エピソード6(脚本)
〇学食
浅枝まひる「ねえ、それ食べないの?」
浅枝まひる「もーらい」
京坂の唐揚げをペロリと食べるまひる。
京坂康介「よく食うな・・・」
浅枝まひる「で、何かわかった?」
京坂康介「なーんもわかんね」
浅枝まひる「ちょっと! しっかりしてよね。 康介だけが頼りなんだから」
京坂康介「まあでも、ほんと毎日出てくるんだな。 結城さん」
浅枝まひる「でしょ? やっぱり私に何か伝えたいことがあるんだと思うの」
京坂康介「うーん。 ここまで連続だとさすがに何か関係ありそうな気がしてくるな」
浅枝まひる「でしょ! 絶対あるんだよ! ねえ、早く次にやること教えて」
京坂康介「まひる、猫好きなの?」
浅枝まひる「生まれ変わるなら猫がいい!」
京坂康介「お、おう。そうか」
京坂康介「なあ、鏡は持ってるよな?」
浅枝まひる「当たり前でしょ。女の子だもん」
京坂康介「よし。 今から、猫を見たら鏡を見る癖をつけろ」
浅枝まひる「猫? 鏡?」
浅枝まひる「それとないとがどう関係あるの?」
京坂康介「リアリティチェックだよ。前にも言ったろ?」
京坂康介「夢の中で自由に動き回るには、夢の中でここは夢だって気付く必要があるんだ」
浅枝まひる「えっと、う、うーん・・・言ってたような」
京坂康介「なあ、ここは夢か?」
浅枝まひる「え?」
京坂康介「今、俺とお前がこうやって話してるのは、夢か?」
浅枝まひる「なわけないでしょ」
京坂康介「なんでそう言い切れる?」
浅枝まひる「だって・・・」
京坂の最後の唐揚げをつまんで口に入れるまひる。
京坂康介「あ、おい! 俺の唐揚げ!」
京坂康介「さっきからいくつ食ってんだよお前!」
浅枝まひる「らって、おいひいもん」
京坂康介「ったく。話を戻すぞ」
京坂康介「夢の中だと、唐揚げはおいしくないのか?」
浅枝まひる「うーん。たぶん、おいしいよ」
浅枝まひる「だっておいしいもの食べた夢見るときあるもん」
京坂康介「なるほど。 じゃあ、唐揚げがおいしいからって現実とは言い切れないよな?」
浅枝まひる「まあ、ね」
京坂康介「唐揚げがおいしいのは現実も夢も一緒だと」
京坂康介「じゃあ、ここに結城さんがいたら?」
浅枝まひる「それは夢でしょ」
京坂康介「なんで?」
浅枝まひる「だって・・・ないとはもうこの世にはいないもん」
京坂康介「だよな。 でも、夢に結城さんが出てきたら、その場でおかしいって気付けるか?」
浅枝まひる「うーん、無理だ」
浅枝まひる「ないと、何回も夢に出てきてるんだけど。 夢の中だと、ないとがいることが当たり前になっちゃうのよね」
京坂康介「そこでリアリティチェックの出番ってわけだ」
京坂康介「夢の中で矛盾点を探すことを癖付ける必要がある」
浅枝まひる「うう・・・」
京坂康介「鏡は物を反対に映すから、思考が追いつかずに矛盾ができやすいんだ」
浅枝まひる「う、うん・・・」
京坂康介「鏡を見るって行為を習慣づけるために、現実と夢両方に存在するものをトリガーにしてあげるってわけ」
浅枝まひる「・・・・・・」
京坂康介「はぁ」
京坂康介「猫を見たら鏡を見る。 普通に映ってたら現実だ」
京坂康介「とにかくこれを習慣づけるだけでいい」
京坂康介「そうすれば結城さんと話せる」
浅枝まひる「なんかよくわかんないけど、それだけなら私にもできそう」
浅枝まひる「私、頑張る!」
浅枝まひる「何?」
猫のストラップを指差す京坂。
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)