 後は放課後に・・・」
マサル(放課後なんかあった気もするけど まぁいいか)
「・・・」
???「元に戻るだって? そんな事させてたまるか」
???「なんとか阻止しないと・・・」

〇動物
  ある日突然ゴリラになったマサル
  女子になったケンタ
  その二人を見つめる怪しい影
  二人は果たして元に戻れるのでしょうか
  そして『彷徨える流れ星』とは一体
  第二話へ続く・・・!

次のエピソード:第二話 ゴリラとバナナはセットだよ

コメント

  • ゴリラになっちゃった!?(笑)というカオスな展開ながら、ちゃんと続きが気になる長編として成立してるのがすごいです🤣

  • ゴリラ祭り、ぶっ飛んでる設定で面白かったです!

  • ウッホウホホ、ウホホイウホ(とても楽しく読ませていただきました。ゴリラの心境が背景とリンクする演出が新鮮で参考になりました。主人公の苗字もちょっとゴリラに似てるなど、細かに作り込まれていますね。次回も楽しみにしています。)

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